暑い夏がひと段落してきたころ、枕元の髪の毛の数が普段よりも多くてびっくりすることってありませんか?よく、秋になると抜け毛が多くなると言います。
秋口の抜け毛は何が原因でどう対処していけばよいのでしょうか。髪のメカニズムにも触れながら、秋の抜け毛対策のお話をしていきたいと思います。
目次
季節性の抜け毛が気になる理由
秋はもちろんですが、春や冬にも髪が抜ける方がいらっしゃるようです。
慢性的な脱毛症や薄毛でもないのに、その季節になったら急に髪が抜けてしまう、それには何か理由があるのでしょうか。
春と秋は髪が抜ける季節
人は春と秋に、抜け毛が増える言われます。季節に関係なく、1日に100本程度までは髪の毛が抜けますが、春と秋には抜毛の本数が2倍に増えます。季節の変わり目の抜け毛は誰にでも起こりうる、自然なことです。
その理由として、ヒトの毛の生え変わりのタイミングであるということと、夏の紫外線やストレス、栄養の偏りや不足などの2つが考えられます。
そのいずれであっても、季節的な抜け毛であれば、特に対策は必要ないでしょう。9月頃に抜け毛が気になり始める人が多いようですが、2か月もすると抜け毛はおさまります。減ったものはしばらくすれば自然と回復していきます。秋の抜け毛自体は髪の毛の生え変わりの周期の一環なのでそれほど気にする必要はありません。
冬の抜け毛は気候が原因
ちなみに冬の抜け毛は、気候が主な原因になります。血行不足、皮脂が増加して毛穴詰まる、頭皮の乾燥、また寒さを理由に外出が減って運動不足になる、という理由で毛髪が育ちにくくなります。
また、冬は気温が下がることで、代謝が落ち、毛髪の成長も他の季節に比べて10%ほど減少するようです。乾燥対策をし、体を温めることは込み入った毛髪対策をする以前から取り組んでおくのがベターでしょう。
秋の抜け毛の原因
秋の抜け毛は、毛の生え変わりのタイミングであることとが主な原因であることについてはすでにふれました。しかし、そもそも髪の毛はどのような周期で生え変わるのでしょうか。
ここでは髪の毛の周期(ヘアサイクル)と、秋の抜け毛の原因をより細かく確認していきましょう。
ヘアサイクル(毛周期)による抜け毛
髪の毛には生え変わりの周期が存在します。地肌から出ている上の部分(私たちが髪の毛と呼んでいるもの)は「毛幹」と呼ばれ、一方で頭皮の下にあるものが「毛根」と呼びます。その毛根(正確には毛球)にある毛母細胞という細胞が分裂して、髪を作り出して生えてくるのです。
毛母細胞が分裂して、どんどん髪を作り出してくれている間は、髪の「成長期」です。この期間は、人や性別によっても異なりますが2~6年ほどと言われています。それを過ぎると2~3週間の間、毛母細胞は細胞分裂をやめて、髪の成長が止まります。この時期の髪の毛を「退行期」といいます。
さらに、それを過ぎると、毛根下部(正確には毛乳頭)との結合が緩み始め、やがて髪が抜ける「休止期」がやってきます。3~4か月の間、毛根の働きは止まり、これを過ぎるとまた、髪の毛が生えてくる「成長期」が始まります。
このような髪の毛の生え変わりの周期をヘアサイクルもしくは毛周期と呼びます。重要なのは、すべての髪が同時にこのサイクルを辿るわけではないということです。髪1本1本で、ヘアサイクルは異なるのです。ですので、普段髪の毛はどれもふつうに生えているように見えますが、退行期の髪や休止期の髪も混じっているということです。
紫外線ダメージや活性酸素による抜け毛
夏は、汗を多くかくため、皮脂の分泌が増えます。頭皮の汚れが蓄積されやすい状態が夏の間続きます。また、夏は紫外線はもっとも強くなる季節です。紫外線の中でもUVAは冬期の2倍、UVBに至っては冬期の5倍の紫外線が降り注ぐことになります。この紫外線に晒された状態だと髪と頭皮ダメージは避けられないでしょう。
抜け毛だけでなく、毛先が痛んだり、切れ毛の原因になったりもします。海やプール、レジャー観光など外出する機会が増えることもそれに拍車をかけます。
また、紫外線を浴びると体の中で活性酸素が発生します。髪の毛を形成する物質にはアミノ酸がありますが、体の活性酸素を除去するための抗酸化物質としても働きますので、そのために髪の毛のアミノ酸が不足する可能性があります。
さらに、活性酸素が生じた場合は、髪の毛を生み出す毛母細胞にダメージを与え、皮脂を酸化と毛穴の汚れを生み出すので、夏が終わったころの秋の抜け毛を増やしてしまうことになります。
また、夏の暑さで寝不足になったり、食欲がわかないから冷たいものだけで済ませたりしていると、夏バテになることはご存じのとおり。栄養バランスが悪くなると、髪や頭皮環境はさらに悪化します。
男性と女性の秋口の抜け毛の違い
男性と女性で、秋の抜け毛に関係性はありません。抜け毛が気になる男性の場合は、男性ホルモンが原因で起きるAGA(男性型脱毛症)などが代表的です。女性の場合も加齢に伴う女性ホルモンの減少が原因の髪のボリュームダウンや抜け毛がそれにあたります。
どちらも、季節的な抜け毛とは別の原因で、進行性の脱毛・薄毛ですので、まったく別の対策が必要になるでしょう。
私たちはこれまで何度も春と秋を過ごしてきて、抜け毛の程度というものをある程度把握しているはずです。その範囲の抜け毛であれば秋の抜け毛は気にする必要がありません。しかし、男性ホルモンや女性ホルモンが原因の進行性の脱毛や、別の病気の症状としての抜け毛である可能性もあります。余りにも抜ける量が多い、束になって抜ける、ということであれば病院やクリニックで診察を受けることをオススメします。
秋の抜け毛の予防対策
秋の抜け毛をどのようにケアしていけばよいでしょうか。
また、夏場に髪が痛まないようにする対策方法であらかじめ予防しておけば、のちのちの抜け毛を最小限に抑えることができます。ここでは、抜け毛の対策から育毛対策・薄毛対策までご紹介したいと思います。
夏の疲れた頭皮に頭皮マッサージ
夏場はもちろん、9月や10月でもまだ日差しは強いです。日焼けのあとの髪は、キューティクルを保護してくれるシャンプー剤、保湿効果の高いトリートメントなどでケアするのがよいでしょう。
なお、リンスやコンディショナーでは髪の奥まで浸透しませんので、使うならトリートメントがベターです。なお、日焼けした後、ブラッシングの摩擦によるダメージは髪を痛める原因になります。なるべくブラッシングは優しく行いましょう。
また、頭皮マッサージでの髪や地肌の疲れを癒すヘッドスパもおすすめです。夏の間に頭皮の汚れや角質が溜まっています。これをふだんのシャンプーなど洗髪で落とすことは難しいものです。ヘッドスパであれば、炭酸、オイル、クリームバスなどを利用しながら、頭皮に溜まった汚れを浮かせてくれるので、清潔できれいな頭皮を取り戻せます。
また、マッサージによる頭皮の血行促進効果や夏の間のストレスを癒してくれる効果が期待できるでしょう。ヘッドスパの中にはアロマオイルなどを利用して、リラックス効果を高めてくれるような施術もありますので、日ごろの疲れをとる良い機会に利用してもいいかもしれませんね。
髪の紫外線対策
夏の間、肌ケアや肌の紫外線対策は行いますが、髪の対策は行っていますか?やり方は肌の場合とあまり変わりません。
まず髪用の日焼け止めがありますので、これがオススメです。日焼け止めをぬるときには髪の表面と、頭皮にもぬることで、頭皮のダメージを防ぐことができます。肌用のものだと髪が白っぽくなることがありますので、髪専用のものを選んだほうがいいでしょう。また、日焼け止め以外にもUVカットの効果があるスタイリング剤やトリートメントを利用するのもオススメです。
また帽子や日傘で直接紫外線が当たるのを防ぐのがもっとも有効です。帽子は黒などの熱をもちやすいものを避け白か薄い色のものを選び、つばがしっかりついているものを選ぶとよいでしょう。帽子や傘にUVカット加工が施されていれば万全です。紫外線ダメージの影響を最小限に抑えるためにも、直接髪に対策を施しておきましょう。
アミノ酸とタンパク質の摂取
夏は薄着になるため、体のラインを隠すことができません。海やレジャーに出かける場合はなおさら気になります。夏に向けて、もしくは夏の間中、見た目を気にしてダイエットに励んだ経験のあるかたも多いのではないでしょうか。もし、ダイエットに成功しても、体は栄養不足かもしれません。それが、結果的に秋になってダメージを助長し、抜け毛要因をつくっているのかもしれません。
髪の毛は主にタンパク質でできていて、さらにタンパク質はアミノ酸で構成されていますので、髪の毛の主成分はアミノ酸ということになります。アミノ酸は体内で合成できない必須アミノ酸と合成可能な非必須アミノ酸がありますが、髪をケアしていくためにはどちらも補う必要があります。タンパク質やアミノ酸をしっかり摂取することで、秋の疲れた髪を回復させていくことができます。
まず、栄養や食事の見直しが必要でしょう。タンパク質の摂取は体重1kgに対して1gと言われます。50kgの体重の人はタンパク質を50g摂取しなければなりません。少ないように聞こえますが50gとは、卵で換算すると7個分、鶏肉でいうと250gに相当します。
また、スポーツをする人や仕事で体を動かしている人であれば、体重1kgに対して1.5g以上必要です。魚や肉や卵が嫌いな人や、夏場は暑くてそばやそうめんなどさっぱりしたものばかりで済ませていませんか?
食欲がわかないと肉や卵などを嫌厭してしまいがちですが、小分けにして少しずつでもいいので、タンパク質をとるようにしましょう。
また、タンパク質の吸収を高めてくれるビタミン・ミネラルがあります。まず、ビタミンB群が代表的です。タンパク質をアミノ酸に分解したり、頭皮の皮脂分泌に携わっています。また、アミノ酸の合成にかかわるビタミンCや、タンパク質の吸収を促してくれるミネラル類などを重点的に摂取する良いでしょう。
タンパク質やアミノ酸を効率的に摂取するのであれば、プロテインやアミノ酸サプリメントを利用するのもいいかもしれません。ある程度しっかり摂取していけば、肌質や髪質によい変化を感じられるでしょう。そういったサプリメントであれば、ビタミンやミネラルの栄養素があわせて付加されているものもあります。食事の改善が難しい方には便利でおすすめです。
アミノ酸系シャンプーを利用する
また、髪の表面のキューティクルは、髪自身を保護して水分を保ち、美しいツヤや潤い感を出してくれます。紫外線に加えて、普段からのパーマ、ヘアカラーによる刺激も重なれば、キューティクルのダメージが大きくなり、髪の水分を保つことができません。
アミノ酸はキューティクルや受けたダメージの補修を促すのに必要ですから、アミノ酸をしっかりと取り入れていく必要があります。
アミノ酸系シャンプーという種類のシャンプーは、アミノ酸を含んでいます。洗浄力が通常のシャンプーより弱いですが、肌や頭皮にはさやしいと言われます。湿疹がでていたり、かゆみを伴って赤くなった頭皮、アトピーの場合でも安心して利用できます。
アミノ酸系シャンプーは皮脂を洗い落としすぎず、保湿性があり、髪の毛がパサつかず、頭皮や髪の毛を痛めないのがメリットです。デメリットは洗浄力が通常のシャンプーと比べれば弱いことです。しかし、お湯だけで髪を流す、いわゆる「湯シャン」でさえ、7割くらいの汚れは落とすことができると言われています。
アミノ酸系シャンプーでも泡立てて、地肌を指の腹でしっかりマッサージするように洗ってあげれば、洗浄力を気にする必要はないでしょう。
成長ホルモンの分泌で発毛促進
また、加齢や老化によって、30歳を過ぎると成長ホルモンの分泌が大きく減少します。成長ホルモンは睡眠中に多く分泌され、髪の成長を促してくれます。抜け毛や薄毛は毛母細胞の活動が弱まり、ヘアサイクルが短縮されることで起きます。毛母細胞をしっかり活性化するためにも、成長ホルモンの分泌をしやすい環境をつくるのが良いでしょう。
そのためには睡眠はしっかりとることです。生活リズムが乱れがちだったり、睡眠不足が続いていたり、疲れやストレスが溜まっているのであれば、それは髪にとっては大敵です。また、成長ホルモンは運動をしたり、空腹状態のときに分泌されやすいことも知られています。慢性的に運動不足だったり、空腹を感じないまま、つい何かを食べてしまう人は要注意です。
睡眠と運動と食事の改善によって健康的な生活習慣をつくっていくことが、髪の健康につながります。
育毛剤で育毛対策
髪の毛が気になり始めたら、育毛剤を使って頭皮環境を整え、髪の成長を促しましょう。男性と女性の場合では脱毛や薄毛のメカニズムが違います。男性の場合は、額の生え際や頭頂部に目立ちます。女性は髪全体が薄くなってボリュームが少なくなっていきます。それぞれ、男性ホルモン、女性ホルモンが原因になっています。
男性用育毛剤は、男性ホルモンを抑制したり、血流促進させる成分が主です。男性ホルモンによる作用で、頭皮環境が荒れやすいのでこれを改善することを期待して成分が配合されています。
女性用育毛剤は、栄養成分や保湿成分、イソフラボンなどが配合された育毛剤が主流です。女性の場合は、ヘアカラーなどによる髪や頭皮へのダメージが多いことと、女性ホルモンの減少が原因であることから、このような育毛剤を利用することで改善が期待できます。
進行性の抜け毛だけではなく、普段からの頭皮ケアに利用することができますので、髪や頭皮の改善のために利用しましょう。
まとめ
今回は秋の抜け毛についてお話ししました。9月頃を境に増え始める秋の抜け毛ですが、季節を問わず慢性的に薄毛や抜け毛に悩んでいる方にとって、秋の抜け毛はとくに怖いですね。
男性の場合だと部分的に薄毛が進行していきますので、症状が悪化したのではないかと考えてしまいます。女性の場合も、髪の毛のケアは肌ほどこまめに行わない方や抜け毛のケアをしたことがない方も多いかもしれません。急に抜けたら、何かの病気を疑ってしまうなんてこともありそうですね。
秋の抜け毛対策の基本は、夏場の髪に蓄積していくダメージを予め抑えて、食事や睡眠などの生活習慣の改善をしていくことです。普段から、頭皮や髪をいたわるヘアケア習慣を身に着け、夏の疲れをしっかり抜いてやれば、一時的に減った髪もまた髪の毛は戻ってきてくれるはず!あまり、思い悩まず、これを機会に髪のケアを見直すことができればいいですね。
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