髪の毛は一日に50〜100本くらいは抜けているといわれます。そして、そのうちの何割かがドライヤーで髪を乾かしているときの抜け毛と思われています。
真っ白な洗面台に次から次へと毛が落ちて…。なんだか抜け毛が多いようで気になります。
ドライヤーを使うと抜け毛が増えるのか、ドライヤーを使うと抜け毛の原因になるほど髪が傷むのか、ドライヤーを使わないことが薄毛対策やハゲ対策になるのか等々、ドライヤーと抜け毛の関係、対策を考えてみました。
目次
ドライヤーを使うと本当に髪が傷むの?
髪が傷むといわれているし、抜け毛も気になるから、抜け毛の対策も兼ねてドライヤーは使わない、シャンプーのあとは自然乾燥。それはいけません。濡れている髪はできるだけ早く乾かしましょう。
タオルドライで乾かせば、髪への負担が少ないのでは? という方もいるでしょう。いいえ、それも違います。ドライヤーを使ってさっさと乾かすのが、髪の毛にとって一番いいのです。
髪の毛を濡れた状態で長くおくのは、髪にストレスをかけていることになります。では、濡れていることが髪のストレスになるとはどういうことなのでしょう。
髪の健康はキューティクルの状態で決まる
髪の健康と美しさのもとになるのは、シャンプーのコマーシャルなどでおなじみの〝キューティクル〟です。髪にストレスがかかるとは、このキューティクルに問題が起きるということです。
キューティクルは髪の毛の一番外側にあって、皮膚でいうと表皮にあたります。たんぱく質を主な成分とする組織で、薄く透明、形状は魚の鱗のようになっています。
この鱗のような形状がとても重要で、髪が柔軟でしなやかなのはこの形状のおかげです。そして、魚の鱗のように密に整っていることが、健康で美しい髪を維持するための不可欠な条件なのです。
ところで、キューティクルは一人ひとりその形状が違います。一つとして同じものはなく、指紋と同じように誰のものかを判定できるといわれています。手入れを怠らず、常に美しく形を維持したいものです。
キューティクルには、毛髪中のたんぱく質や水分を保護するという大事な役目があります。キューティクルが健康でこの役目を十分に果たしていれば、髪の毛には美しい艶があり、あの憧れの〝天使の輪〟が現れます。
キューティクルが壊れたりして問題が生じると、たんぱく質や水分を保持できなくなって、髪の毛は光沢と柔軟性を失ってしまいます。
そして、キューティクルは一度破損してしまうと、二度と再生しません。
乾いているキューティクルは閉じて髪を保護
濡れているときのキューティクルは開き、髪の毛は無防備です。これは、たんぱく質や水分がいつでも出ていってしまう状態です。
一方、乾いているときのキューティクルは閉じていて、髪の毛のたんぱく質や水分は外に出ていかないように保護されています。
たんぱく質や水分が失われた髪の毛は、艶もしなやかさもなくなります。傷んで乾燥し、毛先が枝毛になったり、途中で切れたり、抜け毛の原因になります。
傷んで痩せ細った髪の毛は、うねりを伴うことが多く、長い髪の場合は絡まりやすくなります。絡まった髪の毛は、まとまって抜けてしまうことも少なくありません。
また、頭皮を濡れたままにしておくと雑菌が繁殖することもあります。
頭皮がカサカサになったり、湿疹ができたり、ニオイやベタつきがあったり、痒みなどがあったら雑菌が原因かもしれません。薬用シャンプーや抗菌シャンプー、頭皮ケアシャンプーなどでケアをしましょう。
髪の毛が湿ったまま寝てしまうと、髪の毛と頭皮が体温で蒸された状態になり、雑菌が繁殖しやすくなります。とにかく髪の毛を濡れたままにしておかないことです。お風呂上がりにシャンプーした髪はしっかり乾かしましょう。
髪と頭皮を傷めずに乾かす方法
シャンプー後、まずタオルドライで乾かします。タオルドライである程度乾いたら、ドライヤーを使って効率よく乾かします。
タオルドライにしても、ドライヤーを使うにしても、髪と頭皮を傷めずに乾かすポイントがあります。
ポイントを抑えたドライヤーの使い方をマスターしてください。
タオルドライでドライヤーの使用時間を短縮
水滴がしたたたり落ちるほど濡れている髪の毛をドライヤーで乾かすとしたら、髪の毛はどれほどの時間ドライヤーの熱風にさらされることになるのでしょう。髪の毛や頭皮へのダメージはどれほどでしょうか。
タオルドライの目的は、ドライヤーを使う時間を短くすることです。濡れているときのキューティクルは開いていて、髪の毛は無防備であることは前述しました。
濡れている髪の毛にドライヤーの風をあてるのは、開いているキューティクルが熱風にさらされるということで傷むのは避けられません。
水分をあらかじめとっておき、早く乾燥させれば、キューティクルを傷つけず、髪の毛からたんぱく質や水分が出ていくことを防げます。
正しいタオルドライ5つのポイント
- 柔らかい大判のタオルを使いましょう。
- タオルで髪を挟み、両手のひらで軽く叩きます。
- 水分をタオルに吸い込ませるように、髪の毛をタオルで押さえます。
- 頭皮もタオルで押さえるようにして、表面の水分を吸い込ませます。
- 頭皮をタオルでこすったり、髪の毛同士をこすってはいけません。
乱暴なタオルドライは髪を刺激し、パサつきやギシギシの原因になります。優しくていねいにしましょう。
また、頭皮をこすると、生え始めたばかりでまだ毛根にしっかり固定できていない〝新生毛〟が抜けてしまうことがあります。育毛効果の促進のためにも、正しいタオルドライをしましょう。
ドライヤーで8割乾かしてあとは余熱で
ドライヤーで8割くらい乾かしたらドライヤーは終了。あとは、髪の毛や頭皮の余熱で乾きます。ドライヤーで完全に乾かす必要はありません。完全に乾くほど長く、ドライヤーの風や熱を髪の毛や頭皮にあてていてはいけません。
風をあてるときは、頭皮に直接あたらないようにし、上から下へ、髪が生えている方向にドライヤーを動かします。キューティクルの鱗状の形状と同じ向きに風をあてることになるので、ダメージが少なくなります。
ドライヤーで髪の毛を乾かすときに、忘れてはいけない基本があります。その一つは、ドライヤーは髪の毛から20㎝以上離して使うということです。理由はもちろん、ドライヤーの熱で髪の毛と頭皮を傷めないためです。
ドライヤーの熱を、髪の毛にあてる前に自分の手にあててみてください。20㎝という距離と、風の熱さを実感してから実際に使いましょう。
もう一つは、濡れた髪の毛にドライヤーとブラシの併用はいけないということです。
美容院では、ドライヤーをあてながらブラシを使うことがよくありますが、美容師には髪が傷まないプロの技があるから問題が生じないのです。ブラシは、髪の毛が乾いてから、最後に髪を整えるスタイリングのときに使います。
ドライヤーの正しい使い方5つのポイント
- まず、頭を下に向けて、髪の毛を全部下ろします。
- その姿勢で、後頭部から耳の後ろの髪の生え際に風をあてます。
- 次に、顔を上げ、髪を少量ずつ束にして持ち上げ、髪の根元部分に風をあてます。
- 3を繰り返して、全体の髪の根元に風をあてます。
- 風を当てながら、髪をバサバサしたり、髪の間に風を送ってはいけません。
ここまでで、髪はだいぶ乾いているはずです。髪全体を触ってみて、まだ濡れているところがあったらそこに風をあてて乾かし、ドライヤーの使用は終了です。
最後に、冷風に切り替えて、髪の毛と頭皮全体に風をあてましょう。
髪の毛と頭皮に残っている余熱をとり、キューティクルと毛穴を引き締め、ダメージに強い髪と頭皮環境を作ります。
ドライヤーの効果のある使い方
ドライヤーの使い方一つで、髪や頭皮が傷んだり、抜け毛が増えたり減ったりもします。そこことはもうおわかりですね。
では、そのドライヤーは、どんなものがいいのでしょう。近頃は大型家電ショップやインターネットで、バリエーション豊かな機能を搭載したドライヤーが数多く市販されています。
新しいドライヤーを購入するときは、商品情報で搭載機能を確かめて選びましょう。
では、抜け毛防止につながる使い勝手のいいドライヤーとはどんなものなのか、搭載している機能についてみてみます。
ドライヤーの最重要機能は〝風〟
ドライヤーの機能は、すべて〝風〟に集約されるといっても過言ではないでしょう。
最近市販されている一般の家庭用ドライヤーには、複数の〝風〟機能が搭載されています。
その中で定番と思われる〝風〟は4種。ターボ(TURBO)、ドライ(DRY)、セット(SET)、クール(COOL)です。
この4種の定番モードの風のそれぞれの用途は、次のようになります。
ターボ(TURBO)は、強い温風で髪の毛を素早く乾かしたいときに使われます。ドライ(DRY)はターボより弱いやや強い温風で、時間をかけて乾かすときに使われます。セット(SET)は文字どおりスタイリングやセットをするとき用で、乾かすことが目的ではありません。クール(COOL)は温風を使って乾かしてから最後にクールダウンのような意味で使います。
以上のほかに、マイナスイオン、ナノケア(ミネラルを含むマイナスイオン)、温冷リズム、スカルプモードなど、さまざまな〝風〟を搭載しているものもあります。
4つの定番の〝風〟が搭載されていれば、使い勝手に支障はないでしょう。
確認しておきたい〝W数〟と〝風量〟
ドライヤーの風の強弱は、W(ワット)数で決まります。
乾かすときに、熱の高さではなく風の強さで乾かすと髪の毛と頭皮へのダメージが少なくなります。ドライヤーのW数は大事で、W数がいくつかあったら、それを使い分けます。
新しくドライヤーを購入するなら、W数の大きいものを選ぶことをおすすめします。
家庭用のドライヤーは600〜1200Wが一般的です。できたら、1000〜1200Wのものを選びましょう。
1000W以下では風量が弱すぎて乾くのに時間がかかり、髪や頭皮は風にあたっている時間が長いので負担が大きくなります。
風量は、大風量をうたっているドライヤーは1.6〜1.9㎥/分が多いようです。この数字のものであれば問題ないでしょう。
参考までにご紹介しておきます。最近注目されているDyson Supersonicは、2.4㎥/分という超がつくほどの大風量です。風量は「スピード/レギュラー/スタイリング」の3段階があります。そして、温度は「速乾(78℃)/標準(62℃)/低温(45℃)/冷温」の4段階に設定可能です。髪や頭皮へのダメージが少なそう…と思ってしまうほどのハイスペックです。人気があるのもうなずけます。
発毛と自然抜け毛とドライヤーでの抜け毛
よく、ドライヤーで髪を乾かしたときの抜け毛は50本くらいといわれます。その50本に根拠があるのかないのかわかりませんが、そのドライヤーによる抜け毛の本数を、発毛数と自然な抜け毛の本数と比較してみましょう。
髪の毛は、発毛後10日間で3〜4㎜伸びます。3〜4年成長期が続き、やがて休止期になって抜け落ちます。これが毛周期です。
新しく生えてくる髪の毛は、1日に平均80本くらいといわれます。それに対して、抜けていく毛は1日に50〜100本くらいです。髪の毛は全体量がおよそ10万本といわれていますから、1日の抜け毛は多くても全体の0.1%にすぎません。
1日80本の毛が生えるとして、抜けるのは1日1回のドライヤーの使用で抜ける50本だけなら髪の毛は減りません。また、1日に100本の抜け毛があるならドライヤーの使用以外の原因の抜け毛の方が多いことになります。
抜け毛が最も多いのはシャンプーのときといわれますが、洗い方に問題がなければシャンプーが抜け毛の原因にはなりません。
また、ドライヤーで乾かすと育毛シャンプーのコンディショナー効果は薄れると思っている人がいるようですが、そんなことはありません。逆に、髪の毛の水分を取り除かなかれば成分の効果は発揮されません。
〝お湯洗い〟シャンプーのすすめ
それでも、シャンプーのときの抜け毛や頭皮の痒みが気になるという人には、シャンプー剤を使わないシャンプー方法をおすすめします。
〝頭皮の汚れはお湯だけで8割くらいは落ちる〟という説があります。シャンプー剤は汚れをしっかり落とし、皮脂も落とします。皮脂は育毛効果や抜け毛予防のためにある程度は必要で、完全に落としてしまうと頭皮がパサついたり、抜け毛が増えるのです。お湯だけの洗髪で皮脂を適度に残すことが抜け毛対策になります。
お湯だけで洗う洗い方は以下のとおり。お湯の温度に注意してください。
まず、よくブラッシングしておきます。
35℃くらいの温度のシャワーを直接髪にかけて予備洗いをします。
ていねいに頭皮マッサージするように洗います。
洗髪後、前述のタオルドライとドライヤーで乾かします。
ただし、次ような注意点があります。
頭皮に湿疹などのトラブルがある場合はおすすめできません。また、慣れないと皮脂が毛穴に詰まったりすることもあります、そんなときは低刺激シャンプーなどを使ってシャンプーしましょう。
ドライヤーの抜け毛ではハゲない
もちろん、無理なブラシングやタオルでゴシゴシこすった結果抜けてしまうこともあるでしょう。でも、ドライヤーを使用中に抜ける毛は、毛周期が終了して自然に抜けた毛が圧倒的に多いのです。
ドライヤーの使用中の抜け毛で、薄毛になったりハゲることはないと断言してもいいでしょう。
男性に多い脂漏性脱毛症や男性型脱毛症は、別の要因で起こる脱毛です。脂漏性脱毛症は過剰に分泌する皮脂が原因だったり、男性型脱毛症はホルモンの問題だったりします。もし、ドライヤーで髪を乾かしているときに大量の抜け毛があったらこうした脱毛症を疑い、治療やケアすることを考えましょう。
まとめ
ドライヤーで髪を乾かしているときに、特に抜け毛が多くなるわけではありません。ハゲ対策や薄毛対策といって、ドライヤーを使わないのは意味のないことです。
ドライヤーを上手に使い、髪と頭皮を清潔に美しく、健康に保ちましょう。
抜け毛には個人差があり、季節によっても抜け毛の数は変動します。抜け毛のことを気にしすぎると、それがかえってストレスになり、髪や頭皮環境に悪い影響を与えることもあります。
抜け毛は量より質の方が大事です。正常な毛周期を経た抜け毛は多くても気にする必要はありません。でも、成長期の毛が抜けたらハゲる可能性があります。抜け毛の量が少なくても要注意です。
心にも体にも、そして髪にも頭皮にもストレスのない生活習慣を心がけましょう。それが抜け毛を少なくする最も大きな要因になるでしょう。
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