頭皮の皮脂には肌を守るバリア機能がありますが、皮脂が過剰に分泌されたりシャンプーで皮脂を落とせていないと、ベタつきや嫌なニオイが気になったり、炎症を起こすことも考えられます。頭皮の炎症が抜け毛や薄毛を招くこともあるそうです。
毎日シャンプーしているのに頭皮のベタつきに悩まされている人も少なくないようです。頭皮の皮脂が増える原因とは、頭皮の過剰な皮脂を解消する対策方法にはどのようなことがあるのでしょうか。
頭皮の皮脂分泌が増える原因
頭皮の皮脂は頭皮や髪のベタつき、炎症を招く可能性もあります。年齢とともに頭皮のニオイが気になる加齢臭も、皮脂が原因とされています。頭皮の皮脂はなるべく抑えたいようにしたいですが、皮脂が増加するのは何が原因なのでしょうか。
シャンプー
日中かいた汗、皮脂、整髪料の汚れなどが、シャンプーの洗い方が足りずに落としきれていない可能性があります。シャンプーで皮脂が落とせていないと、夕方には頭皮や髪のベタつき、頭皮の臭いが気になることもあります。
もしくはシャンプー自体が頭皮の肌質に合っていないということも考えられます。家族共有のシャンプーなどを使ってそのシャンプーが保湿成分の高いものだったりすると、皮脂の多い人の頭皮の汚れが落としきれない可能性もあります。
頭皮の皮脂によるベタつきやイヤな臭いを抑えるには、洗髪料・洗髪方法ともに気を遣う必要があるようです。
男性ホルモン
男性ホルモンの中でも男性型脱毛症を招く原因とされる悪玉男性ホルモンDHTは、皮脂分泌を増加させる作用もあります。Tゾーンなどスキンケアにも気を遣わないといけませんが、頭皮は皮脂腺の多いところなので、臭いや油分が気になりやすいです。
男性だけでなく女性でも男性ホルモンの分泌が増えて、皮脂に悩まされることがあります。女性ホルモンは皮脂を抑えるホルモンですが、ホルモンバランスの乱れで悪玉男性ホルモンDHTの影響を受けやすくなることがあります。
なお悪玉男性ホルモンDHTの影響で頭皮がベタつくのであれば、シャンプーで一時的にベタつきの改善ができても、薄毛は進行してしまうでしょう。進行を止めたければAGA治療を行って、薄毛の改善をする必要があります。
ストレス
ストレスを感じると抗ストレスホルモンのコルチゾールの作用で、男性ホルモンの分泌が増えることがあります。ホルモンバランスの乱れを招き、女性でも男性ホルモンの影響を受けやすくなります。
ストレスは抜け毛やさまざまな心身の症状を招く原因になります。ストレスはなるべく溜めないようにしましょう。
脂質・糖質の多い食事
脂質や糖質の多い食事は、体の中性脂肪を増やす原因になります。皮脂の材料の多くは中性脂肪で、脂っこい食事ばかりだと皮脂の分泌量が増えやすくなります。特に脂っこい肉を好んで食べる人は注意しましょう。
アルコールの飲み過ぎ
お酒の種類によっては糖質を多く含むものがあります。甘い果実酒、カクテル以外にも、ビールも糖質を含んでいます。
アルコールの飲み過ぎが糖質を多く摂取することに繋がりやすい上、お酒の席で揚げ物など脂っこい食事が進んでしまうとさらに脂肪を体に蓄えやすくなります。
またアルコールの過剰摂取により、抜け毛に繋がる悪玉男性ホルモンDHTの生成量が増えるとも言われています。
アルコールの飲み過ぎはハゲるとも言われているので、注意したほうが良いでしょう。
運動不足
糖質・脂質の多い食事を摂り、さらに運動不足では脂肪がつきやすくなります。体内の脂肪が多ければ皮脂分泌量も増える可能性があります。
頭皮、肌の皮脂分泌を抑えるには、運動も適度に行う必要があります。
頭皮の皮脂の過剰分泌が脂漏性皮膚炎を招く?
頭皮の皮脂量が多いと、頭皮のかゆみやフケ、ベタつきや臭い、またニキビの原因にもなります。また頭皮の皮脂が多いことで起きる、脂漏性皮膚炎もあるそうです。
悪化させれば脱毛症になる可能性もあるそうです。
脂漏性皮膚炎とは
脂漏性皮膚炎とは、皮膚の常在菌であるマラセチア菌が異常繁殖することによって起きる症状です。マラセチチア菌は皮脂分泌量が多いところで繁殖しやすく、頭皮や鼻周り、背中などでも脂漏性皮膚炎を発症することがあります。
脂漏性皮膚炎を発症すると、フケのような表皮の剥離、かゆみ、ニキビのような赤いふくらみが肌にできることがあります。普通のフケより大きい皮が剥がれ落ちます。
皮脂が多ければ誰でも発症するわけではなく、なぜ脂漏性皮膚炎が発症するのか不明な点も多いです。アルコールやストレスも脂漏性皮膚炎を引き起こす原因になると言われています。
脂漏性皮膚炎で起きる脱毛症とは
脂漏性皮膚炎を悪化させると抜け毛や薄毛の症状になることもあります。皮脂分泌の過剰が主な原因と脂漏性脱毛症と、角質異常によりフケが大量に出る粃糠性脱毛症があります。
いずれもマラセチア菌が原因ですので、皮膚科での治療法もほぼ同じ抗真菌剤やステロイド剤を使った治療が主流のようです。
頭皮の皮脂を抑えるシャンプー選び
頭皮の皮脂を抑えるにはなるべくさっぱりとしたシャンプーを使うのが良さそうですが、脱脂力が高すぎるのも肌に悪いそうです。頭皮の皮脂を抑えるためにシャンプーを選ぶ際には、どのようなことに注意すれば良いのでしょうか。
シャンプー剤の選び方
シャンプーメーカーからさまざまなシャンプーが出ており、どれを選んだらいいか迷う人も多いでしょう。なんとなく人気のシャンプーを選ぶ人もいるかもしれませんが、シャンプー剤は自分の頭皮の肌質に合ったものがおすすめです。
汚れやべたつきをしっかり落とすために、マイルドすぎるシャンプーよりは洗浄力の高いものを選んだほうが良い人もいるでしょう。しかしあまり脱脂力が強いものもおすすめされていません。
頭皮の皮脂には肌のバリア機能があり、紫外線や外部の刺激からも守ってくれる効果があると言われています。脱脂力の強いシャンプーをしてそのまま出かけると紫外線を頭皮に浴びた時ダメージが大きくなる恐れもあるそうです。
シャンプーの洗浄成分(界面活性剤)は合成界面活性剤が使われており、高級アルコール系、石けん系、アミノ酸系があります。特にアミノ酸系シャンプーはダメージヘアのヘアケアにおすすめされています。
無添加、弱酸性、コーティング剤のシリコンが使われていないノンシリコンシャンプーも頭皮に負担をかけないということでおすすめされています。
石けん系は脱脂力がやや高めですが、天然成分のため環境にも優しいと言われています。脂性肌の男性には合っているかもしれません。石けん系とアミノ酸系の洗浄成分がバランス良く配合されたシャンプーなら、肌にも優しくかつしっかり皮脂を落としてくれるでしょう。
注意すべきは高級アルコール系のシャンプーですが、洗浄力が高く刺激を感じるという人もいて、敏感肌の人や乾燥肌の人にはあまりおすすめされていません。肌荒れを招く危険性もあります。
男性用シャンプーと女性用シャンプー
男性用、女性用と分かれているシャンプーは、それぞれ頭皮や髪へのアプローチが異なります。皮脂の多い男性なら男性用シャンプー、皮脂の多い女性もクレンジングシャンプーと併せて使いつつ、女性用シャンプーを使うのがおすすめです。
頭皮に優しいアミノ酸系シャンプーがおすすめ
アミノ酸系の洗浄剤は、高級アルコール系や石けん系と比較すると洗浄力は優しいですが、肌への負担が少ないです。ヘアサロンなどでは頭皮ケアのことを考えたアミノ酸系洗浄成分のシャンプーがよく使われています。
ダメージヘアも使い続けているうちに改善され、シャンプーするたびに頭皮の刺激を感じていた人も改善されたという声がよく聞かれます。
多くの記事でシャンプーが紹介されていますが、ダメージヘアにもおすすめなハーブガーデンシャンプーや、育毛剤と同じラインのノンシリコン・アミノ酸系シャンプーが特におすすめされているようです。
頭皮の皮脂汚れをすっきり落とす、スペシャルケアとしてのクレンジングシャンプー、またスカルプケアシャンプーにもアミノ酸系洗浄成分のものがあります。週1、2回の使用が一般的ですが、皮脂の多い人は夏など汗のかきやすい時期は毎日使用しても良いかもしれません。
頭皮の皮脂を抑えるシャンプー方法
自分に合った良いシャンプー剤選びも重要ですが、正しいシャンプー方法をマスターすることも重要です。
基本のシャンプーの方法、オイルを使った頭皮ケアシャンプーの方法、炭酸水での頭皮ケアシャンプーの方法について紹介します。
基本のシャンプー方法
シャンプーは1日1回がおすすめされています。2回は洗いすぎと言われていますが、皮脂の多い男性は汗をかく季節は2回洗ったり2度洗いもおすすめされているようです。
シャンプーや朝よりも夜にするのがおすすめされています。皮脂や汗、整髪料などが頭皮に残ったまま寝ると、皮膚ダニや雑菌が繁殖する原因になると言われています。特に皮脂の多い人は頭皮環境のためにも、夜のうちに洗っておくのが良いようです。
- 乾いた状態の髪で、ブラッシングをします。
- 頭皮と髪をお湯でよく洗います。熱すぎるお湯は乾燥の原因になるので注意してください。
- シャンプーをよく泡立てて頭皮と髪を洗います。指の腹でマッサージするように洗います。爪で傷つけないよう注意してください。
- 頭部全体を洗えたらお湯でよく洗い流します。
- コンディショナーは髪の毛先を中心につけて、なじませたら洗い流します。
皮脂の多い男性はコンディショナーはしなくても良いそうです。
シャンプー後は髪をしっかり乾かしてから寝るようにしましょう。濡れた髪のままで寝ると雑菌が繁殖する恐れがあります。タオルを巻いたまま寝るのも通気性が悪く、頭皮環境が悪くなる恐れがあります。
寝る前に髪の水分をタオルで取り除き、ドライヤーで乾かしてから寝るのが良いそうです。
オイルでシャンプー前の頭皮ケア
シャンプーの前にオイルでマッサージをすることで、毛穴に詰まった皮脂汚れや頭皮のベタベタをすっきりと洗い流すことができるそうです。マッサージは育毛対策として育毛サロン、ヘッドスパサロンでも行われています。
シャンプーをする前乾いた髪の状態で、オイルを適量頭皮に少量ずつつけてよくマッサージします。こめかみの横あたりから頭皮を円を描くようにマッサージし、少しずつマッサージする場所を頭頂部へ向けて、上へずらしていくようにします。
マッサージできたら蒸しタオルやラップなどで巻いて1時間ほど(時間がなければ15分程度でも効果はあるようです)放置し、シャンプーで洗い流します。2度洗いすすればオイルのベタつきも気にならないでしょう。
オイルでのマッサージによる頭皮ケアは、抜け毛対策にも効果的と言われています。シャンプー後の育毛剤を使った育毛法と併せて週に1回オイルでの頭皮ケアも行うと、さらに育毛促進に効果が期待できるそうです。
炭酸水を使ったシャンプー法
炭酸水を使って頭皮をクレンジングする方法も、頭皮の皮脂対策の一つとして挙げられます。
炭酸水には肌を引き締めて、汚れを落としやすくする効果があるとされています。ヘアケア商品でも炭酸シャンプーがありますが、ここでは普通の炭酸水とシャンプーを混ぜた炭酸シャンプーの作り方と使用方法について説明します。
シャンプー用の炭酸水50mLと普段使っているシャンプー、500mLのペットボトルを準備します。すすぎでも炭酸水を遣う場合は別に2L程度必要です。
- ペットボトルにシャンプー用の炭酸水50mLと、シャンプーを適量入れてよく振ります。
- ボトルの中が泡でいっぱいになったら炭酸シャンプーの完成です。
- 炭酸シャンプーで頭をよく洗います。
- お湯で洗い流すか炭酸水を使う場合は炭酸水で洗い流します。
頭皮の皮脂を生活習慣から予防対策
シャンプーでの頭皮ケア・ヘアケアも頭皮の皮脂対策の上で重要ですが、日頃の生活習慣からも皮脂分泌が増えないように気をつけることもできます。
頭皮の皮脂の過剰分泌を抑えるための日頃の予防対策法を、いくつかご紹介します。
食生活の見直し
タンパク質を摂ることは体の健康にとって重要ですが、脂肪分の高い肉ばかりからタンパク質を摂取すると脂質も体内に蓄えられてしまいます。脂質の摂り過ぎは皮脂分泌が増える原因になります。
魚や大豆製品からもバランス良くタンパク質を摂るのがおすすめです。野菜も食事で積極的に摂りましょう。ビタミンB2、B6は皮脂分泌をコントロールする作用もあるとされています。栄養バランスの良い食事が新陳代謝を活発にして、頭皮環境の改善にも良いとされています。
睡眠を適度にとる
睡眠不足で疲労回復ができないと、頭皮の肌のターンオーバーがうまくいかなくなります。疲労がたまることでストレスとなり、皮脂分泌を過剰にする男性ホルモンの分泌量も増える原因となります。睡眠時間を確保して、頭皮の肌を良い状態にしましょう。
運動の習慣をつける
運動不足は体の脂肪が増える原因です。車での移動が多い人は1日に歩く時間も少なくなりがちです。1日8千歩程度歩くのが健康にも良いとされています。時間が取れない人も家で筋トレをすることで基礎代謝を上げることができ、脂肪を蓄えにくくなります。
その他生活面で気をつけること
お酒(果実酒、ビール、ワインなど)の飲み過ぎも糖質を余分に摂取してしまう原因となります。お酒の席だと食事も進んでしまいがちなので注意しましょう。
頭皮の皮脂が多い人は帽子にも注意しましょう。夏の日差しが強い季節は、帽子や日傘で紫外線対策することがおすすめされていますが、帽子をかぶっていると汗や皮脂、雑菌で頭皮の環境が悪化しがちです。
できれば通気性の良い帽子をかぶり、いつも以上にシャンプーでのケアをしっかり行うようにしましょう。
ストレスも皮脂の過剰分泌を招く原因です。自分に合ったストレス解消法で、心も頭皮環境も良い状態でいられるようにしましょう。
まとめ
頭皮の皮脂が多くなる原因は、シャンプー剤やシャンプー法が適切でないこと、ストレスや脂質・糖質の多い食生活、アルコールの飲み過ぎや運動不足も考えられます。
また男性型脱毛症の原因である悪玉男性ホルモンDHTには、皮脂分泌を促す作用もあります。男性型脱毛症そのものを改善したいのであればAGA治療が必要となります。
皮脂の過剰分泌が原因で起きる脂漏性皮膚炎は、悪化すると抜け毛や薄毛を招くこともあります。
頭皮環境を良くするためにもシャンプー選び、シャンプー方法は重要です。シャンプー前のオイルマッサージや炭酸水を使ったシャンプー法で、頭皮の皮脂汚れが落としやすくなります。頭皮環境を良くすることで育毛対策にも効果が期待できます。
栄養バランスの良い食生活、睡眠を十分にとること、適度な運動、ストレス解消をすることなども、頭皮の過剰な皮脂分泌の予防対策となります。
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