ヘルメットを被るとハゲる!対策法とヘルメットを選ぶときのポイントについて。

建築現場などでヘルメットをかぶって作業をしている人は、薄毛やハゲている人が多いとよくいわれます。

太陽の光に長時間さらされた場合、頭皮や髪の毛の紫外線によるダメージは避けられません。でも、ヘルメットをかぶっていれば紫外線を防止でき、紫外線によるダメージは軽減され、薄毛やハゲの予防になるのではないでしょうか。

ところが、ヘルメットは紫外線は防止できても薄毛やハゲの防止はできません。

最近は建設現場などで働く女性も多く、ヘルメットで薄毛になるという悩みは男性に限ったことではないようです。

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「ヘルメットでハゲる」は都市伝説?

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ヘルメットをかぶる目的は、外部の衝撃から頭部を守ることです。そのためヘルメットは、硬い素材で、壊れにくい形につくられています。また、かぶり方にもルールがあります。

そうしたヘルメットの構造や使い方が、雑菌などが繁殖しやすくし、薄毛やハゲにつながります。とくに、ほぼ一日中ヘルメットをかぶっていなくてはならない職業の人はリスクが高くなります。

どうやら「ヘルメットでハゲる」は、都市伝説ではないようです。

ヘルメットとハゲの関係を専門家が研究

2016年1月に、「帽子内環境研究会」が設立されました。

中心になっているのは、横浜市立大学医学部形成外科学非常勤講師/東京メモリアルクリニック 平山の院長・佐藤明男氏、医用電子工学専門/九州工業大学准教授・小西直樹氏、公衆衛生学専門/順天堂大学准教授・和田裕雄氏の3人です。

設立の目的は、ヘルメットや帽子をかぶることで頭部の環境がどのように変化し、それによって頭皮や毛髪にどんな影響があるのかを科学的に探索し、健康的に帽子を活用する具体策を研究によって導き出すこととされています。

研究会では、成人男性がヘルメットをかぶって、3時間の自転車型トレーニングマシンで有酸素運動を行うという簡易実験を実施しました。

当日の気温は19〜23℃でしたが、運動開始後30分程度でヘルメット内部の温度は約30℃に達しています。

湿度は、外気は平均31〜96%と幅がありましたが、ヘルメット内部は80〜100%でほぼ一定していました。

頭皮はもともとやや汚れていましたが、運動によって悪化しています。

細菌検査で、ニキビの原因のアクネ菌や呼吸器感染症を起こす肺炎桿菌などの13種を確認し、細菌類は運動で増える傾向にありました。

ただし、これらの汚れや細菌は、運動後に洗髪することで大幅に減少しています。

研究結果

研究会の代表、佐藤明男氏は、

  • 帽子やヘルメットと脱毛の関係を明確に突き止めていないが、過酷な帽子内環境が頭皮や毛髪に悪い影響をおよぼす可能性は十分に考えられる
  • 暑い夏などはとくに、野外でのヘルメット着用の際は、ときどき脱ぎ、着用後は適度な洗髪をすることが大切

と、結論づけています。

安全最優先のヘルメットの構造

それでは、本題に入りましょう。

ヘルメット着用のシチュエーションは、建築や土木工事などの現場で作業するとき、バイクに乗るときなどがあります。ここでは、着用時間が長く、過酷な着用環境が強いられる建築現場などの作業用ヘルメットに特化して検証することにします。バイク用にも共通する点が多くありますので、バイクに乗る人にも参考になるでしょう。

建築現場などで使用するヘルメットは、産業用保護帽という名称がつけられています。

現場では、ヘルメットは〝労働安全衛生法規定に基づく保護帽〟で、高いところから落ちたとき、物が落ちてきたとき、転倒したときなどに頭部を保護します。

構造は、頭部全体を覆って保護する「帽体」、着用する人の頭のサイズに合わせるための「ヘッドバンド」、頭へのあたりをよくして衝撃を吸収する「ハンモック」、ヘルメットの脱落を防止する「耳紐・あご紐」、発泡スチロール製の「衝撃吸収ライナー」などのパーツで構成されています。

ヘルメットは、部品が1つでも不足していたり、加工して形が変わっていると安全は確保できません。厳しい規格検定が実施されているのは、そのためです。

かぶり方にも決まりがあります。

頭頂部に水平に置いて、前方や後方に傾けず、水平のまま固定してかぶります。

ヘッドバンドは、着用時にヘルメットがぐらついたり、脱げてしまわないように、頭の大きさに合わせて調節します。

あご紐は、緩みが出ないようにしっかり締めて、かぶっている間は緩めたり外してはいけません。

ヘルメット内の蒸れが薄毛の原因

ヘルメットの素材や形状、頭とぴったり接していなくてはならないなどの着用のルールがヘルメット内の通気性を悪くします。

夏の暑い日、仕事が終わって現場から事務所にもどり、ヘルメットを脱いだら、頭全体からゆらゆらと湯気が立ち、まるでサウナに入っているようだ…。建設現場で一日中作業をしていた人の話です。

ヘルメットをかぶった頭部の通気性の悪さに加えて、運動する(=作業する)ことで熱を発し、高温になったところに汗と皮脂が大量に分泌、湿気も過多になります。この〝蒸れ〟が薄毛の原因です。

高温多湿は雑菌を異常繁殖させる

人の体には、あらゆる場所に常在菌と呼ばれる雑菌が棲んでいます。

腸に棲んでいるビフィズス菌は、私たちの健康に貢献してくれることでよく知られています。これでわかるように、常在菌はもともと人に害を与えるものではありません。

頭皮に棲んでいる常在菌は20〜30種といわれ、その中に、アクネ菌や、デモデクスフォリキュロラムとデモデクスブレビスという皮膚ダニがいます。

高温と湿気でサウナ状態になったヘルメットの中は、過剰に分泌した皮脂がアクネ菌や皮膚ダニの豊富なエサとなり、これ以上ない繁殖環境になります。

普段は肌を弱酸性に保ち、病原菌の抑制に貢献しているアクネ菌は、異常な増殖によって炎症やニキビを発症します。

毛根部分の棲んでいるデモデクスフォリキュロラムは、毛根や毛乳頭を荒らして頭皮の細胞の代謝に必要な栄養をエサにし、頭皮細胞や毛母細胞の代謝に大きなダメージを与えます。

皮脂腺に棲んでいるデモデクスブレビスは、皮脂腺とその周辺を荒らし、皮脂の分泌バランスを悪化させます。

頭皮の常在菌が異常に増えることで、常在菌が分泌する酵素が頭皮細胞と毛母細胞の代謝活動に関わり、抜け毛を進行させ、発毛を阻害することになります。

ヘルメットと頭頂部の摩擦も危険要素

ヘルメットをかぶると、ヘルメットに内装されているクッション材が頭頂部に接し、頭が動くとそこに摩擦が生じます。

摩擦で頭頂部の髪の毛が擦れるという状況が続くと、髪の毛はコシがなくなって細くなり、ぺったりとしてボリュームがなくなるなど、毛量や毛質に変化が生じます。

脱毛につながる皮膚炎に注意

人の皮膚のみに常在するマラセチア真菌は、体のほかの部分より皮脂量が多い頭皮に多く棲んでいて、皮脂の分泌が過剰になると大量に増殖します。

それが原因で、脂漏性皮膚炎あるいは粃糠性皮膚炎を発症することがあります。

マラセチア菌が分泌する酵素は皮脂を脂肪酸に分解し、このとき皮膚に炎症が起きます。これが脂漏性皮膚炎です。

頭皮が赤くなってかゆみも発症し、カサカサになってフケが多くなります。炎症が悪化すると、その部分の髪の毛が抜けてしまうこともあります。

粃糠性皮膚炎は、大量に発生した細かいフケが毛穴に詰まって炎症を起こします。激しいかゆみを伴い、悪化すると髪の毛が抜けていきます。

これらの皮膚炎が疑われたら、できるだけ早く治療をしましょう。

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ヘルメット着用時の注意とケア

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ヘルメットをかぶることで薄毛になる危険性を回避したり、すでに始まっている薄毛の進行を止めるには、ヘルメットを選ぶとき、かぶるとき、かぶっているとき、脱いでからなど、さまざまな場面で有効な方法を実践することです。

ヘルメットを選ぶポイント

ヘルメットは細かい規定に沿ってつくられますが、中にはより快適に着用できるよう工夫をこらしているものもあります。

・適切なサイズを選ぶ

サイズが大きすぎたとき、よくタオルをヘルメットの下に巻いて調整したりしますが、これはやめましょう。汗や皮脂でタオルは濡れ、ヘルメット内はさらに高温多湿になります。

サイズが小さすぎるヘルメットは長時間かぶっているうちに頭を締めつけ、頭皮の血流が悪くなります。血流が悪くなると毛母細胞への栄養供給が十分にできず、発毛を阻害します。

・遮熱ヘルメットを選ぶ

ヘルメットの帽体部分に遮熱作用を施してあり、夏の強い太陽光や作業する場所の輻射熱を反射することで遮熱します。遮熱効果はたいへん大きく、ヘルメット内部の温度の上昇を大幅に抑えます。

・通気性のいいヘルメットを選ぶ

帽体に空気穴があいているものがあります。確かに穴のないものに比べたらいくらかは通気性がいいでしょう。ですが、雨が降ったら、穴から雨が入ってくることは避けられません。

帽体の内側に、大きな通気孔が、前から後ろに向かって、前から上方向に、側面に向かってと、空気が流れるようになっているものがあります。これなら、雨が入ってくる心配はありません。いろいろなタイプがあるので、着用環境に合わせて選んでください。

かぶるときの工夫で快適さを向上

かぶるときにちょっとした工夫をすることで、ヘルメットの内部環境が格段によくなります。

・アンダーキャップをかぶる

インナーキャップともいいます。薄手の帽子をかぶってから、ヘルメットを着用しましょう。

風通しのいいメッシュのもの、水を含ませるシートが付いているものなど、吸汗速乾、清涼、抗菌など、さまざまな効果を謳ったアンダーキャップが市販されています。

水泳帽型、ニット帽型などデザインも多彩です。ヘルメットや自分の頭と、サイズや形が合うものを選びましょう。

・天然素材の布を頭頂部にのせる

コットン100%のハンカチや手ぬぐいを1枚、頭頂部にのせてからヘルメットをかぶります。

衝撃吸収ライナーなどの化学素材が、頭皮や髪の毛への刺激になってトラブルを起こすことがあります。

ヘルメットが直接当たる部分に、天然素材の布をのせましょう。汗や皮脂を吸い取り、緩衝材としての効果もあります。

また、ヘルメットをこまめに脱いで汗を拭きとることも有効です。

ヘルメットは常に清潔に

ヘルメットが汚れるのは当然…と、放っておいてはいけません。

汚れや臭いをそのままにしておくと、ヘルメットの中はどんどん不衛生になります。頭皮や髪の毛への影響ははかり知れません。

とにかく、使ったら洗いましょう。洗い方をいくつか紹介します。

・丸洗いする

ヘルメットがすっぽり入る大きさのバケツ、洗面器などを用意します。

バケツにぬるま湯を入れ、消臭除菌タイプの洗濯用洗剤を適量入れます。

その中にヘルメットを浸し、スポンジでヘルメットの隅々まで洗います。

洗剤が残らないように、念入りにすすぎ、水けを拭きとってから陰干しします。

・分解して洗う

ほとんどのヘルメットは分解できます。帽体、紐、衝撃吸収ライナーなどのパーツをバラバラにして、それぞれに合った洗い方をしましょう。

洗剤は食器用の中性洗剤を使います。

紐類は、洗面器などに水を張って洗剤を適量入れた中に浸し、しばらくおいてからもみ洗いをします。よくすすいでから、陰干しにします。

帽体は、洗剤を水で薄めて食器用のスポンジに含ませて汚れを拭きとります。

衝撃吸収ライナーは、すっぽり入るくらいの洗面器などに洗剤液をつくって浸し、押し洗いをします。

洗ったら、流水にさらして洗剤が残らないようにしっかりすすぎます。

乾いた布で水けを拭きとり、陰干しにします。天日干しは厳禁です。衝撃吸収ライナーの素材(発泡スチロール)は、直射日光に弱く、変形しやすくなります。

乾いたら、除菌スプレーを吹きかけておきましょう。

汚れ落としにシンナーは使わないでください。ヘルメットの素材になってる、プラスチックや発泡スチロールを傷めて、変形する可能性があります。

・除菌をする

洗えないときは、除菌だけでもしましょう。雑菌を取り除いてしまえば、臭いもなくなります。

安定型次亜塩素酸水、あるいは70%エタノールなら効果が確実です。また、消毒用エタノールを水で薄めて使ってもいいでしょう。

消臭スプレーを使う場合は、除菌・抗菌作用のあるものを選んでください。

毎日の頭皮と頭髪のケアは大事

毎日シャンプーするのは、頭皮や髪の毛に負担をかけるといわれます。ですが、ヘルメット着用者は別です。

ヘルメットをかぶっていた日は、必ずシャンプーをします。その日のうちに、汗や皮脂、頭皮や髪の毛に付着している微細なゴミやホコリ、細菌などを洗い流しましょう。

ただし、正しいシャンプーのしかたを厳守してください。乱暴なシャンプーやシャンプー剤を間違うと、かえって頭皮や髪の毛を傷めることになります。

・正しいシャンプーの仕方

  • シャンプーをする前に、ブラッシングをしてホコリやゴミを取り除きます。
  • ぬるめのお湯で予洗いをして、頭皮と髪の毛の汚れをさらにしっかり落とします。
  • シャンプー剤は、適量を手にとって十分に泡立ててから、頭皮全体につけます。
  • 指の腹で、頭皮マッサージをするようにやさしく洗います。
  • 泡で髪の毛を包み込むようにし、襟足から頭頂部に向かって洗っていきます。
  • すすぎは十分に、シャンプー剤が残らないようにていねいにしてください。
  • トリートメントをして、タオルドライ、そしてドライヤーで乾かします。

・アミノ酸系のシャンプー剤を使う

皮脂が頭皮に溜まっているといっても、やみくもに全部を洗い流せばいいというわけではありません。

頭皮に必要な分の皮脂まで取り除いてしまうと、皮脂は適量を保つためにさらに分泌量を増やします。

適量の皮脂を残すには、適度な洗浄力のシャンプー剤を使う必要があります。

シャンプー剤の洗浄力は、配合されている洗浄成分、つまり界面活性剤の種類で決まります。

界面活性剤には、石鹸系(合成界面活性剤)、高級アルコール系、アミノ酸系があります。

石鹸系と高級アルコール系は洗浄力が強く、皮脂をすっかりといっていいほど洗い流してしまいます。それに対してアミノ酸系は、洗浄力が弱く、適度な皮脂を残します。

牛乳石鹸に代表される固形石鹸は、シャンプーにはおすすめできません。固形石鹸は、石鹸カスが残って、十分すすいだつもりでも頭皮や髪の毛に付着することが多くあり、頭皮トラブルの原因になります。

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まとめ

AGA(男性型脱毛症)は、男性ホルモンのテストステロンが還元酵素と結合することでジヒドロテストステロンに変化することが原因です。

一方、ヘルメットを着用して薄毛やハゲになるのは、ヘルメットに起因して起こる物理的なストレスが原因です。

日常的にヘルメットをかぶっている人は、高い確率で薄毛やハゲになる可能性があります。症状があらわれていなくても、薄毛の予防や育毛に効果のあるケアを生活習慣にしましょう。

整髪料は化学物質です。ヘルメットをかぶる日はつけないようにしましょう。頭皮や頭髪に、さらによけいなものが付着することになります。

育毛剤はぜひ使ってください。劣悪な環境にさらされている頭皮や髪の毛の健康に役立ち、薄毛の進行を遅らせることもできるはずです。

ヘルメットを脱いだとき、頭頂部の髪の毛が薄くなっていると感じたら、AGAの可能性も否定できません。専門のクリニックや病院で治療することをおすすめします。

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