ハゲ・脱毛症の症状にもいくつかの種類があり、種類によって原因も異なります。ハゲに良い予防対策や治療法などが紹介されている記事を目にする機会も多いですが、各症状に合わせた対策方法を行わなければ改善されません。
誤った対策方法を行わないためにも、まずはハゲ・脱毛症の種類について知識を得て、適切な対策法を行うことがおすすめです。ハゲ・脱毛症の種類と症状別治療と対策法について紹介しますので、参考にしてください。
ハゲ・脱毛症の種類と原因
ハゲ・脱毛症には多くの種類があります。育毛剤や発毛剤、治療薬の存在も身近になりましたが、脱毛症の種類によって、また症状の程度によっては全く合わない方法ということもあり得ます。全てはご紹介できませんが、主なハゲ・脱毛症の種類及びその原因について見ていきましょう。
男性型脱毛症
男性型脱毛症AGAは男性に最も多い脱毛症の症状であり、30代頃から髪が後退したり頭頂部が薄くなる男性はAGAである可能性が高いです。額の生え際や頭頂部が薄毛になったりハゲていくのが特徴です。
男性に多いAGAは男性ホルモンが原因であることがわかっています。もともと男性ホルモンのほとんどはテストステロンというホルモンが占めているのですが、遺伝、加齢などによりテストステロンがジヒドロテストステロンという脱毛ホルモンに変換されやすくなります。
毛乳頭にある男性ホルモン受容体と脱毛ホルモンが結合するとヘアサイクルが短くなって、髪が十分成長しないまま抜け毛のサイクルが早くなり、やがて薄毛、ハゲの症状を引き起こします。
進行性の脱毛症であり、その進行の仕方にもいくつかパターンがありますが、AGAの種類については次の章で説明します。
なお必ずしも遺伝要因のみで発症するわけではないようです。ストレスや生活習慣との関連で脱毛ホルモンの分泌が増えるという指摘もあり、生活習慣の改善でも発症を防ぐ効果があるのではないかと言われています。
女性男性型脱毛症
女性男性型脱毛症とは、女性が脱毛ホルモンの影響を受け髪が薄毛になっていく脱毛症です。男性のように頭頂部や生え際が大きくハゲていくことは珍しいですが、頭頂部、分け目、前髪などを中心に地肌が目立ち、薄毛に悩まされることがあるようです。
加齢により髪を育てる女性ホルモンの減少、、ストレスによるホルモンバランスの乱れなどにより、男性ホルモンの影響を受けやすくなります。つまり脱毛ホルモンの影響を受けて発症するのが女性男性型脱毛症です。
びまん性脱毛症(瀰漫性脱毛症)
びまん性脱毛症は頭部全体の髪の毛が薄くなる症状です。女性型脱毛症に多い症状とされています。女性男性型脱毛症もびまん性脱毛症に含まれます。女性の場合は加齢による女性ホルモン減少、ストレス、ダイエットによる栄養不足、その他には膠原病や貧血、感染症なども原因と考えられます。
円形脱毛症
円形脱毛症は頭部のあちこちで起きる脱毛症で、よく知られているのが10円~500円硬貨程度のサイズでハゲができる単発型の円形脱毛症です。単発型以外にも多数脱毛部分ができる多発型、髪全体で脱毛が起きる全頭型、髪の毛以外の顔の毛、体毛が抜け落ちる汎発型などがあります。
ストレスが引き金で起きることが多いようですが、自己免疫疾患の一種とされています。自己免疫疾患とは免疫系の異常であり、体内の免疫機能を持つリンパ球が髪を異物と判断、毛包の細胞を攻撃して髪が抜け落ちるとされています。アトピーとの関連も指摘されています。
脂漏性脱毛症
過剰な皮脂分泌が原因で、皮膚の常在菌であるマラセチア菌が繁殖して起きる皮膚炎が脂漏性皮膚炎です。脂漏性皮膚炎は頭皮や鼻の周り、背中など皮脂分泌がさかんなところで好発し、頭皮の脂漏性皮膚炎を悪化させると脂漏性脱毛症を発症することがあります。
粃糠性脱毛症
粃糠(ひこう)性脱毛症も上述の脂漏性脱毛症同様、マラセチア菌の異常繁殖により起こります。粃糠性脱毛症は乾燥したフケが毛穴を塞いで炎症を起こし、脱毛が起こる症状です。
牽引性脱毛症
牽引性脱毛症は髪を引っ張るような髪型をしている人、エクステンションなどをしている人で見られます。頭皮に負担をかける髪型が原因で、額や耳周りなどの髪の生え際が後退、薄毛になる脱毛症です。
抜毛症
抜毛症は自分の髪の毛や体毛などを引き抜く症状です。脱毛症とは異なるものですが、抜毛症が治らないと脱毛症同様髪がハゲた状態になってしまいます。
原因ははっきりとしていませんが、不安やストレスとの関連が指摘されています。抜毛症が悪化する前に早めに精神科や心療内科での治療がおすすめされています。
男性型脱毛症のハゲの種類
男性に最も多いとされる脱毛症、男性型脱毛症は進行性の脱毛症です。脱毛の進行の仕方にも個人差がありますが、主に3種類のパターン(O字はげ・M字はげ・U字はげ)があります。それぞれどのような特徴があるのか、見ていきましょう。
O字型はげ(O字はげ)
O字はげ(Oはげ)はつむじ部分周辺、頭頂部から髪が薄くなっていくのが特徴です。頭頂部の毛乳頭には5αリダクターゼと呼ばれる還元酵素が多く分布されるとされ、5αリダクターゼは普通の男性ホルモンを脱毛ホルモンに変換する作用があります。
遺伝により頭頂部の還元酵素の活性度が高い人や脱毛ホルモンの受容体の感受性が高い人はO字はげになりやすいです。男性脱毛症の中で日本人でも最も多いタイプとされています。
M字型はげ(M字はげ)
M字はげ(Mはげ)は額の生え際の髪が、剃り込みが入ったように後退していくのが特徴、生え際のラインがアルファベットのM字のような形になります。生え際も5αリダクターゼが多く分布しているため、脱毛ホルモンの影響を受けやすい部分です。
欧米人男性に多いハゲのタイプとされていますが、日本人でもM字はげの人は結構いるようです。若い男性でも額の前髪を上げてみたら生え際がM字に後退しているのを見て驚き、育毛剤や治療を検討する人も少なくないようです。
男性の場合20歳頃をピークに髪の量は年々減っていく傾向にあるそうなので、あまり神経質にならなくても良いかもしれませんが、油断しているとじわじわと後退が進んでいることもあるので注意が必要です。
軽度のM字はげなら髪型でもカバーしやすいです。生活習慣の見直しとともに髪型で対処しつつ、後退が進んできたら治療を検討してみることもおすすめされています。
U字型はげ(U字はげ)
U字はげ(Uはげ)は額の生え際全体が後退していく症状です。前頭部全体も5αリダクターゼが多く分布しているため、脱毛ホルモンの影響を受けやすいです。額全体が広くなるため、ハゲの症状も目立ちやすく、後退が進むと髪型でカバーするのも難しくなってくる恐れがあります。
U字はげは鏡で自分の姿を見ていてもわかりやすいと思われます。髪の後退を避けたい人は早めに対策を打つことが必要です。初期症状であれば薬の服用のみでもある程度抑えられるとされています。
ハゲ・脱毛症の発症年齢による種類
ハゲ、脱毛症の発症年齢により、種類が分けられることもあります。若い人と年齢を重ねてからの脱毛症では、似たような症状でも原因や対策が異なるケースもあります。未成年には使用できない治療薬もあるので、注意が必要です。
若年性脱毛症
10代~20代、または30代前半までの若い世代で発症する脱毛症を総称して若年性脱毛症と呼ばれています。若年性脱毛症は特定の疾患ではありません。「若ハゲ」というときは進行性の脱毛症である男性型脱毛症を指すことが多いです。
若年性脱毛症にはさまざまな原因が考えられます。AGAの原因である脱毛ホルモンは30代以降に増加することが多いとされていますが、遺伝・体質で10代、20代でも増加し、AGAを発症するケースもあるそうです。
10代、20代のうちはストレスも抱えやすく、上手に対処する術を持たないこともあります。ストレスは自律神経やホルモン分泌に悪い影響を与え、血行不良を招き、抜け毛やハゲ、また白髪が出ることもあります。その他の原因では甲状腺などの病気、自己免疫疾患なども考えられます。
AGA治療薬は10代には安全性が確立されていないため、使用することができません。一時的なストレス性の薄毛が原因と考えられ、育毛剤などでのケアや生活習慣の見直しがおすすめされています。
壮年性脱毛症
壮年性脱毛症は40代(30代後半)~50代を中心に見られる脱毛症で、男性型脱毛症や女性男性型脱毛症の一種と捉えるのが一般的なようです。
壮年性脱毛症は男性型脱毛症とほぼ同じですので、直接の原因は脱毛ホルモンです。髪のヘアサイクルが脱毛ホルモンの影響で短くなり、抜け毛が増えて薄毛、ハゲの症状が起こります。
脱毛ホルモンの影響の受けやすさは遺伝によるところが大きいようです。年齢を重ねてもハゲにくい人は脱毛ホルモンの影響を受けにくいと考えられます。
しかし過去にハゲ・薄毛になりやすい遺伝子を持った一卵性双生児を対象に調査したところ、兄弟でハゲた人とハゲない人がいたそうです。生活習慣など遺伝以外の要因も大いに考えられます。
老人性脱毛症
60代以降の脱毛症は老人性脱毛症と呼ばれ、細胞の老化によって起こる脱毛症です。自然な老化現象のため対策することが難しいですが、食生活や運動など、日常生活での対策によりハゲを防ぐことができるかもしれません。
AGAとは異なり頭頂部や生え際から薄くなるというより、頭部全体が薄くなっていくのが特徴とされています。
ハゲの対策方法とハゲの種類
ハゲ・薄毛の代表的な予防対策方法として、育毛剤やシャンプーでのヘアケア、また生活習慣の改善が挙げられます。各対策方法の紹介と、対策に合ったハゲの種類、症状についても確認しておきましょう。
育毛剤での育毛対策
育毛剤には育毛成分や頭皮ケア成分が配合され、頭皮の血流が悪くなっていたり、頭皮環境が悪くなっている人の炎症予防にも効果的とされています。ストレス性の薄毛の人、初期の男性型脱毛症や女性男性型脱毛症の人、一時的な産後の脱毛症などの頭皮ケアとしても有効と考えられています。
育毛効果を確認するために自分で画像を撮って、髪の量のチェックしながら対策すると良いと言われています。
ただし脱毛症状が進んだ薄毛対策・はげ対策を育毛剤のみで行っても改善させることは難しいと考えられます。脱毛症状が進んでいる場合は治療での対策が有効となります。一般的な薬用の育毛剤ではなく、医薬品成分の入った発毛剤などの使用でも効果が期待できます。
脂漏性皮膚炎など頭皮の炎症が原因で起きた脱毛症も、育毛剤を塗布すると悪化する可能性があります。頭皮に異常がある場合は使用できないので注意しましょう。
ヘアケアでの対策法
毎日のヘアケアであるシャンプーでの対策は、特に皮膚炎が原因で脱毛症になった人には重要な対策法です。脂漏性脱毛症、粃糠性脱毛症の改善には抗真菌剤の入ったシャンプーを使用し、皮膚炎の原因となるマラセチア菌の働きを弱めることも有効とされています。アトピー肌の人や敏感肌の人は特に刺激の少ないシャンプー選びが必要です。
男性型脱毛症では脱毛ホルモンの影響を受けて、頭皮の皮脂が過剰になりがべたつくことがあります。頭皮がべたつくと髪のボリュームも減り、かえって薄毛が目立つことにもなりかねません。頭皮に負担をかけず、かつ汚れをしっかり落とす質の良いシャンプー選びがおすすめです。
育毛効果も期待したいのであれば育毛シャンプーがおすすめです。口コミやレビューの記事なども参考にして、髪に良さそうなものを選ぶと良いでしょう。
頭皮環境が悪いままだと炎症を起こし、抜け毛や薄毛を招く可能性もあります。今はまだハゲていないという人もヘアケアには気を遣った方が良いとされています。
生活習慣での対策法
多くの脱毛症で生活習慣の改善は脱毛症状の改善にも繋がると考えられます。髪が生成されれるには髪の材料であるタンパク質や、ビタミン、ミネラルなどの栄養素が必要です。栄養バランスの良い食事を心がけ、脂質・糖質の高い食事に偏らないようにしましょう。
お酒の飲み過ぎは髪の生成に必要なアミノ酸を消費し、ビタミンや亜鉛などの吸収を阻害、脱毛ホルモンが増える原因とも言われています。お酒は適量を守るようにしましょう。なお赤ワイン、りんご、小豆などに含まれているポリフェノールはハゲや薄毛の改善に効果があると言われています。
ハゲ・脱毛症の種類別治療法
最後にハゲ・脱毛症の種類別の治療方法(男性のAGA、女性の薄毛、円形脱毛症)を紹介します。脱毛症の症状によって治療方法が異なるので、自分の症状がどのような薄毛の症状なのか把握しておくことも必要です。
男性のAGA治療法
一般の皮膚科でも脱毛抑制効果のあるAGA治療薬を処方してくれるところも増えているようですが、発毛治療を受けたければ専門クリニックでの治療がおすすめされています。男性のAGA治療では治療薬、注入治療、植毛などの治療が行われます。
AGA治療で処方される薬には、プロペシア(フィナステリド)、ミノキシジルなどがあります。プロペシアはAGAの進行を抑える効果のある薬で、ミノキシジルは血流を良くして毛母細胞の分裂を活発にし、脱毛抑制だけでなく発毛効果のある薬です。
女性の薄毛治療法
女性の薄毛(びまん性脱毛症・女性男性型脱毛症)の治療方法も男性のAGA治療と似ていますが、使用される治療薬が異なります。パントガール、パントスチン、女性用の濃度の薄いミノキシジルなどが治療で使われます。
円形脱毛症の治療法
円形脱毛症は自然治癒する場合も多いですが、治りが良くない場合は治療が必要になります。脱毛部分が狭い場合はステロイドやカルプロニウム、セファランチンなどの治療薬、また脱毛部分にステロイドを局所注射することもあります。
脱毛部分が広い場合、脱毛が半年異常続いている場合は局所免疫療法(かぶれを特殊な薬剤で起こすことで治療する方法)が有効とされています。
まとめ
ハゲ・脱毛症にはさまざまな種類があり、男性に多い男性型脱毛症(AGA)、女性に多いびまん性脱毛症・女性男性型脱毛症、円形脱毛症、脂漏性脱毛症、粃糠性脱毛症、牽引性脱毛症などがあります。
男性型脱毛症は壮年期の男性にとって特に心配な脱毛症であり、頭頂部や生え際などからハゲや薄毛が進行していきます。脱毛を起こす男性ホルモンの影響を受けやすい人が特に発症しやすいそうです。
育毛剤やシャンプー、生活習慣の改善は薄毛やハゲの対策にも有効とされています。しかしハゲや脱毛の種類や程度によっては有効でない場合や不十分であることもあり、治療が有効なケースもあります。自分のハゲの種類、症状の程度を理解することで有効な対策を打つことができるでしょう。
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