私たちの頭皮は髪で隠れて見えにくいですが、ダメージを受けやすいと言われています。ダメージを受けて頭皮が乾燥したり炎症を起こすことで、抜け毛を招くこともあります。頭皮のかゆみやフケも危険信号かもしれません。
どのようにして頭皮の乾燥や炎症が起こり、抜け毛を招くのでしょうか。頭皮トラブルによる抜け毛を防ぐ頭皮ケアシャンプーや頭皮マッサージ、また頭皮の炎症や抜け毛を防ぐ生活習慣や治療法についてもご紹介します。
目次
頭皮の乾燥は抜け毛の原因?
頭皮がベタつくわけでもないのに、かゆみやフケが気になることがありませんか。もしかしたら頭皮が乾燥しているのかもしれませんよ。頭皮の乾燥は抜け毛の原因にもなります。頭皮が乾燥する原因と抜け毛につながる理由について確認しておきましょう。
頭皮の乾燥と抜け毛の関係
女性の抜け毛の原因の一つに、頭皮の乾燥が挙げられます。乾燥をすると肌のバリア機能が低くなり、外からの刺激に弱くなり、炎症などの原因にもなります。かゆみを感じて掻いてしまうことでも頭皮の炎症を悪化させる可能性があります。
頭皮の炎症が悪化すると抜け毛・薄毛の原因になるので、乾燥がひどくならないうちに手を打つべきでしょう。
また頭皮が乾燥しているということは血行不良が疑われ、頭皮の血行が悪ければ髪の毛に必要な栄養分が届きにくくなっている状態です。
毛根の細胞に十分な栄養が届かないと髪が弱ってしまい、抜け毛が増えてしまいます。血行不良は抜け毛、薄毛との関係性が深いです。
髪を毎日洗っているのにもかかわらずフケやかゆみを感じるのは、頭皮の肌が乾燥しているのかもしれません。自分の頭皮の色をチェックしてみてもしピンク色になっていたら、頭皮が乾燥している可能性が高いです。
頭皮の乾燥を招く原因
頭皮の乾燥を招く要因としては、紫外線がまず挙げられるでしょう。頭頂部は外を歩いていて太陽の光をダイレクトに浴びやすい部分です。紫外線は皮膚へ強いダメージを与え、頭皮も日焼けして水分が奪われて乾燥することがあります。紫外線の強い季節は帽子や日傘などを使うと、ダメージを避けられるでしょう。
エアコンの効いた室内でエアコンの風を受けることでも頭皮が乾燥しやすいです。冬の乾燥する時期も頭皮の乾燥を招きやすいです。
そしてヘアケアも頭皮の乾燥を招きやすい要因です。シャンプー剤が合っていなかったり、シャンプーで洗い過ぎることが、頭皮の乾燥を招くことがあります。
また頭皮の血行不良により肌のターンオーバーが乱れると、バリア機能や保湿機能が弱くなり、乾燥などのトラブルを招くことがあります。ストレスや睡眠不足で血行不良になることもあります。
頭皮が乾燥したときの対処法
乾燥が気になるときは頭皮用の保湿液を使っって頭皮の肌に潤いを与えましょう。育毛剤にもかゆみ・フケを防ぐ効果があるのでおすすめです。ただし乾燥以外の異常も見られる場合は皮膚科で診てもらうようにしましょう。
抜け毛を招く頭皮の炎症・脱毛症
抜け毛や薄毛はいろいろな原因によって起こる可能性があります。原因がわからないと正しく対処することができません。抜け毛を招く頭皮の炎症(皮膚炎)や脱毛症にはどのようなものがあるのか見ていきましょう。
アトピー性皮膚炎
アレルギーの原因となるアレルゲンを取り除こうと免疫機能が過剰に働いて、湿疹やかゆみの症状が出てしまうのがアトピーの症状です。頭皮がひどくかゆくて掻きむしってしまい、炎症を起こして抜け毛になることがあります。
接触性皮膚炎
刺激の強いシャンプーや整髪料、カラー剤、パーマ液などが頭皮への刺激になって、炎症を起こすことがあります。思い当たるヘアケア剤があれば使用を中止し、カラーやパーマも頭皮にトラブルがある時は控えましょう。
脂漏性湿疹
過剰な皮脂分泌によって、マラセチア菌という皮膚の常在菌が異常繁殖することで起きる湿疹です。頭皮も皮脂分泌の多い部位なので脂漏性湿疹になりやすいです。
赤みやかゆみ、またフケのように皮膚が剥がれ落ちる症状が見られます。ニキビと間違われることが多いですが、かゆみがあるのが脂漏性皮膚炎の特徴です。男性に多く、悪化させると脂漏性脱毛症になることがあります。
尋常性乾癬
尋常性乾癬は乾癬の中でも最も多い症状です。皮膚の浸潤・肥厚(ひこう)、赤みを伴う発疹ができ、フケのようなリンセツができ、ポロポロと落ちるのが特徴です。完治は難しいとされています。
乾癬では肌のターンオーバーが非常に早く、皮脂が失われることで肌のバリア機能が失われ、毛根がダメージを受け抜け毛につながります。ストレスや脂質の高い食事なども原因になります。
男性型脱毛症
男性に最も多い脱毛症(AGA)で、ジヒドロテストステロンという男性ホルモンが原因で発症します。ジヒドロテストステロン(DHT)はテストステロンというホルモンが毛乳頭の還元酵素に変換されて作られます。DHTが毛乳頭のレセプターと結合すると、脱毛指令が出されて抜け毛が起こります。
男性型脱毛症は遺伝的要因が強く、進行性の脱毛症です。最初はおでこやつむじが薄くなったのが気になる程度だったのが、どんどん周辺まで薄毛やハゲが広がっていきます。進行の仕方は人によって異なります。
びまん性脱毛症
頭髪全体が薄くなる脱毛症で、女性に多く見られる脱毛症です。ストレス、ホルモンバランスの乱れなどで発症する女子男性型脱毛症(FAGA)もびまん性脱毛症の一つです。
AGAと同様の作用機序ですが、女性の場合は女性ホルモンの分泌量が多いために男性ほど強くDHTの影響を受けないため、男性のような髪の後退は起こらないです。
円形脱毛症
円形脱毛症は頭部の髪が生えているところならどこでも、円形状に髪が抜け落ちる症状が一般的な症状です。脱毛部分は1箇所の場合も複数の場合もあります。自然治癒するケースが多いですが、ストレスなどが原因で治りが悪くなったり再発の恐れもあります。
病気による脱毛症
糖尿病、甲状腺の病気、膠原病、高脂血症、栄養障害によっても脱毛が起きることがあります。また病気の治療に使われた薬で起きる薬剤性脱毛症もあります。脱毛症状への対処も必要ですが、病気の根本治療や原因を取り除くことが必要になります。
抜け毛に頭皮ケアシャンプー
抜け毛には様々な原因が考えられますが、中には頭皮環境が悪いことがきっかけで起きる抜け毛もあります。日頃の頭皮ケアがおろそかになっている人は、まずはシャンプーでの頭皮ケアから見直してみませんか。
シャンプー剤の選び方
最近は頭皮ケアに主眼を置いたヘアケア剤が増えてきたようです。スカルプケアシャンプーやクレンジングシャンプーなど、落としにくい整髪料、地肌の毛穴の汚れまでしっかり落とすことも重要視されています。
ただ肌に優しいだけではなく汚れもしっかり落とすシャンプーということで、アミノ酸系洗浄成分が中心で、天然成分の石けん成分で洗浄力を高めているもの、コーティング剤になるシリコンが使われていないもの、無添加で刺激の少ないものなどが選ぶポイントとなるでしょう。
おすすめの頭皮ケアシャンプー
頭皮ケアシャンプーに関する記事は多くありますが、特におすすめされているのは男女問わず使えるチャップアップシャンプー、女性用キャピキシル配合のharu黒髪スカルプシャンプー、男性用のm3040、くせ毛の人におすすめなクイーンズシャンプー、マイナチュレスカルプシャンプーなどがあります。
脂漏性皮膚炎でお悩みの男性におすすめされているのが、抗真菌成分のミコナゾール硝酸塩が入ったコラージュフルフルシャンプーです。
シャンプーでのヘアケア方法
基本的に洗髪は毎日行うようにしましょう。整髪料や汗や皮脂で汚れた頭皮を清潔にしてから一晩過ごせるよう、夜のうちの洗髪がおすすめです。
洗髪する時の注意点は、ブラッシングは洗髪前の乾いた髪で行い、シャンプーで洗う前にお湯洗いをすること、お湯の温度は熱くなりすぎないようにすること、シャンプーをすすぐ時に洗い残しがないようしっかり洗うことです。
シャンプーでのヘアケア後、髪をしっかり乾かしてから寝るようにしましょう。生乾きの状態のまま寝ると頭皮や髪の中で雑菌が繁殖し、頭皮トラブルを招く可能性があります。
クレンジングシャンプーで頭皮の皮脂対策
頭皮が脂性肌の人で、シャンプーをしても夕方には髪がベタついたりボリュームがなくなる人、頭皮のニオイが気になる人は、通常のシャンプーだけでは頭皮の皮脂汚れが落としにくいのかもしれません。
そこでクレンジングシャンプーでの皮脂対策方法がおすすめです。シャンプー前にプレシャンプーとして使うことで、また週1、2回のスペシャルケアとして、通常のシャンプーより洗浄力のあるシャンプー剤で頭皮の肌の汚れを落としてリセットし、脂性肌やニオイの改善を図ります。
シャンプーに関する詳しい記事はこちらの記事を参考にしてみてください。
・頭皮が油っぽい原因とは?頭皮に合ったシャンプー選びとベタベタを改善するシャンプー方法を紹介!
・脂漏性皮膚炎の治療法を知ろう!シャンプーが効果的?症状や原因も紹介!
・頭皮にいいシャンプーの選び方!髪や頭皮の状態に合わせたシャンプーの選び方を知ろう!
頭皮マッサージによる抜け毛対策法
抜け毛予防や育毛対策には頭皮マッサージもよくおすすめされています。頭皮マッサージはヘッドスパサロンなどで行われていますが、自分でも簡単にできます。効果的な頭皮マッサージの方法や、マッサージと併せて使うのがおすすめな育毛剤についても紹介します。
頭皮マッサージの効果
頭皮をマッサージすることで頭皮の血管内の血流を良くし、毛母細胞へ栄養を行き渡らせることで髪を健康的に育て、抜け毛を予防する効果があるとされています。
またシャンプーの前にオイルを使ってマッサージをすれば、毛穴の汚れや皮脂を浮き上がらせる効果もあるので、頭皮ケアにもなります。
マッサージ方法
両手を両耳にかぶせるように軽く置きます。親指以外の4本の指が耳の上に置かれている状態です。4本の指の腹を使って、頭皮を上下左右に動かすようにマッサージします。耳上が終わったら耳の後ろ側も、さらにマッサージする場所を頭頂部側にずらしていきます。
生え際や後頭部も同様にマッサージします。最後に頭頂部の百会(ひゃくえ)や後頭部の天柱、風池(ふうち)のツボ押しをします。1日5分程度、毎日行うことをおすすめします。
育毛剤の使用がおすすめ
セルフケアでの抜け毛予防・薄毛対策といえば育毛剤がすぐに思い浮かぶでしょう。薄毛・育毛情報サイトでおすすめされている品質の高い育毛剤はチャップアップやイクオス、フィンジアなど、女性用育毛剤は薬用ベルタ、マイナチュレなどです。
いずれの育毛剤も天然由来の育毛成分が豊富に入っていて、余計な添加物をなるべく排除した頭皮に優しい育毛剤です。
ただし低刺激な育毛剤でも、肌が弱っているとアルコールやメントールなどが刺激になることもあるので注意しましょう。
頭皮の炎症・抜け毛を防ぐ生活習慣
頭皮の炎症には外因的なものも大きいですが、日頃の生活習慣によう内因的要因も重なって起きることがあります。頭皮トラブルを防ぐには心身ともに健康的な生活を送ることが好ましいです。生活習慣の改善でも頭皮のトラブルや抜け毛を予防していきましょう。
栄養バランスの良い食事
髪の毛はたんぱく質が原料となっていますが、摂取したタンパク質から髪が作られるのにはビタミンやミネラルの力も必要です。栄養バランスの良い食事で健康な髪を作ることも心がけましょう。
栄養障害や特定の栄養素の欠乏症でも抜け毛が起きることがあります。また脂質の多い食生活は皮脂分泌をさかんにして、乾癬や脂漏性湿疹の原因にもなります。脂質や糖質、またアルコールも多く摂り過ぎないよう注意しましょう。
深い睡眠をとる
睡眠中は成長ホルモンが多く分泌されます。特に入眠時1~3時間後が最も成長ホルモンの分泌が盛んになりますが、成長ホルモンは深い眠りの時によく分泌されます。
成長ホルモンの分泌量がピークになった後も、寝ている間は周期的に成長ホルモンの分泌量が増えます。深い睡眠で、かつ睡眠時間も不足しないよう、質・量ともに良い睡眠をとるようにしましょう。
寝る1時間前は間接照明で、PCやスマホなど明るい画面を見ないようにすると眠りが深くなる効果があるそうです。寝る時間がまちまちになるよりは、生活リズムを整える方がより良い睡眠を得られるそうです。
体を動かす
運動不足は血行を悪くし、肩凝りや首の凝りの原因にもなります。血行が悪くなると髪を作る細胞にも栄養や酸素が行き渡りません。有酸素運動を定期的に行ったり、日常生活の中でも体を動かす機会を増やすようにしましょう。
頭皮の炎症・抜け毛の治療方法
頭皮の炎症や抜け毛は治療で改善される場合があります。セルフケアでは症状の改善が見られない時はすぐに皮膚科や薄毛治療専門のクリニックへ行ってみてもらうと良いでしょう。簡単に頭皮炎症・抜け毛の治療法についてまとめました。
頭皮の皮膚炎・湿疹の治療法
接触性皮膚炎は市販の治療薬でも治ることがありますが、症状が改善されない場合は皮膚科に相談しましょう。
アトピー、アレルギー性皮膚炎は市販の治療薬では悪化させる可能性もあり、完治するのも難しいです。皮膚科で相談しつつ、症状とうまくつき合っていくことが必要でしょう。
脂漏性皮膚炎には抗ヒスタミン系の外用薬、抗真菌薬、やステロイド剤などが有効です。また食生活、ストレスの影響も受けやすいので注意しましょう。
脱毛症の治療法
男性のAGAは発毛効果のあるミノキシジル、5αリダクターゼを抑制するフィナステリドやデュタステリドなどの治療薬が処方されます。頭皮に直接薬剤やビタミン、アミノ酸などを注入する育毛メソセラピー、自毛植毛法もあります。
女性のFAGAではパントガールやミノキシジル、パントスチンなどの治療薬が処方されます。男性同様、女性向けの成分を頭皮に注入するメソセラピーや自毛植毛法が利用されることもあります。
円形脱毛症は自然治癒することも多いですが、治療ではステロイド剤やフロジン液などが使われます。
まとめ
頭皮のさまざまなトラブルも抜け毛の原因になることがあります。紫外線や肌に合わないシャンプー、血行不良で起きる頭皮乾燥は、乾燥による炎症で抜け毛を招くことがあります。
頭皮の湿疹ではアトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、脂漏性湿疹、尋常性乾癬などによる頭皮トラブルで抜け毛が起きる場合があります。頭皮トラブルとは異なる原因で起きる脱毛症や病気による脱毛のこともあり、抜け毛の原因について理解しておく必要があります。
対策として頭皮に優しい洗浄成分、低刺激のシャンプーで、毎日ヘアケアするのがおすすめです。頭皮マッサージも頭皮の血行を促進し、シャンプー前のオイルでのマッサージは頭皮の毛穴の汚れも落としやすくします。
育毛剤などのセルフケア、生活習慣の改善も頭皮トラブルや抜け毛の予防や薄毛対策におすすめですが、脱毛症を発症した場合セルフケアのみでの改善は難しいケースが多く、適切な治療を受けることが必要です。
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