AGA治療・薄毛治療法の一つに植毛法があり、人工毛植毛と自分の髪を使う自毛植毛があります。
薄毛が気になる部分に髪を増やすことができる手術法ということで、薄毛を改善するのにかなり有効な手段とされていますが、デメリットもいくつかあるようです。
人工毛・自毛植毛のそれぞれのメリットやデメリット、植毛でのデメリットを解消できる方法、その他のAGA治療法のデメリットについても植毛法と比較しながら確認しましょう。
デメリットもある?植毛法での薄毛治療
薄毛対策(AGA治療、育毛方法)には治療薬、注入治療、植毛法、発毛剤、育毛剤などを利用した方法が考えられます。その中でも最近は植毛法に注目が集まっているようです。植毛法とはどのような治療なのでしょうか。
植毛法とは?
植毛法は人工毛、または自分の髪を薄毛が気になる部分に移植する外科手術の方法です。自分の髪を利用する方法は自毛植毛と呼ばれています。側頭部や後頭部は薄毛になりにくい部分ですが、後頭部から採取した毛包を利用して移植手術が行われることが多いようです。
薄毛治療・発毛治療を行っているクリニックは多数ありますが、必ずしもどこのクリニックでも植毛手術を受けられるわけではありません。植毛の手術法もクリニックによって異なるので、事前によく確認しておく必要があります。
植毛法にはデメリットもある?
植毛法に注目が集まっている理由は、やはりその発毛率の高さのようです。しかし植毛法にはさまざまなデメリットもあると言われています。植毛法での治療を希望する場合はそのデメリットもよく理解した上で、手術を受ける必要があるようです。
自毛植毛のメリット・デメリット
AGA治療にはさまざまな治療方法があるようですが、植毛は毛根がない状態でも発毛させられる点で画期的な治療法のようです。しかし植毛にはメリットとともにデメリットもあるようです。まずは自分自身の髪を移植する自毛植毛法のメリット・デメリットを確認してみましょう。
自毛植毛の仕組みと手術方法
自毛植毛は自分の毛髪を薄毛の気になる部分に移植する方法です。
AGAは主に頭頂部、生え際を中心に髪が薄くなりますが、後頭部、側頭部では進行があまり見られません。そのため後頭部(側頭部)から毛髪を採取して、薄毛の気になる部分に移植します。
手術方法(ドナー採取方法)は主に2種類あり、メスを使うFUT法(FUTストリップ法)とメスを使わないFUE法に分けられます。
FUT法はメスを使い頭皮の一部を切除してドナーを採取します。メスを使うことで麻酔をしても痛みを感じ、傷跡も残りやすいです。皮膚ごと切除するため、多くのドナーを採取することが可能です。
FUE法はメスを使わずパンチで毛包組織を1つずつ採取する方法です。FUE法では皮膚を切除しないので、FUT法に比べ痛みが少ないというメリットがあります。その一方で、一度に多くの毛包を採取するのが難しいというデメリットもあります。
その他にも植毛ロボットを使用したり、クリニック独自の技術・方法で施術が行われており、自毛植毛の技術も年々高まっています。
クリニックによって手術法や植毛する密度も異なっているそうです。植毛する密度によって仕上がりの毛量、イメージが異なってくるので、手術法とともに事前に確認しておく必要があるでしょう。
発毛率・定着率の高さが自毛植毛のメリット
男性型脱毛症(AGA)の初期症状のうちは治療薬のみで進行を抑えたり、発毛も可能ですが、進行が進んで毛根の細胞がなくなってしまうと、治療薬でも注入治療などの薄毛治療法をもってしても髪が生えてこなくなります。
自毛植毛なら髪の毛が生えてこなくなった場所でも発毛が可能です。毛包がなくても髪の量が増やせるという点で、画期的な発毛法と言えるでしょう。
さらに自分の毛髪を移植するので拒絶反応が起こりにくいというメリットもあります。増毛法でも人毛を使った増毛がありますが、自毛移植手術は自分自身の髪の毛を使った発毛方法なので、より自然な髪の仕上がりになります。
自然な発毛サイクルで髪が生えたり抜けてたりして、年齢を重ねれば植毛した髪の毛も周りの髪と合わせて白髪にもなります。
定着率も90%と高く、移植部分の髪はAGAの影響を受けにくい毛包なので、薄くなりにくいメリットもあります。定着すればメンテナンスの必要もありません。
移植手術による髪型制約のデメリット
自毛植毛手術ではドナー採取のため、後頭部(または側頭部)の髪の一部を刈り上げる必要があります。
髪が長い人は髪型を工夫することで自然に隠すこともできますが、人によってはウィッグを使うことが必要になるケースもあります。短髪だと手術の跡が目立ちやすいです。
自毛植毛の痛みのデメリット
治療薬やウィッグで痛い思いをすることはありませんが、自毛植毛手術は何時間もかかる外科手術ですので、痛みを感じるケースがあります。特にメスを使うFUTストリップ法は痛みを感じやすいようです。中にはほとんど痛みを感じなかったという人もいるそうです。
手術法によっては手術跡が残ることも
FUT法ではドナー採取のために、メスを使って後頭部の皮膚を帯状に切り取ります。そのため傷跡が残ってしまう可能性があります。傷跡が残ると髪型に制約ができ、坊主に近い短い髪型がしづらくなる可能性があります。
クリニックによっては傷跡を特殊な縫合法で目立たないようにする手術もしていますが、手術後の赤みや腫れがおさまるのには時間がかかります。
FUE法では移植手術の傷跡が残りにくいとされています。FUT法より傷の治りも早いとされています。
ショックロスのデメリット
ショックロスとは植毛手術後に一時的に抜け毛が増える現象です。移植した部分と麻酔注射を打った部分で、ショックロスが起きる可能性が高いと言われています。
誰にでも抜け毛が起きるわけではありませんが、移植部分が生えそろうまでに半年~1年かかります。特に移植部分が広い人にとっては、根気強く待つ必要があります。
治療費用が高いデメリット
AGA治療・薄毛治療は保険適用外ですので、費用がかかります。特に自毛植毛の手術の費用は、他のAGA治療・薄毛治療と比較して高額となります。
クリニックによって、移植する部分の面積、本数によっても費用が変わってきますが、おおよそ50万~150万円ぐらいはかかると考えて良いでしょう。
おでこの生え際の後退したわずかな部分、つむじ周りの狭い面積のみなら50万円程度、前頭部の薄毛全体や頭頂部が広く薄くなった場合などは100~200万円程度かかるようです。
自毛植毛で髪が定着すればメンテナンスの必要がないのでそれ以上自毛植毛で治療費がかかることはないと考えられます。
ただし進行性のAGAの場合自毛植毛した部分以外も薄くなってしまう可能性があります。薄毛の進行を抑えるために治療薬の服用を続ける必要があり、薬代が結局かかってしまいます。
自毛植毛の失敗例もある?
自毛植毛をしたものの不自然な仕上がりになるケースもあります。頭頂部付近の毛流れと合っていなかったり、生え際のラインが不自然になってしまったなどの失敗例もあるようです。
周囲の人はそれほど気にしていないかもしれませんが、気に入った仕上がりにならないと後悔する可能性があります。技術力やデザイン力の高い自毛植毛の手術経験が多いクリニック・医師のもとで、施術を受けることをおすすめされています。
人工毛植毛のメリット・デメリット
人工毛植毛は人毛の仕上がりに近い人工の髪の毛を、薄毛が気になる部分に移植する手術です。人工毛植毛のメリット・デメリットも自毛植毛と重なる部分が多いです。ここでは人工毛植毛ならではのメリット・デメリットを確認していきます。
人工毛植毛の手術法とメリット
人工毛植毛ではニードル法、FUT法、FUE法で手術が行われています。特にニードル法が用いられることが多く、手間はかかりますが自然な仕上がりになるそうです。
自毛植毛では後頭部、側頭部に髪が少ないとドナーを採取できませんが、人工毛植毛なら毛量が少ない人でも髪を増やしやすいメリットがあります。
AGAが進行していても髪の量を増やすことができ、半年や1年待たなくても手術した日に髪を増やすことができます。
人工毛植毛には拒絶反応のデメリットも
人工毛植毛は自分自身の髪の毛ではない人工毛を頭皮に植毛する手術法なので、体が拒絶反応を起こすリスクがあります。1年で半分は抜けてしまうそうです。自毛植毛のように抜けてもまた生えてくるような発毛サイクルはないので、植毛をし直す必要があります。
また人工毛に物理的な力がかかり根元で抜けると、頭皮の炎症を起こす可能性もあります。
日本皮膚科学会が発表しているAGA診療ガイドラインでは、AGA治療として最も良いとされるAランクの治療法として、治療薬(フィナステリド・ミノキシジル)が推奨されています。
自毛植毛はAランクのすぐ下のBランクの治療法(2番めに良い治療法)とされているのに対し、人工毛植毛は最も下のランクのDランクとされています。
人工毛植毛で失敗した場合、自毛植毛を受けることも可能ですが、人工毛植毛のために頭皮の皮膚の状態が悪くなっていると、定着率が低くなるリスクもあるそうです。安全面でおすすめできない植毛法と言えそうです。
人工毛植毛はメンテナンスの費用もかかる?
人工毛植毛の手術費用は20万~100万円程度となります。人工毛では自毛植毛のようにドナーの採取をするという手間がないので、料金体系が自毛植毛の場合とかなり異なってくるようです。本数がかなり多くても自毛植毛より費用が抑えられるようです。
しかし人工毛植毛は髪の状態を維持するためのメンテナンス費用が必要になり、長い目で見ると高額な治療費となるようです。
植毛のデメリットを解消するには?
薄毛治療法の中でも発毛率が非常に高い植毛法ですが、植毛にも安全面、費用面などさまざまなデメリットがあるようです。薄毛改善のために植毛したいという人にとって、植毛のデメリットを解消するにはどのような方法があるのでしょうか。
リスクを減らす方法
人工毛植毛は拒絶反応を起こすなど安全面での不安が残ります。また日本皮膚科学会が示しているAGA診療ガイドラインでもおすすめできない方法とされています。安全面からも植毛なら自毛植毛を利用するのがおすすめでしょう。
また植毛では痛みや手術跡などのデメリットもあります。痛みが少なく、手術跡が残りにくい自毛植毛を行っているクリニック選びをすることで回避できるでしょう。手術の跡を目立たなくする縫合を行っているクリニックもあります。
手術費用を抑える方法
自毛植毛手術は日本で受けると高額ですが、海外で受けることで少し費用を抑えることができます。医療ツーリズムを利用して、観光を兼ねて植毛手術を受けるというのも良いかもしれません。
自毛植毛は保険適用外ですが、医療費控除(上限200万円)が適用されます。(手術費-10万円)×10%が戻ってきます。
また各クリニックで行っているモニターやキャンペーン割引を利用することでも費用が抑えられます。
その他の治療法のデメリット
発毛効果が高いとされる自毛植毛法、人工植毛法でも、安全面や費用などのデメリットがいくつかあるようです。最後に植毛法以外のAGA治療・薄毛治療の各治療法のデメリットも、植毛と比較しつつ確認していみましょう。
AGA治療薬のデメリット
AGA治療では治療薬での治療方法が主流となっています。AGA専門・発毛専門クリニックではプロペシアなどのフィナステリド、ミノキシジルなどの治療薬が処方されます。
プロペシアのみなら一般の皮膚科でも処方されるそうです。発毛クリニックだと薄毛治療の専門の医師にいろいろ相談ができるので、専門のクリニックでの処方がおすすめされています。
男性型脱毛症(AGA)は男性ホルモンDHTが原因で起きる脱毛症ですが、プロペシアを服用することでDHTの生成を抑え、AGAの進行を止める効果が期待できます。
症状に合わせてミノキシジルの外用薬、内服薬が処方されることがあります。ミノキシジルは血流が促進され毛根の毛乳頭、毛母細胞の働きが活発になり、正常な毛周期に戻すことで発毛、薄毛の改善が期待できる薬です。
治療薬でのデメリットは薬の副作用があることです。治療薬での発毛効果には個人差もあるようです。また頭頂部は治療薬のみでも発毛しやすいですが、生え際部分の薄毛には効果が薄いとされています。毛包が生きていないと発毛は不可能です。
植毛では頭頂部でも生え際でも、高い確率で髪を生やすことができるのがメリットでしょう。
育毛メソセラピーのデメリット
治療薬のみでは薄毛の改善効果が薄い時は、治療薬と並行して薬剤や成長因子を直接頭皮に注入する、育毛メソセラピーなどの注入治療が行われることがあります。
治療薬ではなかなか髪が生えなかった人も発毛効果が現れたり、治療薬のみの治療よりも改善が見られる時期が早まるとされています。
育毛メソセラピーのデメリットは半年から1年間毎月施術を受けるためにクリニックに通う必要があることです。またメソセラピーも(個人差はありますが)頭頂部より生え際が難しいようです。さらに注入治療でも毛包が生きていないと発毛は不可能です。
自毛植毛だと一度手術が成功すればメンテナンスの必要もないそうです。また毛包が死んでいたとしても移植手術なので、発毛させることが可能と言われています。
育毛剤のデメリット
育毛剤は薬局でもインターネット広告でも目にする機会が多いです。入手しやすく、副作用の心配も少なく利用できるのは魅力的ですが、育毛剤では残念ながら発毛の効果はあまり期待できません。植毛なら高い確率で発毛が可能です。
育毛剤は髪のボリュームが少なくなってきた人が薄毛になる前に使用することで、抜け毛予防や育毛・発毛促進に効果が期待できるとされています。
発毛剤のデメリット
ミノキジル外用薬の発毛剤は薬局でも入手が可能です。育毛剤と異なり発毛効果があるので、発毛を期待するなら育毛剤より発毛剤の使用が有効でしょう。
薬局でも購入できるところはメリットですが、国内で販売されている発毛剤は頭頂部の薄毛には効果がありますが、生え際には発毛効果が低いというデメリットもあります。植毛なら場所に関係なく発毛させることがほぼ可能とされています。
まとめ
AGA治療は治療薬の投薬、育毛メソセラピーなどの注入治療、植毛法などの方法が挙げられます。植毛法のメリットは、他の治療法と比較すると高い確率で発毛が可能であることでしょう。
ただし植毛にもデメリットがあり、人工毛植毛では拒絶反応を起こす危険性があること、手術費用・メンテナンス費用が他の治療法と比較すると高額となることが挙げられます。
自分自身の毛髪を移植する自毛植毛法であれば上記のようなデメリットは防げますが、痛みや傷跡が残ること、ショックロス、髪が生えそろうまで時間がかかるなどのデメリットもあります。
また髪の毛流れと合っていない植毛手術で、せっかく髪が増えても不自然な髪型になる恐れがあります。
安全面からも人工毛植毛より自毛植毛法がおすすめされています。デメリットを防ぐには技術力が高いクリニック選び、医療ツーリズム、医療費控除、キャンペーンなどで手術費用を抑えることが考えられます。
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