抜け毛や薄毛に悩んでいるあなたは、薄毛の進行状態やハゲの判断基準をどう考えていますか。
自分の薄毛のレベルはどのあたりなのか、すでにハゲのレベルに達しているのか…。こうした薄毛やハゲの段階が把握できてはじめて、適切な対応や対策が実行できるというもの。
ハゲのもっとも多い症例である男性型脱毛症をはじめ、男性と女性に共通する薄毛の症状などをみながら、自分でハゲ度チェックができるような情報と適切は対策を考えてみたいと思います。
目次
男性型脱毛症(AGA)の一般的知識
男性が悩む薄毛や抜け毛の多くが男性型脱毛症(AGA)、Andro Genetic(男性ホルモンによる)Alopecia(脱毛症)です。
男性にとってもっとも身近な男性型脱毛症の症状や原因、進行状況を判断する目安などをまとめておきます。
男性型脱毛症の薄毛進行ステージ
ステージごとのAGAの症状の段階を見ていきましょう。
・薄毛症状第1ステージ
見た目には問題がなく、薄毛の進行が始まっていることに気づかないことの多い初期ステージです。
薄毛の症状があらわれているのは前頭部の生え際だけですが、薄毛は着実に進行しています。おでこの面積の広がりが、視覚的に明らかになるのも近いでしょう。
・薄毛症状第2ステージ
このステージになると、髪の毛に異変が生じているのではないかと思い始める人が多くなります。
前頭部の生え際の「M字型」の薄毛の進行に、頭部のほかの部分の抜け毛も加わって、髪の毛全体のボリュームが少なくなってきています。
頭頂部が円形に進行していく「O字型」の薄毛も、髪の毛全体のボリュームが減り、頭頂部は地肌が見えそうになっています。
髪の毛のボリューム感は、鏡をみたときに気づきやすいものです。薄毛の進行状況について注意深く観察するようになるのは、このころからが多いようです。
・薄毛症状第3ステージ
おでこの生え際から薄毛が進行している「M字型」も、このステージになると頭頂部も薄くなっているケースが多くなります。「O字型」の場合は、薄毛がさらに広がっています。
・薄毛症状第4ステージ
「M字型」も「O字型」も、薄毛の発生元の部分は地肌が見え、その面積はかなり広くなっています。すでにハゲのレベルといっていいでしょう。
「M字型」と「O字型」混合の「U字型」に近いパターンもできつつあります。
AGAの治療は、このステージから始めると結果が出やすいといわれています。
・薄毛症状第5ステージ
「M字型」と「O字型」が一体化した「U字型」がほぼ完成しています。
頭皮全体の3分の1くらいの地肌が見えていて、薄毛というよりハゲているといっていいでしょう。
・薄毛症状第6ステージ
「M字型」と「O字型」が完全につながって、「U字型」も過ぎています。
頭の上部3分の2くらいの地肌が見えていて、髪の毛が残っているのは側頭部と後頭部の下部分だけです。
男性型脱毛症の発症のメカニズム
主な原因は男性ホルモンで、大人の男性にあらわれる脱毛の症状が男性型脱毛症です。
男性ホルモンは、筋肉の発達を促進し、ひげや胸毛を濃くする働きがよく知られています。しかし、男性ホルモンは脱毛ホルモンともいえるような働きもします。
男性ホルモンは、血流によってひげや前頭部、頭頂部の皮下組織にある髪の毛の元になる毛乳頭細胞に運ばれます。そして、男性ホルモンのテストステロンは5αリダクターゼという還元酵素の働きで、さらに強力な男性ホルモンのジヒドロテストステロン(DHT)に変換されます。
そのジヒドロテストステロンが毛乳頭細胞の男性ホルモン受容体と結合すると、ひげや胸毛では細胞成長因子などを誘導して毛の成長期が長くなり、前頭部や頭頂部では毛母細胞の増殖が抑制されて髪の毛の成長期が短くなります。その結果、ひげや胸毛は伸びて濃くなりますが、前頭部や頭頂部では軟毛になって髪の毛は成長の途中で抜けてしまったり、薄毛などのAGAの症状があらわれるのです。
見過ごせないつむじ付近の薄毛・脱毛
つむじとその周辺は薄毛が進行しやすく、ハゲることもあります。もともとつむじ付近は髪の毛が薄く、薄毛やハゲなどの脱毛症でなくても地肌が見える人が多くいます。
そんな場所ですから、薄毛になっても気づきにくく、逆に抜け毛などがなくても薄毛やハゲなどの脱毛症が疑われること多いのです。
つむじハゲは男性型脱毛症の一種
つむじ周辺の薄毛は、男性の場合は、男性型脱毛症で頭頂部から進行してハゲる頭頂部ハゲとほぼ同じで、つむじを中心にして円形に薄毛の症状が進行します。
つむじ付近は頭のほかの部分とくらべて血管が少ないので、その分髪の毛の元の細胞が血流から摂取する栄養は少なくなります。
ですが、つむじ周辺の髪の毛の元になる細胞には5αリダクターゼが多く存在し、ジヒドロテストステロンがつくられやすい環境なので、当然ジヒドロテストステロンは多くなります。つむじ周辺が、男性型脱毛症になりやすいのはこうした理由からです。
女性の脱毛症とつむじハゲ
男性型脱毛症は女性にもみられます。女性の場合はFAGA、女性型男性脱毛症と呼ばれます。
髪の毛全体のボリュームが減ってきて、とくにつむじ周りや分け目が薄くなっていきます。男性型脱毛症と同様、原因はホルモンにあります。
女性は、女性ホルモンを分泌する際に、同時に男性ホルモン(テストステロン)も分泌します。その男性ホルモンは血液中に存在して体内を流れ、5αリダクターゼによってジヒドロテストステロンに変換されます。ここまでは男性と同じです。男性と女性の症状の違いは、ここから先のホルモンの働き方です。
男性の場合は男性ホルモンのジヒドロテストステロンは脱毛を促進しますが、女性の場合は反対で、女性ホルモンのエストロゲンは髪の毛を成長させる働きをするのです。
そのために、女性のヘアサイクルは男性より長く、薄毛になっても症状の進行は緩やかです。女性の初期の薄毛の症状は見た目にわかりにくく、つむじハゲとの区別もつきにくいのが現状です。
つむじハゲと間違いやすい円形脱毛症
つむじハゲは、頭頂部の少し下にあるつむじの周辺の髪の毛が軟毛になったり抜けたりして徐々に薄毛が進行し、いずれはハゲてしまいます。男性型脱毛症と同様、男性ホルモンが原因です。
一方、円形脱毛症は、ある部分の髪の毛がごっそりとまとまって抜けてしまい、脱毛部分はつるんとした地肌が見えるのが特徴です。
円形脱毛症には、円形の脱毛部分が1カ所あらわれる、いわゆる10円ハゲと呼ばれる「単発型」、円形の脱毛部分が2カ所以上あらわれる「多発型」、髪の毛全体に毛が抜けるびまん性や蛇行するような形で細長く脱毛する「多発融合型」、多発型の症状が進み脱毛部分が重なって髪の毛が全部抜けてしまう「全頭型」、頭だけでなく体全体の体毛が抜けてしまう「汎発型」があります。
自己免疫疾患の一種で、「単発型」は自然に治ってしまうことも多く、ひどい症状でも治療で治癒が可能です。
つむじハゲと間違いやすいのは「単発型」で、脱毛部分がつむじの近くの場合です。
まれにある側頭部の薄毛の症状と原因
前頭部のM字型や頭頂部のO字型、その混合タイプのU字型などに比べると症例は多くありませんが、側頭部も薄毛になります。
代表的な症状は2つ、耳の周辺の薄毛ともみあげ周辺の薄毛です。
もっとも大きな原因は、「目の疲れ」といわれています。
目の周辺には多くの毛細血管があり、それは耳を取り囲む側頭部の神経につながっています。
目を使い過ぎると目の周辺の血行が悪くなり、側頭部の皮下組織に十分な栄養が届けられなくなります。すると、髪の毛をつくるための細胞分裂が活発にできなくなり、髪の毛の成長が阻害され、抜け毛や薄毛を進行させます。
また、甲状腺の異常も側頭部の薄毛の原因の1つにあげられます。
甲状腺が正常に働かず、甲状腺ホルモンが過剰になると甲状腺機能亢進症になり、逆に甲状腺ホルモンが少ないと甲状腺機能低下症になります。
甲状腺機能亢進症でホルモンが過剰になるとヘアサイクルが乱れ、抜け毛や軟毛になったりします。
甲状腺機能低下症でホルモンが不足気味になると、少ないホルモンは生命維持に必要なところに優先して配分されます。髪の毛は生命維持に直結しているわけではないので、ホルモンの分配は後回しになります。これが薄毛の原因になるのです。
髪の毛の状況を把握して対策を実行
薄毛がどこまで進んでいるのか、状況を把握したうえで、効果的な対策を考えましょう。
薄毛は毎日、確実に進みます。薄毛のチェックは、毎日必ずすることが大事です。
抜け毛で髪の毛の健康度をチェック
抜け毛の毛根の状態をチェックすると、薄毛やハゲの進行具合、髪の毛の健康度を確認できます。
抜けた髪の毛を10本ほどと、細部が観察できるルーペなどを用意します。
・根元部分が綿棒のようになっている
これは寿命がきて自然に脱毛したものです。10本中の半分くらいがこの状態だったら、髪の毛は健康で、薄毛やハゲの進行はないと考えていいでしょう。
・毛根が白っぽくなっている
毛根についている白っぽいものは、白ければ皮脂、半透明だったら毛根鞘(もうこんしょう)です。
皮脂なら、頭皮の皮脂分泌が過剰になっている可能性があります。脂漏性皮膚炎も疑われます。
毛根鞘は、頭皮と髪の毛を固定する働きをする成分です。新しく髪の毛がつくられると、毛根鞘もつくられます。白っぽいものが半透明の毛根鞘であれば、薄毛やハゲの心配はないでしょう。
・毛根が膨らんでいなかったり膨らみが少ない
毛根部分が細長く膨らみがない、膨らみはあるけれどわずかで貧弱、といった状態なら、その髪の毛は栄養不足の状態です。
血行が悪いなどの理由で栄養が十分にとり込めず、髪の毛が不健康で薄毛やハゲが進行しています。
・毛根部が細く尖っている
毛根部が先端にいくにしたがって細くなっていき、先端が尖っていたら、ストレスや内分泌異常、免疫疾患などが原因の円形脱毛症が疑われます。
・毛根がなく髪の毛の根元が裂けている
抜け毛ではなく、髪の毛が毛穴の中で切れると、多くの場合こうした状態になります。
毛穴の中で毛根の上部でちぎれてしまい、髪の毛の繊維が裂けてしまったのです。
パーマ液や縮毛矯正などの薬剤が大量に頭皮に付着して毛穴の中に薬剤が入り込んだり、老化や無理なダイエットなどが原因で、髪の毛が弱くなっている状態です。
薄毛やハゲもかなり進行しているか、今後急激に進行すると思われます。
つむじハゲの進行度を画像で確認
つむじが本当に薄毛なのか、ハゲているのかは写真撮影で確認できます。自撮りで難しかったら、人に頼んで撮ってもらいましょう。
毎月1回、つむじ部分を撮影し、撮った画像を並べて比較します。
5、6カ月続けて写真を比較した結果、つむじ周りの地肌が広がってきているようだったら、薄毛やハゲの進行中です。
男性だけでなく女性もつむじハゲが心配だったら、写真撮影で確認することをおすすめします。
効果を発揮する薄毛・ハゲ対策
髪の毛の現在の状態が把握できたら、次は髪の毛を現状よりいい状態に導くための対策を考え、実行します。
日常生活の見直しは対策の第一歩
日常生活の中の発毛の妨げとなる要因を見つけて改善し、発毛のプラス要因にしていくことは、薄毛やハゲ対策の第一歩です。
・食生活の改善
まずは規則正しく食事をとることです。ダイエットなどで朝食を抜いたり、就寝近くにスナック菓子を食べるなどはすぐにやめることです。
偏食は、髪の毛に必要な栄養の確保を阻みます。多種多様な食材をバランスよく食べることが大事です。
暴飲暴食、喫煙をやめ、タンパク質を中心とした栄養のバランスのいい食事を心がけましょう。そうした食生活が、頭皮環境を整えて血行をよくし、髪の毛の成長のための栄養を満たすことになります。
・ストレスの解消
ストレスにさらされると交感神経が刺激され、自律神経が乱れます。自律神経の乱れは血管を収縮し、血行不良になります。
頭皮に栄養を運ぶのは血液ですから、血行不良で頭皮の毛細血管まで栄養が運ばれないと、髪の毛の元になる細胞が栄養不良になり、髪の毛は成長せず、発毛しなくなります。
・運動と睡眠でホルモンのバランスを整える
運動不足はスムーズな血流を阻害します。日常的に適度な運動をしていると血流がよくなり、髪の毛にも十分な栄養が届きます。また、血流がよくなって血液量が増えると新陳代謝を活性化します。
さらに、運動はストレスを発散し、ストレスでホルモンが抑制されていたらその改善にも貢献します。
睡眠不足だったり睡眠が浅いと、ホルモンが正しく分泌されません。睡眠不足は疲労を蓄積させ、それがストレスとなってホルモンのバランスを崩します。
毛母細胞の活動に影響を与える成長ホルモンは、メラトニンという成分で形成されています。そのメラトニンは睡眠中に分泌されるので、睡眠不足はメラトニンの不足につながり、毛母細胞に影響をおよぼします。
効果が大きい育毛剤とマッサージ
医薬部外品の育毛剤は、毛母細胞の分裂を活性化する、毛母細胞の分裂を活性化するため血行を促進する、という育毛促進の2つの要素を満たすものが多くあります。
育毛促進効果のある代表的な成分は、センブリエキス、ナイアシンアミドなどです。これらが配合されていたら、その育毛剤の効果は大きいといっていいでしょう。
髪の毛の成長は1カ月でおよそ1㎝です。育毛剤の効果は2カ月、3カ月と継続して使用することで実感できるはずです。
頭皮を、もみほぐす、軽く叩く、強く押して離す、などの頭皮マッサージも、頭皮環境ケアとして有効です。
育毛剤を頭皮になじませてからマッサージをすると、効果はそれなりに上がるはずです。試してみてください。
男女別・人気の育毛剤
男性専用育毛剤
「チャップアップ」 現在の人気No.1。センブリエキス、グリチルリチン酸、ジェフェンヒドラミンHCと、47種の天然植物成分を配合。
「プランテル」 M字ハゲに支持されています。ギルチルリチン酸2Kで頭皮を消毒し、炎症を改善。セファランチン、ビワの葉エキス、センブリエキスで育毛促進。
「フィンジア」 最新の理論と技術で人気。キャピキシル、ピディオキシジル、カプサイシンを配合。カプサイシンで毛穴を開き、有効成分を浸透させるゲートアクセス理論を採用。
女性専用育毛剤
「ベルタ育毛剤」 天然由来成分99.6%。ユキノシタ、ウメ果実などで乾燥がちな頭皮を保湿し、ヒオウギエキスなどでハリ・コシを与えて育毛。
「マイナチュレ」 27種の天然成分と10種類のアミノ酸を配合。香料や着色料など11種の添加物を不使用。
「花蘭咲(からんさ)」 世界特許取得済みの、高い血流作用をもつエビネランエキスをたっぷり配合。
まとめ
男性型脱毛症の症状をⅠ〜Ⅶ型に分類したハミルトン・ノーウッド分類法があります。アメリカの医師ハミルトンがつくった分類パターンを、後に医師ノーウッドが改定したものです。
おでこの生え際から頭頂部に薄毛が進行する「M字型」と、頭頂部の薄毛が円形に広がる「O字型」に2分類し、「M字型」と「O字型」が合体して頭の後方へ進む「U字型」、さらに枝分かれして最終的にハゲが7分類されます。
機会があったらこの分類法で、自分の薄毛やハゲのレベルを確認するのもいいでしょう。
薄毛やハゲの基礎知識と進行具合や現状のチェック、進行抑止の対策などをまとめました。結論は、薄毛やハゲの予防対策は髪の毛が健康なときから意識すべきということです。
そして、薄毛やハゲが進行していたら、有効成分を配合の育毛剤を使用し、AGAの専門クリニックでの育毛治療を受けるのが適切です。
つむじハゲは、育毛や痩身などに用いられるメソセラピーで治療するクリニックもあります。訪ねてみてはいかがでしょう。
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