そりこみが後退してしまうM字ハゲ、若い人でもその兆候が見られることがあるようです。普段前髪をおろしていると気づきにくいですが、ある日ふと鏡を見たら思っていた以上にそりこみ部分が後退しているのに気がついて、ショックを受けることもあるかもしれません。
遺伝以外にも生え際のそりこみが後退してしまう原因があるようです。日頃からできるそりこみの後退対策方法、さらには薄毛治療でそりこみの後退を食い止める方法もあります。
そりこみが後退する脱毛症とは
男性で額のそりこみが後退してしまうのは、男性型脱毛症(AGA)が原因と考えられます。男性の薄毛にもいろいろな症状がありますが、そのほとんどがAGAと言われています。CMでもよく聞かれるAGAとはどのような脱毛症なのでしょうか。
男性型脱毛症(AGA)とは
男性型脱毛症(AGA)とは脱毛ホルモンDHTが直接の原因で起きる脱毛症です。DHTは男性ホルモンであり、元々は体内に多く存在するホルモンではありませんが、強力な作用があります。
テストステロンという男性ホルモンが5αリダクターゼという還元酵素に変換されて、DHTが作られます。DHTには髪の脱毛作用、体毛を増やす作用、皮脂を増やす作用があります。
悪玉男性ホルモンであるDHTが、毛根の毛乳頭細胞にあるレセプターと結合すると脱毛指令が出され、髪の元となる毛母細胞の分裂が不活発になります。
毛母細胞の分裂が弱まると髪の生え変わりの時期であるヘアサイクルの成長期が短縮、髪が成長しないまま抜ける毛が増えたり、細く弱い毛ばかりになります。はげ方には個人差がありますが、頭頂部、生え際を中心に薄くなる傾向があります。
M字はげもAGAの一種
脱毛ホルモンDHTを生成する還元酵素は頭頂部や前頭部の毛乳頭に多く存在するため、頭頂部や前頭部で抜け毛・薄毛を発症しやすいです。
頭頂部から薄毛になるのをO字はげ(つむじハゲ)、生え際でそりこみが入ったように後退するM字部分の薄毛がM字はげ、前頭部の生え際全体が後退していく薄毛をU字はげと呼びます。
老人性脱毛症とM字ハゲは関係がある?
いわゆる壮年期以降、60歳以降の薄毛を老人性脱毛症と呼びますが、AGAのように男性ホルモンの影響ではなく、細胞の老化による薄毛の症状と考えられます。髪の毛以外にも体毛も薄くなり、薄毛になる部分もAGAのように特定されていません。
そりこみが後退する原因
そりこみが後退してしまうM字ハゲは、遺伝要因が大きいと言われています。ハゲ・薄毛の家系だと今は目立たないそりこみが、今後ますます後退する可能性もあります。さらにそりこみを後退させてしまう原因が、遺伝以外にもあるようです。
遺伝
ハゲ・薄毛と遺伝は深く関与していると言われています。M字ハゲを含むAGAが遺伝する確率は25%と言われており、脱毛ホルモンを作り出す還元酵素の分泌量は遺伝によるところが大きいようです。毛乳頭のレセプターとの結合しやすさも、遺伝が関与していると言われています。
特に還元酵素の活性を決定する遺伝子は、母方から受け取るX染色体にあるそうです。そのため、ハゲ・薄毛は母方の祖父から特に遺伝しやすいと言われています。
ただしAGAを発症しやすい遺伝子を受け継いだからといって、必ずしもAGAを発症するというわけではありません。日頃の生活習慣、生活環境なども、薄毛やハゲを発症するかどうかに関わっているそうです。
食生活
食生活が乱れていると髪に栄養が行き渡りにくくなり、髪に元気がなくなる可能性があります。男性の場合は栄養不足になることは少なそうですが、髪が作られるにはタンパク質だけでなくビタミンやミネラルも必要です。
外食が続いたり偏った食生活をしていると、特定のビタミン、ミネラルが摂取しにくくなる可能性があるので注意が必要です。
糖質や脂質が高い食事も血液の流れを悪くし、髪に栄養が行き渡りにくくなる原因と言われています。
アルコールの飲み過ぎも髪に良くないと言われています。髪の生成に必要なアミノ酸がアルコールの分解に使われたり、ビタミンやミネラルの吸収が悪くなり、脱毛ホルモンDHTを増やすとも言われています。
睡眠不足
睡眠中は髪や肌を育てる成長ホルモンが多く分泌されます。特に夜10時~深夜2時に成長ホルモンの分泌が最も多く出ると言われていますが、ぐっすり眠ることでも十分な成長ホルモンが分泌されるそうです。
しかし睡眠時間が不足したり、浅い眠りだと成長ホルモンの分泌量が減少する原因になります。成長ホルモンの分泌量が減少することで、髪が健やかに育つチャンスが失われてしまいます。
さらに寝不足の状態が続くと体の疲労が回復しにくくなります。疲労が蓄積すると体内のエネルギーが頭皮に送られず、疲労の回復に費やされてしまいます。髪に栄養が行き渡りにくくなり、その結果抜け毛や薄毛など髪の健康にも悪い影響を与える可能性があります。
ストレス
家庭や職場、人間関係の精神的ストレス、病気やケガなどの身体的ストレスを強く感じていると、心身の状態にさまざまな悪い影響を与えます。髪にも悪い影響を与え、ストレスで髪が薄くなることもあるようです。
私たちの体はストレスを感じると、自律神経の交感神経が優位になり、血管が収縮、筋肉が緊張状態になります。血管が収縮すると血行不良を招き、髪にも栄養が行き渡りにくくなります。寝付きも悪くなり、睡眠不足になりやすいです。
そりこみが後退しているかチェックする方法
おでこの前髪を上げてみるとそりこみが後退しているように見え、不安に感じることもあるかもしれません。もしかしたら単なる気のせいという可能性もあります。M字ハゲが進行し始めているのかどうか自分でできるチェック方法もあるので、ご紹介します。
前髪の量の変化をチェック
もし剃り込みが後退しているのであれば、前髪の量にも変化が現れているはずです。前髪を普段上げている人や短髪の人は前髪の量の変化がわかりにくいですが、もともと前髪がある人は以前の写真と今の姿を見比べて、前髪が少なくなっていないかチェックしてみましょう。
前髪にボリュームがなくなっているようであれば、M字ハゲが進行している可能性があります。このままM字ハゲが進行していく恐れがあります。
毛穴から出ている髪をチェック
鏡の前で見てもわかりづらいので、スマホなどで自分のおでこの生え際を写真に撮って、毛穴から出ている髪の様子をチェックする方法です。
毛穴から出ている髪の毛は1本から4本程度です。髪がたくさん生えているところでは、1つの毛穴からたくさんの髪の毛がたくさん生えており、額の生え際、皮膚と髪の境目では1つの毛穴から1本だけ髪が生えているそうです。
おでこの中央部分とそりこみ部分を比較してみて、毛穴から出ている髪の本数や太さをチェック、そりこみ部分の髪の方が本数も少なく太さもあまりないようであれば、そりこみ部分は薄毛の症状が出始めている可能性があります。
ただしそりこみ部分や生え際は産毛が生えやすい部分でもあり、生まれつきそりこみが入っている人もいるので、人によっては確かでないチェック方法です。
生え際と頭頂線の距離をチェック
左右の耳を頭頂部の上を通るように結んだ線を頭頂線といいます。剃り込みの部分と頭頂線の距離が2cm未満である場合、M字ハゲがすでに進行していると考えられます。AGAクリニックでもこのチェック方法を用いて、M字ハゲかどうかの判断基準にしています。
そりこみが後退したときの対策方法
そりこみが後退し、M字ハゲの兆候が見られるなら、早めに対策をしておいた方が良いでしょう。食生活や不規則な生活が薄毛の原因になることもあります。思い当たる人は生活習慣の改善を図り、さらに育毛剤や育毛シャンプーなどの育毛グッズも併せて使うと良いでしょう。
生活習慣を改善する
そりこみの後退が気になり始めた人は、M字はげ化が進む前に生活習慣の見直しもしておくのがおすすめです。
食生活が乱れている人は、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。髪の毛が育つにはタンパク質だけでなく、ビタミンやミネラルも必要です。肉食中心の人は緑黄色野菜や魚介類、大豆製品、海藻類も摂取するようにしましょう。
糖質や脂質の摂り過ぎは血液の流れを悪くしやすいです。お酒も意外に糖質が含まれているので注意してください。アルコールの過剰摂取は脱毛ホルモンを増加させるとも言われています。適量に留めておきましょう。
喫煙も血行を悪くする原因になります。また喫煙はビタミンCも大量に消費されると言われ、皮膚のハリを保つコラーゲンが不足する可能性もあります。頭皮のハリがなくなることで、健康な髪も育ちにくいと言われています。なるべく喫煙は控えた方が良いようです。
適度に体を動かすことは、血行促進と成長ホルモン分泌の増加にも繋がるそうです。1日30分程度の有酸素運動、寝る前の筋トレなどが効果的とされています。
運動はストレスの解消にもなります。ただし疲労が蓄積するほどの運動は逆効果なので、適度な運動量で抑えておきましょう。
育毛シャンプーを使用する
脱毛ホルモンのDHTは皮脂分泌量を増やす作用もあります。皮脂分泌が多いと頭皮も脂っこくなりやすく、頭皮環境を悪くする恐れがあります。健康な髪を育てるのに、日々のヘアケアで頭皮環境を整えておくことも重視されています。
ただしシャンプーのし過ぎや刺激・洗浄力の強いシャンプーの使用も、頭皮環境を悪化させ抜け毛が増える原因になります。シャンプーは1日1回がベストです。品質の良い育毛シャンプーを使って、頭皮と髪の汚れを優しくしっかりと落とすのがおすすめです。
育毛シャンプーにも育毛成分が多数含まれているものがありますが、シャンプーは洗い流してしまうので大きな育毛効果は期待できません。育毛剤と併用することでより高い効果が期待できます。
育毛剤を使用する
育毛シャンプーで頭皮環境を整えた後に、育毛剤を使用してM字はげ対策をするのもおすすめです。育毛剤には育毛・発毛促進・頭皮ケアのための成分が配合されています。育毛剤によっては悪玉男性ホルモンの生成を抑える作用のある成分も、多数配合されています。
育毛剤を塗布したあとは頭皮マッサージを行います。育毛剤には血行促進成分が配合されていますが、マッサージをすることでより血流を良くし、育毛効果を高めることが期待できます。毎日マッサージをすることで、毛髪が太くなったという実験結果もあります。
育毛サプリを服用する
育毛サプリで体の内側からも育毛対策・薄毛対策を行うこともおすすめされています。育毛サプリに配合されている成分にはノコギリヤシ、亜鉛、イソフラボン、フィーバーフュー、カプサイシンなどがあります。
ノコギリヤシには還元酵素の働きを抑制、脱毛ホルモンDHTの生成を抑える作用があると言われる成分です。
ノコギリヤシとAGA治療薬をAGA治療に用いた研究で、両者の治療効果を比較したところ、ノコギリヤシにはAGA治療薬ほどの効果は認められなかったですが、一定の改善効果が見られたそうです。
ただしノコギリヤシでの薄毛改善効果は頭頂部のみで見られたそうです。ノコギリヤシ単体ではM字ハゲの改善は厳しいようです。
亜鉛やイソフラボン、フィーバーフューにも脱毛ホルモンの生成を抑える作用があるとされています。亜鉛はケラチンの合成に関与するミネラルです。イソフラボンは女性ホルモン様の作用によって、髪を育てる作用があるとされています。
カプサイシンは唐辛子に含まれている成分で、イソフラボンとカプサイシンの相乗効果で成長因子が増加、薄毛やハゲが改善されると言われています。
育毛サロンに通う
少しお金がかかりますが、育毛サロンで施術を受けるという方法もあります。頭皮の状態をチェックし、プロの施術で頭皮環境の改善と血行促進に効果が期待できます。頭皮環境の悪化が原因で抜け毛が増えている人には有効でしょう。
美容師にM字ハゲをカバーする髪型にしてもらう
髪の専門家である美容師に、後退したそりこみをカバーする髪型にしてもらうのもおすすめです。とてもそりこみが後退していたとは思えないぐらいに、髪型を変えるだけで劇的に改善される人もいるそうです。薄毛に悩む男性専門の美容室もあります。
そりこみが後退したときの薄毛治療
そりこみがかなり後退し、m字はげがすでに目立ってきたという人は、薄毛治療・AGA治療という選択肢もあります。m字はげ対策になるAGA治療には、内服薬・外用薬での投薬治療、注入治療、自毛植毛などの治療法があります。
AGA治療は専門のクリニックで
一般の皮膚科や内科でもAGA治療薬のプロペシアを処方しているところもあります。プロペシアはそりこみの後退を抑えるのには効果的かもしれませんが、発毛まではあまり期待できません。
発毛治療は育毛クリニック、発毛クリニックとも呼ばれる薄毛治療・AGA治療専門のクリニックで行われています。AGAクリニックではAGAスキンクリニック、ヘアメディカル、湘南美容外科などが有名です。
そりこみの後退の治療法は?
そりこみが後退したM字ハゲの治療法として、まず投薬治療が挙げられます。プロペシアやザガーロなどの内服薬、ミノキシジルなどの外用薬を用いることで、薄毛が改善される人もいます。発毛薬としてミノキシジルが配合された薬が処方されることもあります。
頭皮から薬剤や成長因子、アミノ酸などの栄養素を注入する育毛メソセラピーやHARG療法などの注入治療もあります。
そりこみの後退は治療薬で改善するのには時間がかかると言われています。治療薬や注入治療で効果がなかった場合は、自毛植毛法もおすすめされています。
自毛植毛とは自分の毛髪(毛包)をそりこみ部分など薄毛の気になる部分に移植して、発毛させる治療法です。薄毛が進行して長期間髪が生えてこなくなった部分でも、自毛植毛なら発毛が可能とされています。
まとめ
額のそりこみが後退してきたという男性は、男性型脱毛症(AGA)の進行が始まったことが疑われます。AGAは脱毛ホルモンDHTが直接の原因で発症する脱毛症です。そりこみが後退するAGAは特にM字ハゲと呼ばれています。
そりこみが後退するM字ハゲの原因には、遺伝以外にも日頃の生活習慣や、ストレスも挙げられます。そりこみの後退が気になり始めたら、食生活や睡眠、運動などの生活習慣の見直しと改善、育毛剤や育毛シャンプー、育毛サプリなどによる育毛対策がおすすめです。
M字ハゲの改善方法として、薄毛治療・AGA治療も挙げられます。治療方法にはプロペシアやミノキシジルなどの投薬治療、薬剤や成長因子などの注入治療があります。治療薬でそりこみの後退が改善しない場合、自分の髪を移植する自毛植毛という治療法もあります。
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