女性も加齢とともに抜け毛が増えて、薄毛に悩むことがあります。薄毛は男性・女性において老化現象の一つでもありますが、それ以外にも生活習慣やストレスなど、抜け毛が増える原因があるようです。
薄毛が目立つと見た目年齢も高く見られてしまいがちです。抜け毛が増える原因を知り、改善できる部分はその対策を行うことで抜け毛を予防することも可能です。女性特有の抜け毛の原因と、予防法・育毛対策法についてお伝えします。
女性の抜け毛の原因と対策
女性にとって髪は命と言われています。年齢とともに髪のコシやハリがなくなることは避けにくいことですが、最近は比較的若い世代の女性でも抜け毛や薄毛に悩む人が多いようです。
女性の抜け毛の原因と、それぞれの対策について確認しておきましょう。
女性の間で抜け毛の悩みが増えている?
女性は加齢とともに肌の悩みが増えてきますが、抜け毛や薄毛の悩みも気になることです。最近は若い女性の間でも抜け毛や薄毛に悩む人が増えているようです。All About編集部や美容系サイトの記事でも、薄毛に関する悩みの記事がたびたび特集されています。
男性の場合は男性ホルモンが原因で薄くなることが多いですが、女性の抜け毛はさまざまな要因が考えられると言われています。
抜け毛対策は一つの方法だけ実践すれば良いというわけでなく、さまざまな面からのアプローチが必要となります。
抜け毛とヘアサイクルの関係
ヘアサイクルとは髪が生え変わる毛周期サイクルのことです。髪の毛の毛周期サイクルには成長期、退行期、休止期という3つの時期があります。
成長期が最も長く、健康な髪のヘアサイクルの90%以上が成長期です。一般的に女性のヘアサイクルは男性より長く、成長期で3年から6年程度あります。
髪は毛根の毛母細胞が分裂して角化したものです。毛根にある毛乳頭細胞は毛細血管から栄養を得て、髪の毛の元である毛母細胞に栄養を受け渡します。成長期の間は毛乳頭細胞から栄養を得た毛母細胞が細胞分裂を活発に行い、髪が太く長く成長します。
しかし何らかの原因で毛母細胞が活発に分裂を行わなくなると、ヘアサイクルの成長期が短くなって、抜け毛が早いサイクルで起きることになります。抜け毛が増えれば薄毛へと繋がります。
女性ホルモンの減少
女性ホルモンのエストロゲンには髪を育てる作用があります。女性は年を取っても男性のようにはげることが少ないのは、女性ホルモンの作用によるものと考えられています。
女性ホルモンは加齢とともに年々分泌量が少なくなります。女性ホルモンの分泌量のピークは30代半ばごろと言われおり、30代後半、40代頃から髪のボリュームが気になり始める人が多いようです。出産でも大きく減少します。
髪を育てるホルモンが少なくなることで、髪のハリ・コシが失われ、抜け毛や薄毛に繋がりやすくなります。
年々減少していく女性ホルモンを補うために、女性ホルモン様の作用をする大豆イソフラボンの摂取がおすすめされています。大豆製品またはサプリメントからイソフラボンを摂取することができます。
ホルモンバランスの乱れ
上述した女性ホルモンの減少とも関わるのがホルモンバランスの乱れです。女性ホルモンが減少することでホルモンバランスが乱れて、もともとは分泌量が多くなかったはずの男性ホルモンの影響を受けやすくなることがあります。
男性ホルモンの中には脱毛を促すホルモンがあり、そのホルモンの影響を受けるとヘアサイクルが乱れて抜け毛が増え、髪全体が薄くなったり頭頂部のつむじ付近や分け目が目立つようになります。
ホルモンバランスの乱れは加齢による女性ホルモン分泌の減少以外にも、男性ホルモンが増えることで引き起こされることがあります。男性ホルモンが増える原因を防ぐことが、ホルモンバランスの乱れを防ぐことに繋がると考えられます。
ストレス
精神的ストレスが起きると自律神経が乱れ、交感神経が優位になります。交感神経の働きが強くなると、血行が悪くなったり、睡眠不足を生じさせます。いずれも髪に必要な栄養が行き渡りにくくなる原因です。
さらにストレスに対抗するホルモンが分泌される影響で、男性ホルモンの分泌量が増加します。そのためホルモンバランスの乱れを生じて抜け毛が増えることに繋がります。
自分なりのストレス解消法を見つけ、可能であれば過度のストレスを感じるような環境を変えるなど、ストレスを引き起こす原因を取り除くことも必要でしょう。
栄養不足
多忙で食事をスキップしてしまうことが多いということはありませんか。極端なダイエットや偏食など、食生活が乱れると栄養不足を招きます。
髪は食べ物から摂取したタンパク質を体内で分解し、再合成されて生成されます。髪の主成分ケラチンの成分は必須アミノ酸9種すべてを含めた18種類のアミノ酸です。必須アミノ酸は体内では合成できないので、食事から摂取する必要があります。
ビタミン、ミネラルなどの栄養素も髪の生成をサポートする栄養素です。栄養バランスの良い食生活は、健康な髪の成長に必要です。
睡眠不足
睡眠不足は髪を育てる成長ホルモンの分泌量を少なくし、体の疲労回復ができないことで頭皮へのエネルギー不足を招きます。ストレスの原因や男性ホルモンの分泌を増やす可能性もあります。不要な夜更かしは避け、睡眠時間を確保するようにしましょう。
紫外線
紫外線は頭皮にダメージを与えて乾燥を招き、頭皮の老化を招きます。紫外線は活性酸素を体内で多く発生させ、新陳代謝を悪くして、細胞のDNAに損傷を与えます。春先から紫外線は強くなってきます、帽子や日傘などで頭皮を紫外線から守りましょう。
誤ったシャンプー選びと方法
ヘアケア剤が原因で皮膚の炎症を起こす可能性があります。シャンプー剤が肌に合わなかったり、シャンプー剤のすすぎ残しが原因になることもあります。頭皮の炎症で部分的にハゲができたり薄毛になる可能性もあります。
女性の肌はデリケートなので、頭皮の余分な汗や皮脂は落としつつも、肌のバリア機能が失われるほど高い洗浄力のシャンプー剤は向いていないとされています。
炎症を引き起こす添加物が入っていたり、洗浄力の高すぎるシャンプーは避け、肌に優しい無添加のアミノ酸系シャンプーを利用することが、育毛と美髪のためにもおすすめされています。シャンプーをするときすすぎ残しのないよう注意しましょう。
ヘアカラー剤、パーマ液の刺激
頻繁にヘアカラーをしたりパーマをかけることで、薬剤の刺激で頭皮が炎症を起こすことがあります。頭皮の炎症は悪くすると抜け毛の原因になります、ヘアカラーやパーマの頻度を少なくし、セルフで行う場合は洗い残しがないよう注意しましょう。
万一炎症が起きて治りが悪い場合、悪化する前に早めに皮膚科で診てもらうことがおすすめされています。
女性の抜け毛が起きる脱毛症
女性の脱毛症には、びまん性脱毛症(女性男性型脱毛症も含む)、円形脱毛症、脂漏性脱毛症、粃糠性脱毛症、牽引性脱毛症などが考えられます。
びまん性脱毛症は頭部全体の髪が薄くなる脱毛症です。男性ホルモンが原因で起きる女性男性型脱毛症もこの中に含まれることがあります。女性ホルモンの減少、ストレスや栄養不足なども関わっており、それぞれの対策が必要となります。
円形脱毛症は自己免疫疾患の一種です。過度のストレスがかかることで、免疫機能に異常が起きて発症することが多いようです。
軽いものであれば放っておいても自然と治癒しますが、ストレス解消やストレスとなる原因が取り除かれないと、治りが悪かったり再発の可能性もあります。
頭皮の皮脂分泌が過剰になると、マラセチア菌という皮膚の常在菌が異常繁殖し、脂漏性湿疹を発症することがあります。ニキビのような赤いふくらみ、フケのような表皮の剥離も見られ、激しいかゆみを感じることもあります。
脂漏性湿疹が悪化すると脂漏性脱毛症、また角質の異常により粃糠性脱毛症を発症することもあります。発症した場合は皮膚科に相談を、抗真菌剤やステロイドが処方されます。抗真菌作用のシャンプーもおすすめされています。
牽引性脱毛症は髪型やエクステ、ウィッグなどが原因で、頭皮に負担をかけることで発症する脱毛症です。髪型を変えたりエクステやウィッグをやめることで、多くは改善するとされています。
女性の抜け毛に生活習慣の見直し対策
女性の抜け毛の症状には日頃の生活習慣が大きく関わっていることがあります。健康的な生活習慣は髪の健康にも良い作用をもたらします。栄養バランスの良い食生活か、睡眠を十分取れているか、運動不足になっていないかなど、生活習慣を見直してみましょう。
栄養バランスの良い食事
健康な髪の毛が成長するには良質なタンパク質、ビタミンとミネラルの中でもビタミンB群と亜鉛が特に髪に良いとされています。
タンパク質は肉や魚、卵や乳製品、大豆・大豆製品などの食べ物に多く含まれています。ビタミンB群は魚、肉類でも特にレバー、玄米、緑黄色野菜にも含まれています。亜鉛は生牡蠣やしじみ、牛肉に含まれています。
女性に多い鉄分不足の貧血は、抜け毛をもたらす可能性もあります。レバーや赤身の肉、大豆、ほうれん草などの緑の野菜、海藻類などに鉄分が多く含まれていますので、意識して摂取すると良いでしょう。
髪に良くないと言われる食べ物が糖質や脂質の多い食べ物です。極端な糖質カットなど全く摂取しないのは逆効果ですが、取り過ぎは皮脂分泌を過剰にし、血行不良の原因にもなります。摂り過ぎには注意しましょう。
喫煙や過度の飲酒の習慣を改める
喫煙や過度の飲酒は髪の材料であるアミノ酸や、ビタミン・ミネラルなどの栄養素を消費、または破壊すると言われています。さらに喫煙は血流を悪くし、過度の飲酒はかえって眠りが浅くなるとも言われています。
いずれも髪への悪い影響だけでなく、体の健康にも良いものではありません。ヘビースモーカーの女性やお酒を毎日多く飲むという女性で抜け毛が気になるなら、少し控えた方が良いかもしれません。
睡眠と運動で成長ホルモン分泌を促す
睡眠中は疲労を回復し髪を育てる成長ホルモンが分泌されます。特に熟睡しているほど成長ホルモンの分泌が増えるとされています。睡眠不足は成長ホルモンの分泌が少なくなる原因です。
寝ている間に何回か成長ホルモンの分泌量が増えるサイクルがあるので、睡眠時間が多ければその分成長ホルモンが分泌されやすくなります。
寝すぎも体の不調を招くので適度な睡眠時間(6~8時間程度)で、よく眠れるよう寝具や部屋の照明にも気を遣うと良いでしょう。
適度な運動も成長ホルモンの分泌を促すと言われています。運動は全身の血行も良くするので髪にも良い作用が期待できます。運動不足になりがちな人は、ウォーキング、ジョギングなどを日々の習慣に取り入れると良いでしょう。
女性の抜け毛に育毛ケア対策
日々の生活習慣に気を遣いつつ、抜け毛を予防しさらに育毛を促す育毛ケアもプラスするのがおすすめです。育毛剤や育毛シャンプー、さらには育毛サプリも使って、体の外側からも内側からも育毛対策をすることがおすすめされています。
育毛剤で抜け毛予防と育毛対策
育毛剤はフケやかゆみを抑えて抜け毛を予防し、育毛・発毛を促進する効果があります。血行促進成分や頭皮ケア成分も配合され、頭皮環境を整える効果があります。
女性が育毛剤を使う場合は男性用の育毛剤より、女性の抜け毛・薄毛の原因にアプローチした女性用育毛剤がおすすめされています。育毛剤を選ぶときは人気というだけでなく、成分や使い心地などを確認し、自分に合った育毛剤を選ぶことが長く続けられるコツでしょう。
女性男性型脱毛症向けの、市販の医薬品の女性用発毛剤もあります。より高い育毛効果・発毛効果を求める人は、発毛剤の利用もおすすめされています。
育毛剤と併せて行う頭皮マッサージ
育毛剤を塗布した後は頭皮マッサージをしましょう。育毛サロンでも育毛マッサージが行われていますが、マッサージで頭皮の血流を良くすることで抜け毛を予防し、育毛効果が期待できます。
頭部を両手でつかむようにして、耳上や後ろ、頭頂部付近の頭皮を押し上げるように、指の腹に力を入れてマッサージします。
育毛シャンプーでも抜け毛予防と育毛対策
育毛成分の配合された育毛シャンプーもあります。よく泡立てたシャンプーで頭皮をマッサージするように洗うことで、毛穴の皮脂汚れを落としながら血行を促進して、育毛効果が期待できます。
育毛シャンプーは髪にハリやコシを出したり、毛髪のボリュームアップ効果があるものが多いです。髪のボリュームを出したい人におすすめです。
女性用のシャンプーは保湿効果の高いものが多いですが、皮脂分泌が多い人は自分の肌に合ったさっぱりしたタイプのものがおすすめです。
育毛サプリで体の内側から育毛対策
栄養バランスの良い食生活にさらに育毛サプリをプラスすることで、髪に良い栄養素をサポートし、育毛成分を体の内側からも摂取できます。
育毛剤との併用で、さらなる抜け毛予防と育毛効果が期待できます。
女性の抜け毛対策に発毛治療
今まで紹介してきたような抜け毛の予防法や育毛対策で抜け毛が改善しない場合、薄毛の症状のより早い改善を望む場合は、クリニックでの薄毛治療がおすすめされています。発毛治療は薄毛治療専門のクリニックで受けられます。
女性の薄毛治療は専門のクリニックで
女性に多いびまん性脱毛症(女性男性型脱毛症)などの発毛治療は、薄毛治療専門病院(クリニック)で受けられます。男性の目が気になる場合は、女性専用の病院・クリニックを利用すると良いでしょう。
女性の薄毛治療の方法
治療の主流はパントガールなどの内服薬や、ミノキシジル、パントスチンなどの外用薬での治療ですが、より高い効果を望む場合は注入治療も並行して行われています。
自分の髪を植毛する自毛植毛手術を行っているクリニックもあります。プラセンタやビタミンC注射なども育毛力を高め美容効果もあるので、女性におすすめと言われています。
まとめ
女性の抜け毛が増えるのは、加齢や出産などによるホルモンバランスの乱れ、栄養不足、睡眠不足などの生活習慣、ストレス、シャンプーやカラー剤、紫外線による頭皮への刺激など多様な原因が考えられます。
抜け毛の原因となる脱毛症にはびまん性脱毛症、円形脱毛症、脂漏性脱毛症、粃糠性脱毛症、牽引性脱毛症などが考えられます。それぞれの脱毛症・原因に合わせた対策が必要です。
抜け毛予防法として食事や睡眠、不摂生な生活習慣の改善、ストレス解消、紫外線対策など原因を取り除くことと、育毛剤とマッサージでの育毛ケア対策がおすすめされています。
抜け毛・薄毛の改善が見られず、早く薄毛を改善したいという人には、薄毛治療専門病院に相談することがおすすめです。
関連記事としてこちらの記事もあわせて参考にしてみてください。
・女性と高校生必見!フケと抜け毛が多い人の原因と対策方法まとめ!
・女性用育毛剤の口コミ上位の商品を比較!市販のおすすめ商品を試してみよう!
・抜け毛が女性に起こる原因は?対策法や予防効果の高いおすすめシャンプーを紹介!