基本的にはげやすい部位は頭頂部、おでこの生え際なのですが、まれに後頭部がはげてしまうこともあるそうです。薄毛の進行が広がって後頭部上部まで進行してしまったケースも考えられますが、円形脱毛症やストレス性の薄毛も考えられます。
頭皮の血流不足や後頭部の圧迫や摩擦、薬剤で後頭部や後頭部を含む頭部全体が薄くなることもあり、症状に応じた対策が必要となります。今回は後頭部がはげる原因と対策法について解説します。
後頭部ははげにくい?後頭部ハゲの原因は?
前頭部や頭頂部は髪が薄くなりやすい部位です。後頭部は髪が薄くなりにくいと言われていますが、まれに後頭部にハゲが部分的にできたり、薄くなることもあるそうです。
はげにくいはずの後頭部で薄毛やハゲになってしまう原因とは何なのでしょうか。
後頭部はハゲにくい?
男性は個人差があれど、加齢とともにハゲや薄毛になっていく可能性が高いです。早めにはげる人は、20代後半や30代前半ですでに兆候が見られることもあります。
髪が薄くなりやすい部分は一般的に、頭頂部のつむじ付近や前頭部のおでこの生え際などの部位です。頭頂部のつむじハゲやM字ハゲを治す自毛植毛という薄毛治療法では、髪が薄くなりにくい後頭部の髪を移植することが多いです。
しかし実際は後頭部の薄毛に悩んでいる人も少なくないようです。ハゲラボさんなどの薄毛情報サイトでもたびたび記事で特集が組まれ、Q&Aサイトの薄毛の悩みのカテゴリでも後頭部の髪が薄くて気になるという悩みを投稿している人も見かけられます。
またAGA体験記ブログでも後頭部の薄毛に悩んで、治療で改善されたことを報告している人もいます。
自分では後頭部の髪の状態が確認できないので、髪が薄くなっていることに気づいていない人もいるかもしれません。生え際の薄毛ばかり気にしていたら、後頭部も実は薄くなっていたという可能性もあります。
薄毛が気になる人は後頭部が薄いのが目立っていないかも確認したほうが良いかもしれません。合わせ鏡やスマホの画像などの確認方法で、後頭部の髪の状態を見ることができます。
男性ホルモンが原因の可能性も?
加齢とともに男性の髪が薄くなるのは、男性ホルモンDHTが原因のAGA(男性型脱毛症)によるためと考えられます。
DHTが多く作られるのは、頭部では前頭部や頭頂部です。後頭部ではDHTの影響は受けにくいです。そのため男性の薄毛ではサイドや後頭部の髪を残しつつ、前頭部や頭頂部から髪が薄くなりやすいです。
しかし前頭部や頭頂部の薄毛が進行すると後頭部側まで進行が進んだり、頭頂部から薄くなって広がったてっぺんハゲで後頭部が薄くなったりして、サイドの髪と後頭部下側の髪のみ残す状態になることもあります。
女性でも年々女性ホルモンの減少で男性ホルモンの影響を受けやすく、髪にボリュームがなくなってきて後頭部のつむじ付近で髪が割れてしまい、地肌が目立つこともあります。若い女性でも薄毛もしくは元々髪が少なくて、後頭部の地肌が目立つこともあります。
ストレスが原因で後頭部がはげる?
精神的ストレスが原因で血行が悪くなったり睡眠不足になることで、頭皮へ髪の成長に必要な栄養が行き渡りにくくなります。栄養が足りないと毛母細胞の分裂が活発に行われなくなり、健康な髪が育ちにくいです。後頭部も影響を受ける可能性があります。
頭部のあちこちで円形状の脱毛が起こる円形脱毛症は、ストレスも原因になることがあります。円形脱毛症は自己免疫疾患と関わりが深いとされています。
身体的なストレスにより脱毛を招くこともあります。ポニーテールなどの髪を結わえた髪型、ハーフウィッグやエクステンションで頭皮に負担をかけるような髪型にしていると、生え際や耳周りなど髪が薄毛になることがあります。
頭皮に負担をかけることで起きる脱毛症を牽引性脱毛症といい、初期であれば髪型を変えるだけでも改善に向かうことが多いようです。
ストレス性の薄毛は症状に合わせた対策、治療を行いながら、ストレスの解消やストレスの原因を取り除かないといけません。
頭皮の血流が悪いと後頭部がはげる?
頭皮の血流が悪ければ、栄養が行き渡らなくて髪が健康に育たない可能性があります。若い人の薄毛の原因にも多いと言われます。ストレスや睡眠不足、運動不足で全身の血行が悪かったり、頭皮が硬くなっていることも考えられます。
ストレスや睡眠不足など夜勤のある職業、例えば看護師・介護師さんなどは薄毛になりやすいと言われているそうです。
血流が悪いと髪の毛の元となる毛母細胞まで栄養が行き渡りにくくなり、健康な髪が作られにくくなります。頭皮の血流改善に頭皮マッサージも効果的と言われています。
パーマ液やカラー剤の刺激で後頭部がはげる?
パーマ液やカラー剤で頭皮が炎症を起こし、抜け毛や薄毛になる人もいます。炎症を起こす前にも同じ薬剤を使っていても大丈夫だったのに、突然炎症を起こすこともあります。
パーマやカラーは1月半~2か月は間隔を空けるようにしましょう。セルフで行う場合は洗い残しに注意してください。
脂漏性湿疹
脂漏性湿疹は頭皮の過剰な皮脂分泌が原因で、皮脂をエサとするマラセチア菌が異常繁殖して起きる皮膚疾患です。ニキビのような赤いふくらみ、フケのような表皮の剥離、激しいかゆみを伴うことがあります。悪化すると脱毛症の原因になります。
皮膚科で抗真菌剤やステロイドなどの治療薬が処方されます。脂漏性湿疹の改善で脱毛の症状も改善すると考えられますが、治りが悪い場合は発毛治療が必要になります。
赤ちゃんの後頭部が薄くなるのは?
赤ちゃんは新生児生理的脱毛という一時的に髪が抜けやすい時期があります。さらに赤ちゃんは3か月ごろまでは寝返りを打つことができず、寝るときの向き癖で枕で摩擦の起こりやすい後頭部が薄くなることがあります。
枕の中央部に穴の空いたドーナツ枕を使うと後頭部のはげや形が悪くなるのを予防できると言われています。
後頭部がはげる円形脱毛症
男性の髪が薄くなるのは男性型脱毛症(AGA)によるものが多いのですが、頭部に円形状のハゲができる円形脱毛症もよく聞かれる症状です。AGAと異なり後頭部でも頭頂部でもどの部位でも髪が抜け落ちる可能性があり、その原因・対策方法もAGAとは異なります。
円形脱毛症は自己免疫疾患の一種
円形脱毛症は重度のストレスなどが原因で、正常だった自己免疫機能に異常が生じ、免疫機能が毛根を異物と判断して攻撃して毛根がダメージを受け、髪が脱毛する症状です。
円形脱毛症は自己免疫疾患の一種とされています。自己免疫疾患には膠原病や橋本病、バセドウ病などの病気があります。
性別や年齢を問わず、頭部のどの部位でも円形脱毛症が起きる可能性があります。小学生でも起きるケースがあります。
脱毛の仕方にはいくつか種類があり、円形脱毛症に最も多い単発型、複数箇所に見られる多発型、脱毛部分が蛇の形のように広がる蛇行型、さらに全頭型や体毛全体も抜ける汎発型があります。
円形脱毛症は単発型なら自然と治癒し、早ければ1か月ぐらいでもだいぶ改善し、1年もすればほとんどの人が治ると言われています。多発型は治るのに半年から2年程度時間がかかるそうです。
ただし単発型や多発型の円形脱毛が治らず、悪化して広がる可能性もあります。蛇行型は複数年に治療がわたり、全頭型、汎発型はより長期にわたる治療が必要となります
円形脱毛症の対策
脱毛部分を隠すのに、ウィッグや増毛パウダーなどが使われています。脱毛部位が広い人はフルウィッグを、狭い人は部分ウィッグや貼るタイプのウィッグ、増毛パウダーやスプレーでカバーしたり、髪に長さがある人は髪で隠すなどの対処をします。
後頭部がはげるびまん性脱毛症
びまん性脱毛症は生え際や頭頂部のみ薄くなるのではなく、頭部全体の髪が薄くなる脱毛症です。後頭部の髪も薄くなる可能性があります。AGAとは症状が異なりますが、AGAの原因である男性ホルモンも関係があることがあります。
女性に多いびまん性脱毛症
びまん性脱毛症は一部の髪が薄くなるのではなく、頭部全体の髪が薄くなる脱毛症で、特に女性に多い脱毛症です。女性の場合は女性男性型脱毛症(FAGA)であることが考えられます。
女性ホルモンには髪を育てる作用がありますが、女性でも加齢とともに女性ホルモンの分泌が少なくなります。女性ホルモンの分泌が少なくなるとホルモンバランスが悪くなり、AGAの原因である男性ホルモン優位になって、抜け毛や薄毛に繋がります。
加齢以外にも出産、ストレス、ダイエットによる栄養不足などが原因で、びまん性脱毛症を発症することがあります。
びまん性脱毛症の対策
女性のびまん性脱毛症の治療には、内服薬のパントガールや外用薬のミノキシジルやパントスチンなどが処方されます。
ストレス解消や栄養不足にならないような食生活も送ることも必要とされています。
後頭部はげの対策法
後頭部がはげる症状は多様であり、原因もさまざま考えられます。各症状の原因に合わせた治療や対策が必要となります。
さらに治療や対策の効果を高めるためにも生活習慣の改善が必要ですし、後頭部をカバーするための髪型での対処も必要です。
生活習慣の改善
食生活や睡眠、適度な運動は健康な体と髪を育てるための基本です。髪の毛も食事から摂取されたタンパク質が、体内で分解、合成されて作られています。タンパク質から髪が合成されるにはビタミンやミネラルの力も必要です。
健康な髪が育つには多種類の栄養素が必要です。なるべく多くの種類の食べ物から栄養を摂取することが、健康な髪を育てることに繋がります。
睡眠中は髪を育てる成長ホルモンが分泌されます。睡眠不足は成長ホルモンの分泌を妨げて疲労回復できず、ストレスや頭皮の血流不足も招きます。育毛のためにも睡眠で疲労回復できるよう、睡眠時間を確保して、かつ深い眠りにつけるようにしましょう。
適度な運動も全身の血行を良くして、成長ホルモンの分泌も促します。運動不足になりがちな人は1日30分程度の有酸素運動がおすすめされています。疲労が蓄積するような激しい運動は逆効果のようです。
髪型での対処方法
後頭部の薄毛やつむじ分け目には、オールバックにしたり、清潔感あるショートヘアにして、トップや後頭部にボリュームを出したヘアスタイルでの対処法があります。
ブローで後頭部の髪を立たせ気味にセットしたら、仕上げにハードスプレーでセットして、時間が立っても薄い部分が目立たないようにします。
美容室に行ったときに美容師さんに相談して、後頭部のボリュームを出しやすいような髪型にしてもらうよう相談すると良いでしょう。
男性の場合は思い切ってバリカンでボウズ系やスキンヘッドにしてしまうという手もあります。頭の形が良くないと合わない場合もありますが、似合う人にはおすすめです。
髪型ではカバーしきれない場合はウィッグや増毛という方法もあります。広い範囲をカバーしたければフルウィッグを、特定のポイントのみ隠したい場合は部分ウィッグや貼り付けるタイプのウィッグを使うと良いでしょう。
ただしフルウィッグは頭皮の蒸れが気になります。ウィッグの手入れとともに頭皮のケアにもいつも以上に気を遣う必要があります。
育毛剤の使用
育毛方法・抜け毛予防法として定番なのは育毛剤の使用でしょう。育毛剤を頭皮に塗布してマッサージすることで、頭皮の血流を促進して毛母細胞に働きかけ、育毛促進・発毛促進を図ります。
育毛剤には血流を良くして育毛、発毛を促進する成分、頭皮を保湿する成分、皮脂をコントロールする成分、抗菌・抗炎症作用のある成分、脱毛を促す男性ホルモンを抑制する成分などが配合されています。頭皮環境を整えてフケ、かゆみを抑え、抜け毛を予防します。
育毛や発毛促進効果を実感するまでには時間がかかりますが、フケやかゆみ、抜け毛の効果は早く感じられるそうです。
育毛剤ランキングの人気育毛剤や、情報サイトの編集部おすすめの育毛剤も参考になるかもしれませんが、人気度だけでなく実際使用した人のレビューも見て、自分に合う育毛剤なのかも検討すると良いでしょう。ただし頭皮に炎症がある場合育毛剤は使用できません。
後頭部のはげ改善の治療方法まとめ
後頭部の薄毛やはげを本格的に改善したいリアル改善法といえば、専門の病院で行われる薄毛・発毛治療を受けることでしょう。治療薬での治療が一般的すが、専門の病院ではさまざまな薄毛・ハゲ治療が受けられます。
後頭部のはげ・薄毛を改善する治療法
皮膚科でも男性ホルモンが原因の男性型脱毛症の薬が処方されることがありますが、一般的な皮膚科では発毛治療が行われていません。発毛を目指すなら専門のクリニックに相談しましょう。
治療方法の主流は、薬の処方となります。治療薬のみで改善されない場合は毛髪を再生させるための注入治療や、自分の毛包を移植する自毛植毛法などの治療での改善方法があります。皮膚疾患や病気が原因の場合は、主病の治療が優先となるでしょう。
薄毛対策のために治療を始めたいけれど、なかなか踏み切れないという人もいるかもしれません。クリニックによっては写真画像をメールで送って相談したり、PCやスマホで頭皮の画像をチェックして、オンライン診察をしてくれるところもあります。
処方される薄毛治療薬
男性型脱毛症では進行を抑える内服薬のプロペシア(フィナステリド)、外用薬(または内服薬)のミノキシジルが処方されることが多いです。
女性のびまん性脱毛症では内服薬のパントガール、外用薬のミノキシジルまたはパントスチンなどが処方されます。
治療薬のみでは改善が見られない場合、早い治療効果を出すために、治療薬とは別に頭皮への薬剤や成長因子などの注入治療が行われることもあります。
自毛植毛
自毛植毛は主に後頭部のはげにくい部分の毛包を移植して、髪を増やす方法です。
後頭部全体が薄いと不可能となりますが、後頭部のつむじ付近が気になるならピンポイントで髪を増やすことができます。デザイン性も必要な手術方法です。
まとめ
後頭部は一般的にははげにくい場所と思われていますが、はげや薄毛になる可能性もある部位です。後頭部が薄くなる原因には脱毛を促す男性ホルモン、ストレス、頭皮の血流不足、パーマやカラー剤による炎症、頭皮性湿疹などの皮膚疾患などが考えられます。
円形脱毛症では後頭部にも円形状その他のはげができることがあります。女性に多いびまん性脱毛症は頭部全体の髪が薄くなるので、後頭部の薄くなっている部分が目立つこともあります。
日頃からできる薄毛対策法として生活習慣の改善、髪型やウィッグでの対処法、育毛剤の使用などが挙げられます。確実に改善したい場合、薄毛が進行している場合は専門のクリニックでの発毛治療が必要となります。
関連記事としてこちらの記事も合わせて参考にしてみてください。
・円形脱毛症は女性にも発症する!その原因や症状、治療方法を知ろう!
・生え際がハゲてきたかな?と感じたときのチェック方法!M字ハゲの原因と予防改善法を知ろう
・生え際の後退が気になる!ハゲ(薄毛)の原因と改善方法を理解しよう!