全身の毛が抜け落ちる汎発性脱毛症は治るの?原因や治療法について紹介!

汎発性脱毛症は円形脱毛症の中で最も重いケースの症状であり、頭部の脱毛だけでなく全身の脱毛が見られる症状です。汎発性脱毛症は他の円形脱毛症と同様自己免疫疾患の一種と考えられていますが、明確な治療法が確立されているわけではなく、治療が長期化するケースが多いです。

汎発性脱毛症の原因と発症のメカニズム、汎発性脱毛症を発症した場合の対策方法や治療方法、汎発性脱毛症が完治したケースの治療対策法について紹介します。

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汎発性脱毛症とは

男性と犬

汎発性脱毛症は円形脱毛症の一種です。円形脱毛症といえばストレスが原因で円形状の脱毛ができ、すぐに治るイメージがありますが、汎発性脱毛症は円形脱毛症の中でも最も重いケースであり、治療も長期化する恐れがあると言われています。汎発性脱毛症とはどのようなな症状なのでしょうか。

汎発性脱毛症は円形脱毛症の一種

円形脱毛症には円形状の脱毛部分が1、2個できる単発性の円形脱毛症、3か所以上で脱毛部分ができる多発性円形脱毛症、頭部の髪全体が抜ける全頭型脱毛症、さらに髪の毛だけでなく他の体の毛、眉毛やまつ毛を含めた全身の毛も抜け落ちる汎発性脱毛症があります。

単発型の円形脱毛症はほとんどが1年以内に完治すると言われていますが、汎発性脱毛症は自然治癒は難しいとされています。円形脱毛症は再発することもあり、単発型から多発型、多発型から全頭型、さらに汎発性へと症状の程度が重くなるケースもあります。

汎発性脱毛症を含む円形脱毛症は時間をかけて少しずつ抜け毛が増えるのではなく、抜け毛が急激に増えて突然発症する急性の脱毛症です。脱毛以外にも爪に小さな凸凹が現れる異常が現れたり、頭皮にかゆみを感じることもあるそうです。

突然発症する汎発性脱毛症の症状に、どのように対処したらいいか悩む人も多いようです。汎発性脱毛症の情報はSNSのコミュニティや、発症した体験者の方のブログ(かーてんさんのブログなど)でも得られます。

周囲の人には相談しづらいですが顔の見えないQ&Aサイトなら、回答を得るために気軽に相談しやすいかもしれません。

汎発性脱毛症になりやすい人

髪の毛だけでなく、全身の毛で抜け毛の症状が起きる汎発性脱毛症は、子供でも大人でも起こる可能性があり、年齢や性別も関係がないようです。

自己免疫機能疾患が汎発性脱毛症を含む円形脱毛症の原因とされ、アトピー性皮膚炎の人に円形脱毛症が多いとされています。ストレスや病気(インフルエンザによる高熱など)もきっかけになると言われていますが、なぜ発症するのか不明点もあるようです。

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汎発性脱毛症の原因

メガネ男性

汎発性脱毛症が発症するのは自己免疫疾患との深い関連があるとされていますが、さまざまな病気との関連性も指摘されて、明確な原因が特定されているわけではないようです。汎発性脱毛症の原因とメカニズムについて説明していきます。

自己免疫疾患(自己免疫応答)

免疫機能はウイルスなど体に害を及ぼす侵入物を攻撃する作用がありますが、自己免疫疾患では体の免疫機能に何らかの原因で異常が起き、自分を攻撃してしまいます。

汎発性脱毛症ではリンパ球の一種であるTリンパ球が関わっており、免疫細胞であるTリンパ球が毛根組織を体に害の及ぼすものと判断し、毛根組織を攻撃して脱毛を起こすとされています。このような反応のことを自己免疫応答といいます。

脱毛以外でも自己免疫異常疾患の症状が家族にあると、円形脱毛症を発症しやすいと言われています。甲状腺疾患や鼻アレルギーとも関係があるとも言われています。

円形脱毛症と併発することが多いとされる自己免疫疾患には橋本病、尋常性白斑、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、重症筋無力症が挙げられます。

特に慢性的な甲状腺の炎症で起きる橋本病は円形脱毛症の人の8%で、尋常性白斑は円形脱毛症の人の4%で見られると言われています。

ストレスとの関係

ストレスには精神的ストレスと身体的ストレスがありますが、いずれも自己免疫応答を誘発するものであり、汎発性脱毛症(円形脱毛症)とも関係しているのではないかと言われています。

自律神経には交感神経と副交感神経があり、筋肉や血管を収縮して活発に活動する作用のある交感神経と、リラックスする作用のある副交感神経がバランス良く働くことで、身体機能が正常に働きます。

ところがストレスがかかると自律神経の乱れが生じ、交感神経が優位となって免疫機能のバランスに異常が起き、誤った自己免疫作用が起こることで円形脱毛症が起きると言われています。

私たちの体はストレスを感じるとストレスに対処するためのホルモンであるコルチゾールの分泌量を増加させます。コルチゾールのおかげで体の不調を回避できるのですが、ストレス状態が長く続くとコルチゾールの分泌過剰を招き、免疫作用の異常を招くとされています。

ストレスは自律神経と内分泌に影響を与えること、さらに免疫機能の異常も招くということで、円形脱毛症とも深い関係性があるとされています。

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汎発性脱毛症の対策方法

スカーフを巻いた女性

髪の毛だけでなく全身の毛が抜けてしまう汎発性脱毛症を発症したら、どのような対策や対処法を行うべきなのでしょうか。

髪の毛をかつらや美容室でカバーする方法、日頃の生活習慣についても確認してみましょう。

かつらの利用

汎発性脱毛症や全頭型脱毛症の人は、治療が長期化する可能性があります。つけ心地の良い医療用ウィッグを利用することで、外見面での悩み・ストレスから解放され、紫外線など頭皮のダメージを防ぐこともできます。バンダナやスカーフを巻く人もいます。

汎発性脱毛症で使用するかつらはファッションウィッグではなく、医療用ウィッグがおすすめされます。医療用ウィッグは抗がん剤や放射線治療など、治療で脱毛症が起きた人にも安心して使えるウィッグです。

医療用ウィッグにはいろいろなタイプがありますが、特にオーダーメイドのものはかなり高額となります。オーダーメイドにこだわらなければ、通販などで人毛タイプのものも比較的手頃な価格で入手できます。

ファッション性の高い医療用ウィッグも多くあり、ニュアンスショート人毛、明るいカラーのロングヘア人毛のウィッグなど、自分好みのタイプのウィッグを選ぶこともできます。

かつらの下に頭皮を守るための医療用インナーキャップをかぶりますが、中には髪の毛が付いたインナーキャップもあり、帽子をかぶって頭部をカバーするという方法もあります。

美容室の利用

治療により脱毛症の症状が改善され、伸びかけてきた髪を整えたいけれど美容室に行くのがためらわれる人もいるかもしれません。個室・半個室が準備されている、脱毛症で悩む人にも通いやすい美容室もあります。薄毛専門の美容室なら、一般的な美容室より美容師さんに相談もしやすいです。

眉毛・まつ毛の対策

汎発性脱毛症では眉毛やまつ毛でも脱毛が起きてしまいます。眉毛はアイブロウで描けばカバーできます。女性の場合はまつ毛も気になると思われるので、つけまつ毛を使用するのがおすすめです。

生活習慣での対策

治療効果を高めるために、また再発防止のためにもより良い生活習慣を心がけることがおすすめされています。栄養バランスの良い食事、十分な睡眠で不摂生を避ける、適度な運動を取り入れるなどの対策をしましょう。

またストレスは円形脱毛症と関係があるとも言われ、治療効果を損ねる可能性もあります。ストレス解消法も生活に取り入れ、心身ともに健康的な生活を送ることも重要です。

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汎発性脱毛症の治療方法

水と薬

汎発性脱毛症(円形脱毛症)の明確な治療法はまだ確立されていませんが、改善に向かった治療法は多数あります。汎発性脱毛症を含めた円形脱毛症で推奨されている治療法と、各治療法の具体的な治療内容について紹介します。

日本皮膚科学会の円形脱毛診療ガイドライン

単発型など軽い症状の円形脱毛症では自然に治癒することも多いですが、症状の重い汎発性脱毛症や全頭型脱毛症では早期発見と早い段階での治療がポイントだとされています。

日本皮膚科学会では円形脱毛症の治療法を評価した診療ガイドラインを作成し、行うよう勧められる(B)・行っても良いが十分な根拠はない(C1)・行わないほうが良い(C2)・行うべきではない(D)という4段階の推奨度を設定しています。

最も推奨度の高いBランクの治療法にはステロイド局注、局所免疫療法の2種類の治療法が挙げられています。

C1ランクの内服・外用薬を用いた治療法では、ステロイド、第2世代抗ヒスタミン内服、セファランチン、ステロイドグリチロン配合錠の内服、ステロイド、塩化カルプロニウム、ミノキシジルの外用などが挙げられています。

その他のC1ランクの治療法には点滴静注ステロイドパルス療法、冷却療法、スーパーライザー療法、PUVA療法が挙げられ、かつらの使用も有効とされています。

漢方薬などを用いた治療は現時点では推奨できないとされ、鍼灸治療は行うべきではないとされています。

投薬療法

日本皮膚科学会のガイドラインでも推奨されている円形脱毛症の治療薬は複数ありますが、すべての治療薬が汎発性脱毛症に対応しているわけではありません。

ステロイド、第2世代抗ヒスタミン、セファランチンの内服、塩化カルプロニウムやグリチロン配合剤、ミノキシジルの外用薬は、円形脱毛症の脱毛部分が狭い、単発型・多発型の人の併用療法に良いとされています。

ミノキシジル配合の外用薬(発毛剤)や一般の育毛剤は汎発性脱毛症に対しては効果が期待できないそうです。

ステロイド外用薬は範囲の広い汎発性脱毛症や全頭型脱毛症にも対応しています。治療の第一選択肢として使用されて良いとガイドラインでも述べられています。

局所免疫療法

診療ガイドラインでも推奨されている円形脱毛症の治療薬は複数ありますが、すべての治療薬が汎発性脱毛症に対応しているわけではありません。

ステロイド剤、第2世代抗ヒスタミン、セファランチンの内服、塩化カルプロニウムやグリチロン配合剤、ミノキシジルの外用薬は、円形脱毛症の脱毛部分が狭い、単発型・多発型の人の併用療法に良いとされています。

ステロイド外用薬は範囲の広い汎発性脱毛症や全頭型脱毛症にも対応しているそうです。治療の第一選択肢として使用されて良いとガイドラインでも述べられています。

ステロイド局注

ステロイド剤を患部に直接注射する治療法で改善率も高いとされていますが、脱毛面積が狭い範囲の単発型・多発型の成人に向いている治療法です。

汎発性脱毛症のように脱毛部分が広範囲に及んでいる場合は他の治療法がおすすめされていますが、実際には汎発性脱毛症の治療でも効果が得られたケースもあるようです。

ステロイドパルス療法

ステロイド療法の一つであり、高濃度のステロイドを点滴することで脱毛症の症状が改善されるとされています。

ガイドラインでは脱毛が急速に進行している場合、発症して6ヶ月以内の成人が良いとされています。動悸、頭痛、微熱などの副作用が報告されています。

PUVA療法

PUVA療法は脱毛部に長波長紫外線を照射し、免疫機能の異常を抑えて脱毛症の改善を図る治療方法です。PUVA療法は汎発性脱毛症にも有効と言われていますが、十分な根拠がないとガイドラインで評されています。

最も推奨度の高い治療法である局所免疫療法でも改善が見られない場合は、次の選択肢として成人に限りPUVA療法を用いても良いとされています。ただし再発するケースも多いそうです。

ドライアイス療法

冷却療法の一種であり、ドライアイスではなく液体窒素が使われることもあります。脱毛部分にドライアイスを強く押し当てることで、脱毛の症状が改善されることもあります。

ただし単発型・多発型の併用療法として推奨できる方法で、汎発性脱毛症には有効な方法ではないそうです。

汎発性脱毛症の治療を受けられる病院

一般的な皮膚科でもステロイドやセファランチンでの円形脱毛症の治療が行われますが、汎発性脱毛症では汎発性脱毛症の治療にも対応している薄毛治療、頭髪治療を行っているクリニック、専門病院、大学病院の専門外来で治療を受けることで、治療の選択肢が広がります。

汎発性脱毛症は完治するのが難しいとも言われていますが、なるべく症状に詳しい専門家、皮膚科専門医のもとで治療を受けると良いとされています。

都内では順天堂大学付属順天堂医院の皮膚科が円形脱毛症の治療実績が高いと知られており、円形脱毛症専門の医師もいます。汎発性脱毛症にはステロイドとPUVA療法の併用治療等を行っているそうです。

長期に渡って治療して改善が見られなかった人でも、順天堂大の入院治療で1ヶ月で改善に向かったというケースも多いそうです。

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汎発性脱毛症の完治例

女性医師

難治性の汎発性脱毛症は治療を長く受けていても完治しにくいとされています。

しかし病院治療効果により改善に向かったという人もいるそうです。汎発性脱毛症がどのような治療法で完治したのでしょうか。一部完治例を紹介します。

局所免疫療法による完治例

日本皮膚科学会でも推奨度の高い局所免疫療法の有効率は60~90%と言われています。かぶれを起こす薬であるSADBEと脱毛部分に塗布して症状を改善させる治療法で、大人でも子供でも有効とされています。

ある汎発性脱毛症患者の人に局所免疫療法を行ったところ、4ヶ月で脱毛部分を少し残しつつも髪がだいぶ生えてきて、7ヶ月もするとほぼ髪が生えそろい完治したそうです。

ステロイド療法による完治例

ステロイド療法にはステロイド剤の外用薬、内服、さらに内服薬より大量のステロイドを点滴にて注入するステロイドパルス療法があります。

汎発性脱毛症を発症したある患者の方は、ステロイドパルス療法によって5ヶ月で改善したということです。

当初はびまん性に髪が抜けて薄毛になっていましたが、1ヶ月半ステロイド外用で治療を続けたところさらに脱毛が進行し、髪が抜け落ちたような状態になりました。

入院治療によりステロイドパルス療法を始めたところ、2ヶ月後には発毛効果が見られ、髪の量が増えてきました。そして5ヶ月後には髪が生えそろい完治したそうです。

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まとめ

帽子笑顔男性

汎発性脱毛症は円形脱毛症の中でも最も重い症状とされ、頭部の髪の毛だけでなく眉毛や体毛など全身の毛が抜け落ちてしまい、完治するのが難しいと言われています。

自己免疫機能疾患の一種とされ、ストレスや病気でも誘発されるそうです。治療により完治も可能ですが、自分に合った医療用かつらを使用するなど、外見面での対策も治療と並行して必要になるでしょう。

円形脱毛症の治療法は多くありますが、汎発性脱毛症の治療は投薬のみでの完治が難しいそうです。自己免疫療法、ステロイドパルス療法、PUVA療法と内服・外用薬との併用治療などで、汎発性脱毛症の改善に効果があると言われています。ただし副作用・再発の恐れもあるようです。

一般的な皮膚科や薄毛治療クリニックでは汎発性脱毛症も含め、円形脱毛症の治療内容が豊富にあるとは限りません。円形脱毛症の治療実績の高い専門クリニック・病院での治療だと治療の選択肢も多く、より高い改善効果に期待できるでしょう。

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