頭皮にかゆみを感じることは、誰でも経験したことはあるでしょう。しかし頭皮のかゆみがいつまでも収まらないと、抜け毛になるかもしれません。
かゆみが起きるのが頭皮の炎症であることもあれば、脱毛症によって引き起こされていることも考えられます。ヘアケアや生活習慣での対策や、症状に応じた治療が必要なケースもあります。
抜け毛を伴うかゆみの原因・対策法について紹介しますので、かゆみが気になる人は参考にしてみてください。
目次
抜け毛を招く頭皮のかゆみの原因は?
頭皮のかゆみにはいくつか原因が考えられます。抜け毛を招くこともある頭皮のかゆみの原因にはどのようなことが考えられるのでしょうか。日頃のヘアケアや生活面での原因、また脱毛症の兆候ということも考えられるかもしれません。詳しい原因を見ていきましょう。
頭皮の乾燥
紫外線、乾燥した外気、エアコンの風、シャンプーでの洗い過ぎなどによる頭皮の乾燥がかゆみを起こすことがあります。
ドライスキンになって皮脂が足りないと肌のバリア機能が弱くなり、外からの刺激に弱くなります。皮脂が足りなくて発症する皮膚炎を皮脂欠乏性皮膚炎といいます。
頭皮の皮膚の炎症を悪化させることで抜け毛や薄毛につながることがあります。
頭皮の汚れ
頭皮の汚れや皮脂を洗わないままにしておいたり、シャンプーする時すすぎが足りなくて頭皮に残ったシャンプー剤などの汚れが原因で、頭皮で細菌が繁殖してかゆみを引き起こす可能性があります。
皮脂汚れが皮脂をエサとするマラセチア菌の異常繁殖につながり、脂漏性湿疹を起こすことがあります。脂漏性湿疹を悪化させることで脂漏性脱毛症になることもあります。
シャンプー成分などの刺激
市販シャンプーには刺激の強い成分が入っていることがあります。シャンプーの成分、パーマ液、カラー剤などが頭皮の肌への刺激になり、接触性皮膚炎になることがあります。
最近はあまり使われなくなったようですが、ラウリル硫酸ナトリウムという洗浄成分が以前市販シャンプーによく使われていました。泡立ちが良く洗浄力の高い高級アルコール系の洗浄成分ですが、肌の奥まで浸透する危険性もあります。
肌のためにはシャンプーの洗浄成分にも気をつけた方が良いでしょう。
皮膚ダニ
皮膚ダニは顔や頭皮に主に生息し、毛根の脂肪分をエサにしています。皮膚ダニが皮脂やシャンプー剤の洗い残しなども原因で異常繁殖し、かゆみにつながることがあります。
睡眠中に皮膚ダニは活動するので、汚れた頭皮のまま寝るとその分皮膚ダニの繁殖が引き起こされる可能性があります。
ストレス
ストレスによってストレス性皮膚炎を発症することもあります。現代社会の様々な社会病理の原因ともなるストレスですが、身体の自律神経、ホルモンにも影響を与え、耳鳴りや頭痛、不眠、かゆみなどのさまざまな症状を引き起こすことがあります。
病気
甲状腺ホルモンの異常でかゆみが現われることがあります。甲状腺ホルモンの分泌量が減って橋本病にかかると体の発達障害が起こり抜け毛が起きることもあります。治療に使っている薬剤が原因で皮膚障害(乾燥性皮膚炎)が原因でかゆみを引き起こすことがあります。
アトピー性皮膚炎によって抜け毛が起きることもあります。アトピーの症状でつい掻いてしまい、毛根にダメージが与えられると考えられます。
脂漏性湿疹
すでに述べたように、脂漏性湿疹は皮脂をエサにするマラセチア菌が異常繁殖することによって起きる症状です。ニキビのような赤み、フケのような皮膚の剥離、そしてひどいかゆみを伴うことがあります。脂漏性湿疹が原因で脱毛が起きる脂漏性脱毛症もあります。
かゆみの対策方法
かゆみの原因にはさまざま考えられ、複数の要因が重なることも考えられます。Q&Aサイトでかゆみと抜け毛に関する悩みが多数投稿され、回答も多数寄せられています。
必ずしもかゆみは一つのことが原因ではありませんので、生活全般からかゆみの予防対策を行う必要性があるでしょう。
抜け毛を伴うかゆみ、また抜け毛の原因となるかゆみの対策として、毎日にのヘアケアの改善、生活習慣の改善、そして必要に応じて治療が必要でしょう。
頭皮のかゆみによる抜け毛を防ぐヘアケア
頭皮のかゆみの原因について見てきましたが、私たちが毎日行うシャンプーにもかゆみの原因が潜んでいるようです。抜け毛や薄毛にならないよう適切なシャンプー選びとシャンプー方法、また抜け毛を防ぐヘアケア方法で、かゆみによる抜け毛を予防するようにしましょう。
シャンプーの選び方
シャンプー剤の成分が刺激になってかゆみが起きることがあります。肌が弱い人は市販シャンプーに入っている防腐剤、酸化防止剤、合成香料なども刺激になることがあります。特に乾燥肌や敏感肌の人には、無添加で肌を優しく洗う低刺激シャンプーがおすすめです。
脂性肌の人にはさっぱりと洗い上げるタイプのシャンプーが良いでしょう。クレンジングシャンプーやスカルプシャンプーは肌をすっきりと洗い上げるシャンプーです。
脂漏性皮膚炎の人には症状を和らげる効果の高い、抗真菌成分配合のシャンプーがおすすめされています。
自分の頭皮の状態に合ったシャンプー選びで、頭皮を良いコンディションを保つようにしましょう。
石鹸シャンプー
石鹸シャンプーは天然由来で余計なものが入っていないということ、環境にも優しいということでブームになりました。しかし石鹸は洗浄力が高く、洗うと髪がギシギシ軋みを感じたり、肌がカサつくという人もいます。万人向けではないようです。
アミノ酸シャンプー
アミノ酸系洗浄成分中心の、アミノ酸シャンプーは美容師さんにもおすすめされています。アミノ酸系洗浄成分は頭皮にも髪の毛にも優しいです。かゆみの予防と美髪効果も考えるのなら、品質の良いアミノ酸シャンプーがおすすめでしょう。
育毛シャンプー
すでに抜け毛が気になってきた、髪の量が気になってきたという人には育毛シャンプーがおすすめです。
脂性肌の男性には育毛成分の入った男性用スカルプシャンプーがおすすめでしょう。女性は脂性肌より乾燥肌の人が多いので、男性用のさっぱりとした洗い心地の育毛シャンプーはおすすめされていません。
女性用の育毛シャンプーもありますが、髪の専門家である美容師さんおすすめの、守り髪シャンプーなども女性の育毛対策に良いでしょう。口コミでも話題のエイジングケアシャンプーで、センブリエキスなどの育毛成分が配合されています。
シャンプー方法
シャンプーは1日1回、できれば夜が望ましいです。かゆみの原因である皮膚ダニ、細菌などは夜寝ている間に活動し、皮膚の皮脂が多ければ繁殖します。夜清潔な髪の状態で寝ることで、頭皮のトラブルを避ける対策になります。
以下がシャンプーの手順です。
- シャンプー前にブラッシングして髪の毛の絡まりをとります。
- シャンプーをつける前にお湯で洗います。熱すぎるお湯は頭皮の乾燥になるので注意しましょう。
- シャンプー剤を手で泡立ててから、頭を洗います。頭皮に傷をつけないよう、爪を立てないようにしましょう。
- シャンプーが頭皮に残らないようしっかりすすぎます。
正しいシャンプー方法で洗ったら、髪を乾かしてから寝ることも忘れないようにしてください。頭皮や髪が生乾きのままだと頭皮環境を悪くする可能性があります。
ドライヤーの長時間使用も頭皮の乾燥の原因に、タオルドライをしてからドライヤーをかけ、ドライヤーを髪に近づけ過ぎないようにしましょう。
頭皮の肌のケア方法
頭皮の乾燥によるかゆみが気になる人は、頭皮用の化粧水や保湿液もおすすめです。脂性肌の人は皮脂をコントロールする化粧水を使用するのも良いでしょう。さらに育毛ケアもしたいという人は育毛剤の使用もおすすめです。
育毛剤での育毛ケア方法
育毛方法の代表的な方法として育毛剤の使用が挙げられます。育毛剤は育毛や発毛を促進する育毛効果だけでなく、頭皮の乾燥を防ぎ、かゆみやフケを予防する効果もあります。
頭皮のかゆみが気になる人は育毛剤を使うことでかゆみを予防し、抜け毛予防、薄毛対策にもなるのでおすすめです。
男女兼用の育毛剤もかゆみの予防効果はありますが、デリケートな肌の女性には返金保証もあるベルタ育毛剤のような女性用育毛剤の方が肌に合うでしょう。
育毛剤は基本的にシャンプー後の清潔な頭皮に使います。適量を頭皮に塗布し、マッサージを行って血行促進、育毛を促進し頭皮の保湿やかゆみ・フケの予防にもなります。
頭皮のかゆみによる抜け毛を防ぐ生活習慣
日頃の生活習慣でもかゆみによる抜け毛の予防対策が必要です。食事から髪や肌の健康を保つ栄養素を摂取し、質の良い睡眠をとることで肌や髪を健やかに育てることができます。かゆみや抜け毛を防ぐ食事面や睡眠での改善方法について紹介します。
食生活の改善方法
私たちの体は食べた物、特にタンパク質からできています。髪の毛も当然食べた物からできており、ケラチンというタンパク質が主成分となっています。
ケラチンは9種の必須アミノ酸を含む18種類のアミノ酸から構成されています。必須アミノ酸は体内で合成されないアミノ酸ですので、食品から摂る必要があります。なるべく多くのタンパク質を含む食品を摂ることが必要です。
またビタミンやミネラルといった栄養素も、タンパク質から髪の毛が生成されるのをサポートします。ビタミンB群は代謝を促進し、頭皮の皮脂分泌をコントロールする作用もあります。栄養バランスの良い食事を摂ることは、頭皮の肌を健やかに保ち、髪の健康な成長と深い関係があります。
かゆみを伴う抜け毛の原因に脂漏性脱毛症も挙げられますが、頭皮の皮脂が過剰になるのは脂質や糖分の摂り過ぎも関わることがあります。動物性脂肪や糖分の摂り過ぎには注意しましょう。
睡眠の改善方法
睡眠中には肌や髪を育てる成長ホルモンの分泌量が増加します。成長ホルモンの分泌は、入眠から1~3時間後がピークとされています。その後も数回成長ホルモンの分泌量が増えるサイクルがあり、起床時間が近づくにつれその分泌量は減っていきます。
成長ホルモンは10代をピークに分泌量が減るので、睡眠不足は避けるようにする必要があります。また浅い眠りは睡眠中の成長ホルモンの分泌を少なくしてしまうので、安眠できるようにしないといけません。
寝つきが良くなるように寝る1時間前は明るい光を見ないようにすると良いとされています。テレビやスマホの画面を夜寝る前に見るのは避けることがおすすめされています。
深酒も眠りを浅くすると言われているので避けましょう。日中に適度な運動をすることで体が疲労し、寝つきが良くなる効果があります。
頭皮トラブルによるかゆみと抜け毛の治療法
皮膚の湿疹・炎症が見られる場合、市販薬でも改善することもありますが、治りが悪い場合は早めに皮膚科で診てもらうことがおすすめです。ここでは脂漏性湿疹が原因で起きる脂漏性脱毛症と、症状がよく似た粃糠(ひこう)性脱毛症の治療法について簡単に説明します。
脂漏性脱毛症の治療法
脂漏性湿疹は頭皮など皮脂分泌の多いところでマラセチア菌が異常繁殖して起きる皮膚炎です。脂漏性湿疹が悪化することで脂漏性脱毛症を発症することがあります。
皮膚科では抗ヒスタミン薬、ステロイド剤、抗真菌剤が治療に使われます。また皮膚の状態を正常化させるようビタミン剤も処方されることがあります。
治療薬以外にも生活面では抗真菌作用のあるシャンプーの使用、食事面では食物繊維やビタミンB群を含む食べ物を食べるようにし、脂質の高い食品を避けることで、症状の改善を図る必要があります。
粃糠性脱毛症の治療法
脂漏性脱毛症が皮脂の過剰分泌によって起きるのに対し、粃糠性脱毛症は角質の異常により起こり、脂漏性湿疹のフケより大きく量も多いです。多量のフケとかゆみを生じ、炎症が悪化することで抜け毛につながります。
粃糠性脱毛症の原因は明らかになっていませんが、ストレスやアレルギー、ヘアケアやホルモンバランスの乱れも関係しているのではないかとされています。
治療には脂漏性脱毛症と同様、抗ヒスタミン薬、ステロイド剤、抗真菌剤、ビタミン剤が使われ、抗真菌作用のあるシャンプーの使用がおすすめされています。
栄養バランスの良い食事や規則正しい生活でも肌の調子が良くするのに効果的です。ストレスも関係性があるとされているので、ストレス解消も症状の改善に有効と考えられています。
脱毛症による頭皮のかゆみと抜け毛の治療法
頭皮のかゆみが脱毛症の前兆になったり、また脱毛症になってからかゆみが気になることもあります。頭皮のかゆみを伴う脱毛症に円形脱毛症、牽引性脱毛症があります。それぞれの脱毛症の特徴と治療法について簡単にまとめました。
円形脱毛症によるかゆみと治療法
円形脱毛症には単発型、多発型、全頭型、汎発型などの種類があります。1箇所にできる円形状の脱毛部分ができる円形脱毛症が単発型で、脱毛が起こる前にかゆみやフケが出ることがあります。また治りかけのとき、局所免疫治療法によってかゆみを伴うこともあるようです。
単発型の円形脱毛症は自己免疫機能の疾患、およびストレスをきっかけに起きることが多いです。1か月で自然治癒しますが強いストレスが原因で治りにくいことがあります。治療にはフロジン液、ステロイド剤などが使われます。
牽引性脱毛症によるかゆみと治療法
牽引性脱毛症は特に女性に多い脱毛症で、ポニーテールやエクステンションなどで頭皮に負担がかかり、抜け毛や薄毛が起きる脱毛症です。おでこや耳の周りなどの生え際から薄くなり、頭皮にかゆみを伴うことがあります。
原因となる髪型やエクステをやめることで症状が改善されることがありますが、薄毛の症状がひどく出ている場合は医療機関で治療薬を処方してもらうなど、適切な治療を受けましょう。
まとめ
頭皮のかゆみは炎症が起きている可能性があり、悪化させると抜け毛になる恐れがあります。かゆみの原因は頭皮の乾燥や汚れ、シャンプー剤などの刺激、またストレスや甲状腺の病気、皮膚ダニ、炎症によりさらにかゆみがひどくなることもあります。
頭皮のかゆみと抜け毛を予防するには、ヘアケア面、生活面での予防対策、必要に応じて皮膚科での治療が必要でしょう。
ヘアケア面では肌に合う質の良いシャンプーを使い、毎日シャンプーすること、シャンプー後保湿液や育毛剤の使用による頭皮ケアがおすすめです。
食生活では髪の成長に必須の蛋白質、肌を健康に保つビタミンB群など、栄養バランスの良い食事を摂ること、脂質・糖分の高い物を控えることも有効とされています。髪と肌の健康には質の良い睡眠も重視されています。
頭皮のかゆみや抜け毛が収まらない場合や、明らかに頭皮の異常を感じる時は早めに医療機関に相談し、治療を開始することが望ましいです。
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