髪の状態は毎日目につきますが、いつもは白い頭皮が赤くなっていても、なかなか自分では気づきません。担当の美容師さんに指摘されて初めて気づく人も少なくないでしょう。自分の頭皮の色まではなかなかチェックしませんよね。
実は頭皮が赤いのは、抜け毛や薄毛につながる悪いサインとされています。頭皮が赤いと時にはかゆみや痛みを感じることもあります。なぜ頭皮が赤くなってしまうのか、その原因と対策法についてまとめました。
頭皮の赤みは危険信号
普段は白っぽい頭皮が赤くなっていたら、それは危険信号と考えられます。頭皮が赤いとどんな弊害があるのでしょうか。また考えられる原因についても見ていきましょう。
頭皮が赤い症状
健康な頭皮の色は青白い色です。血行が良いと顔や手は赤みをますことがありますが、頭皮は血行が良くても赤くなりません。頭皮が赤いのは血行が悪い状態ということです。炎症を起こしていたり、腫れていたり、皮膚に痛みやかゆみを感じることがあります。特に夏は日焼けで頭皮が赤くなってしまうこともあります。
頭皮が健康なら青白く、乾燥気味になると白くなります。乾燥するとフケやかゆみを伴うので、保湿ローションなどで潤いを与えるようにしましょう。頭皮が黄色っぽい状態は、炎症やベタつきなどのトラブルを招くことがあります。
頭皮が赤い原因
頭皮が赤くなるにはさまざまな原因が考えられます。まず、肌に合わないシャンプー、または整髪料などで、頭皮に悪影響を及ぼしている可能性があります。シャンプーに使われている洗浄成分や防腐剤、また香料も肌への刺激になる可能性があります。
市販のカラーリング剤なども、頭皮への刺激になることもあります。肌が弱い人や、赤くなったり痛みを感じるようであればすぐに使用をやめましょう。日中陽射しの強い中で活動をして、頭皮が日焼けして赤くなってしまうことも考えられます。まれにですが雑菌やカビによる影響、アレルギーも考えられます。
抜け毛・薄毛との関係
頭皮が赤いことを、紅斑(こうはん)とも言います。紅斑は赤い斑点が頭皮に現れたり、赤っぽくなるもので、何らかの刺激で毛細血管が拡張している状態です。脂漏性皮膚炎、パーマ剤やカラーリング剤などの刺激による頭皮の炎症、アレルギー性皮膚炎などが原因として考えられます。いずれも頭皮の環境が良くない状況にあり、抜け毛や薄毛を引き起こす危険性もあります。
頭皮の色の異常を発見したら、抜け毛・薄毛につながらないよう注意が必要です。頭皮は髪に隠れて見えにくい部分です。なかなか頭皮の色は自分では気づきにくいので、思わぬトラブルにつながらないよう、普段から頭皮のチェックもしておくべきでしょう。
湿疹・皮膚炎による頭皮の赤み
頭皮が赤い、かゆみがありフケが出る、痛みがあるなどの症状が見られるときは、何らかの皮膚疾患による頭皮の赤みが考えられます。頭皮が赤くなる皮膚疾患には、どのようなものがあるのでしょうか。
皮脂欠乏性湿疹
皮脂欠乏性湿疹とは、肌が乾燥することによって起きる湿疹です。通常は刺激に感じられないシャンプーが、秋冬の乾燥する季節で頭皮が乾燥し、シャンプー剤に入っている成分が乾燥した頭皮を刺激、湿疹や皮膚炎を起こしてしまうことがあります。シャンプーのし過ぎや洗浄力の高いもの、肌に合わないシャンプーを使うことでも頭皮が乾燥することがあります。
接触性皮膚炎
皮膚に何らかの刺激物質が接触することにより、起きる皮膚炎のことです。
虫や植物などの毒、石けんや洗剤の成分など、刺激の強いもの、毒性のあるもので起きる刺激性接触皮膚炎と、特定の物質、例えば植物や金属、シャンプー、衣類の素材によって起きたりするアレルギー性接触皮膚炎があります。
アレルギー性接触皮膚炎
特定の金属、植物、食品、布、シャンプーや石けん、薬などに触れると、赤みができて腫れやかゆみ、痛みを感じることがあります。
頭皮でもシャンプーや帽子の素材、使用した薬によってアレルギー性接触皮膚炎を起こす可能性があります。
脂漏性皮膚炎
脂漏性皮膚炎は皮脂の分泌がさかんな、頭皮や顔、特に鼻の周りに起こりやすい皮膚炎・湿疹です。頭皮や鼻の横の皮膚が赤くなったり、激しいかゆみを伴うこともあります。皮膚の状態は荒れてカサカサして、皮膚表面の皮がはがれてしまうこともあります。
成人の場合マラセチア真菌というカビの一種が、頭皮の皮脂が過剰分泌しているところに繁殖するため起こるとされています。
アトピー性皮膚炎
アレルギー反応によって起こる皮膚炎で、肌がカサカサになったり、赤く腫れたり、かゆみが起こるためかきむしってかさぶたができたり、皮膚が厚くなってしまうことがあります。
肌のバリア機能がうまく働かないことで、化粧品やシャンプー、石鹸、その他いろいろな肌への刺激で症状が現れます。
紅斑
紅斑は毛細血管の拡張で皮膚が広い範囲で、また斑点状に赤くなる症状です。頭皮が赤くなることがありますが、それも紅斑と呼ばれます。指で押すと赤みが消えます。
赤みが出るだけで自然と治ることもありますが、痒みを伴ったり化膿してしまうこともあります。アトピー性皮膚炎やその他いろいろな皮膚炎で紅斑が見られます。
対処方法と治療
治療を受ける場合は皮膚科を受診しましょう。自己判断はトラブルの元なので、症状に合った薬を処方してもらいましょう。ネット上にもさまざまな情報があふれていますが、監修者が医師によるものなど、信頼性の高い記事を参考にしましょう。
皮脂欠乏性湿疹は乾燥が原因の湿疹なので、白色ワセリン、ヒルドイド、ケラチナミンなどの保湿剤が治療に使われます。炎症にステロイド剤、かゆみを抑えるために抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤によって対処します。脂漏性皮膚炎には抗真菌薬、抗ヒスタミン剤、ビタミン剤も処方されます。
接触性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎はアレルギーの原因を特定し、ステロイド剤や抗ヒスタミン剤などで対処します。アトピー性皮膚炎は完治するのは難しいですが、他の皮膚疾患同様ステロイド剤、また顔には副腎皮質ホルモンを使わない免疫抑制剤がよく使われます。
薬での治療以外には、シャンプーを肌に合ったものに変えたり、食生活の改善、規則正しい生活を送ること、ストレスをなるべくためないことも、頭皮の炎症の予防対策になります。
シャンプー選びと洗髪方法
シャンプーが原因で頭皮が赤くなることがあります。シャンプー選びやシャンプーでの洗い方に、どのように気をつける必要があるのでしょうか。また正しい洗髪方法についても見ていきましょう。
シャンプー剤による頭皮の赤み
接触性皮膚炎など、シャンプーが原因で炎症、湿疹が起こることもあります。特に洗浄力の高いシャンプーは肌への刺激が強いので、頭皮のトラブルを招きかねません。頭皮が赤い、かゆみがあるなど、普通にシャンプーを使っているのに頭皮のトラブルを感じるなら、肌にタイプに合った優しいシャンプーを使うことをおすすめします。
シャンプー剤や石けんには界面活性剤という汚れを落とす働きをするものが入っています。高級アルコール系の合成界面活性剤がシャンプーにもよく使われていますが、洗浄力が高く、肌の敏感な人には合わないことが多いです。頭皮にトラブルのある人は、アミノ酸系シャンプー、防腐剤などが入っていない無添加シャンプーなど、肌に優しいものを選ぶと良いでしょう。
高級アルコール系シャンプー
高級アルコール系シャンプーとは、分子構造で炭素の多いアルコール系のシャンプーを指し、洗浄力が高いものになります。硫酸系の洗浄成分が入っていることが多く、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウムなどが入っています。ラウリル硫酸塩のような発泡剤は皮膚にダメージを与えると言われています。
もし今使っているシャンプーに上記のような成分が入っていたら、シャンプーの洗浄剤が頭皮の赤みの原因になっているかもしれません。他に思い当たることがなければ一度シャンプーの使用をやめましょう。
石鹸シャンプー
石鹸シャンプーの洗浄成分には、脂肪酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、石けん素地などがあります。石鹸シャンプーはアルカリ性で、髪の毛がきしむように感じます。
無添加で余計な防腐剤なども入っておらず、地肌に優しそうなのですが、洗浄力も高いので、髪に合わないこともあるかもしれません。
アミノ酸系シャンプー
アミノ酸系シャンプーは洗浄力が優しく、刺激が少ないシャンプーです。肌の弱い人にもおすすめです。ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチルアラニンナトリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウムなどのアミノ酸系洗浄成分が入っています。
泡立ちが細かく、おだやかに髪を洗うことができます。洗い終わった後の髪のきしみが少ないです。アミノ酸系のダメージケアシャンプーは高い美髪効果があるので、女性にも人気です。刺激が強いシャンプーで肌が赤くなってしまった人は、アミノ酸シャンプーがおすすめです。
育毛シャンプー
育毛シャンプーにもいろいろな種類があり、男性用だけでなく女性用のものも豊富になりました。シャンプー成分も各育毛シャンプーによってさまざまです。
洗浄力が高く、頭皮の皮脂が多い人用にさっぱりとした使い心地のもの、抜け毛を予防する成分が入っているもの、頭皮の乾燥を防ぐため保湿成分が入っているものなど、頭皮の状態に合わせて選ぶことができます。
育毛剤と一緒に使うことでより成分が浸透しやすい効果もあります。またシャンプーに入っている育毛成分を浸透させるために、あえて2度洗いしたりパックをしたりするものもあります。育毛シャンプーの効果を高めるためにも、洗い方の注意事項などあればよく読んでおきましょう。
薬用シャンプー
薬用シャンプーは医薬部外品のシャンプーです。フケ、かゆみを防ぐ有効成分が入っており、抗菌作用があります。乾燥肌や敏感肌、頭皮の湿疹に悩む人、脂漏性皮膚炎など改善方法として、薬用シャンプーを使うこともおすすめです。症状に合った薬用シャンプーを使いましょう。
シャンプー方法
一般的なシャンプーでの、洗髪方法の手順です。
- ブラッシングをして、髪を予洗いする。
- シャンプー剤を手のひらで泡立てる。
- シャンプー剤を頭皮・髪につけて洗う。
- シャンプーをしっかり洗い流す。
- 水分をとったら、コンディショナーかトリートメントをする。頭皮にはつけないようにする。
- コンディショナー、トリートメントを軽く洗い流す。
シャンプー方法のポイントは、シャンプー前にお湯で汚れを洗い落とした上で、シャンプーで頭皮をマッサージするようによく洗うこと、洗い流すときは頭皮にシャンプーが残らないようしっかり洗い流すことです。
シャンプーは1日に2回もしたり、洗い過ぎないようにしましょう。皮脂を取り過ぎるのもよくないと言われています。シャンプーマッサージも頭皮の血行をよくするのに効果的です。紅斑の予防対応策として、頭皮のマッサージは良いと言われています。
シャンプー後のケア
ドライヤーでしっかり髪を乾かしましょう。自然乾燥は髪に雑菌が繁殖する可能性があります。ドライヤーだけで乾かそうとすると髪の毛が傷んでしまうので、タオルドライをして水分をよくとってからドライヤーを使うと良いでしょう。
頭皮が乾燥しやすい人は、シャンプー後に頭皮用の保湿剤や美容液など、頭皮保湿ケア用品の使用がおすすめです。
紫外線・刺激による頭皮の赤み
紫外線やカラーリング剤など、頭皮への外部からの影響が頭皮の赤みなどトラブルを招くことがあります。どのように対策したら良いでしょうか。
紫外線・日焼けの対策方法
頭皮に浴びる紫外線の影響で、特に夏は日焼けして頭皮が赤くなったり、乾燥してしまうことがあります。紫外線を浴びないために帽子をかぶったり、日焼け止めスプレー、日傘などを利用しましょう。接触性皮膚炎を起こしやすい人は帽子の素材にも気をつけましょう。
パーマ・カラーリング剤
市販のパーマやカラーリング剤は、以前のものよりは肌に優しくなったとは言っても、頭皮に触れることでアレルギー反応を起こすことがあります。使用後はパーマ剤やカラー剤が頭皮に残らないよう、しっかりと洗い流しましょう。少しでも異変を感じたら使用を中止し、使用を控えるようにしましょう。整髪剤でも同様です。
特に体調が良くない時は肌が敏感になる時期です。普段は大丈夫でもヘアカラーやパーマが頭皮にしみるように感じることもあります。美容院にヘアカラーに行くときは体調の良い時に行くなどの対処法をとりましょう。
育毛剤
育毛剤や発毛剤の成分で頭皮の赤みが見られることがあります。使用後に頭皮の赤みや湿疹が出てきたのであれば、育毛剤が頭皮に合っていない可能性があります。
使用をやめて肌に優しいものに変えるなどの解決策をとりましょう。女性用育毛剤は肌に優しいものが多いです。
頭皮の赤みと抜け毛を予防
頭皮の赤み、湿疹・皮膚炎や、抜け毛を予防するために、日頃の生活習慣からできることにはどんなことがあるのでしょうか。いくつかまとめてみました。
食事
栄養バランスの良い食生活を心がけましょう。特にビタミンB群は皮膚に栄養を与えたり、皮膚や粘膜の炎症を防ぎ、血行を良くしたり免疫力を増進する働きがありますので、積極的に摂取しておきたいところです。
血行
育毛方法としても、頭皮の血行を良くすることは重要なことです。頭皮のマッサージ方法はたたくのではなく、5本の指を開いて頭皮をつかみ、もむようにすると良いです。百会、風池などのツボ押しも血行を良くします。
日頃の生活に軽い運動を取り入れるのも全身の血行を良くします。ブラッシングも頭皮の血行促進と、頭皮の汚れや皮脂を落とすことで紅斑を防止対策になると言われています。
ストレス
アトピー性皮膚炎の人は、日常生活でストレスを強く感じるとき症状が悪くなると感じることが多くあるようです。ストレスは体のあちこちに変調をきたします。
適度にリフレッシュしたり、ストレスになるものを遠ざけるようにしたり、対策を考えましょう。アルコールも適度な量なら良いですが、健康のことも考え、量はほどほどにしましょう。
まとめ
頭皮の赤みは肌に合わない、洗浄力の高いシャンプー、紫外線や日焼けによる炎症、乾燥、パーマやヘアカラー剤、整髪剤、その他アレルギーを引き起こすものが原因になっていたり、マラセチア真菌の繁殖により起こった脂漏性皮膚炎によるものなど、さまざまな原因や症状に関わっていることがわかりました。
接触性皮膚炎であれば、アレルギーを起こす原因となるものを取り除くこと、また皮膚炎・湿疹はステロイド剤やビタミン剤など、適切な治療と処方薬が必要となります。日頃の生活習慣からも食事でビタミンB群を積極的に摂り、血行をよくするためのマッサージや運動、ストレス解消などで対策をすると、頭皮の赤みやかゆみ、湿疹、それに伴う抜け毛などのトラブルの予防になります。
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