日本人における薄毛で悩む人の割合は、男性が5人に1人、女性は10人に1人、と言われています。本格的にハゲてしまうと、元に戻るのはとても難しく、男性のハゲあがった頭皮には毛穴のあった痕跡さえ無い状態になっていることも多くみられます。
加齢による薄毛は、ストレス性の脱毛症とは違って、ある日突然、ごっそりと抜け落ちるということはなく、まずは毛髪が徐々に細く弱々しくなる、という傾向にあります。
髪のボリュームが減ってきていることを実感している男性、女性が、少しでも髪の毛を増やすことができる手段はあるのでしょうか。
目次
男女別に考える、脱毛の原因と対策
年齢とともに毛髪のボリュームがなくなり、男性ほど完全にハゲてしまうことは少ないとしても、女性の薄毛に対する関心は高くなっています。一昔前は男性用ばかりだった育毛剤、育毛シャンプーなども、女性向けのデザインが増え、大手企業も女性の薄毛に対する商品を次々と開発しています。
男女では薄毛になる理由や原因が異なるので、育毛剤などの間違った使用方法をしていては意味がありません。
女性は完全にハゲることはない
女性の場合、産後の脱毛、ストレス性の円形脱毛症を別として、薄毛が気になるのは30代以降に増え続けていきます。
これにはある程度、加齢による老化が大きく関わっていることは確かです。しかし男性のように、毛穴がきれいに閉じてしまって皮膚と一体化するほど、ツルツルの状態にはなりません。女性の薄毛になる特徴として、男性のように局所的にハゲるのではなく、全体的に髪の量が減り、ボリュームが減るという傾向にあります。
女性の薄毛はこうして起こる
女性の毛髪量が全体的に減ってくる症状は、「びまん性脱毛症」の可能性がとても高く考えられます。びまん性脱毛症は、円形脱毛症のように突然抜けたり、男性の脱毛のように、一部分が薄くなる訳ではないので、とても気づきにくい場合が多いです。気がついたら、髪のボリュームがペチャンコになっていて、びっくりしてしまう、という場合が多いようです。
びまん性脱毛症は別名、女性男性型脱毛症=FAGAとも言われ、男性型脱毛症の女性バージョンとも考えられています。
原因もいくつかが考えられ、更年期に近づくにつれ徐々に女性ホルモンが減少することが、女性薄毛の大きな原因として考えられます。完全に閉経してしまうとさらに症状が深刻になるケースも多く、女性ホルモンと毛髪の関係性がどれだけ深いかがわかります。
また過度なダイエットや睡眠不足、食生活のバランスの悪さ、カラーやパーマによる枝毛や髪のダメージなど、これまでの日常生活の中で、頭皮や髪にかかるストレスが大きいことも原因の一つです。
また、毎日髪をきつく結んでいる状態を長期間続ける事や、いつも同じ分け目で、髪にストレスがかかり、薄毛になりやすくなる、という事もあります。これは「牽引型脱毛症」と呼ばれ、毛根にかかるストレスが主な脱毛の原因といってよいでしょう。
男性の薄毛はさらに深刻
男性は女性と違って、明らかに局所的に毛が薄くなります。生え際の後退、M字ハゲ、頭頂部周辺が丸く薄くなる、というよく目にする症状です。男性の場合も女性と同じくホルモンバランスから抜け毛が起こりやすいと言われています。AGA(男性型脱毛症)は、ジヒドロテストステロンという男性ホルモンの中の物質が、大きく関係しているという考えが有力です。
AGA(男性型脱毛症)の場合、ジヒドロテストステロンという強力なホルモンが、健康な新生毛にの成長を阻止してしまう作用があるため、太く元気な髪が育たず薄毛や脱毛が起こるとされています。
しかし、女性同様、長年の食生活や、シャンプーの仕方、頭皮の健康状態なども抜け毛を招く要因であることは間違いありません。髪はタンパク質で出来ているので、爪と同様、健康のバロメーターでもあるので、髪に良い=健康のため、と思い、これを機に健康的な生活習慣を心がける事が大切です。
髪を量を増やしたい!髪の毛を増やす方法
一日にして劇的に毛量を増やす・・といったら、自毛では不可能です。しかし、徐々に時間をかけて髪を太く健康に育毛する努力を続けていけば、何もしないで放置したままよりは効果の差が歴然と出ます。
若い頃から毛が細く、毛量も少なく、親や親戚もハゲの家系と言われてきた男性が、10代後半から薄毛の状態が深刻にならないよう熱心に努力を続けてきた結果、40代中盤になっても、10代後半の状態から悪化せず、現状をキープし続けてる、という方もいます。気づけば若い頃、自分よりも懸念していなかった友人たちの方がとっくに早くハゲ始めた、という話を聞いて、毎日のセルフケアがどれだけ大切かと感じました。
毎日の食生活、睡眠の状態もセルフケアの一貫です。特に男性で外食や飲酒が多いタイプは、栄養分にも偏りが見られます。添加物や保存料だらけの食事で、髪に必要な栄養素、特にビタミンA、C、E、B群などが不足してる場合がとても多いです。
地味にコツコツと続けることは何か、現代の研究で良いと言われている技術や商品、抜け毛対策法について、検証してみましょう。
自分にあった頭皮ケアを知る
ヘッドスパに力を入れている美容室や、育毛サロン、薄毛、脱毛やAGAの専門クリニックなどでは、頭皮のプロや専門医により、「頭皮ケアプログラム」や「スカルプケアプログラム」という育毛対策で自分にあったケア方法を提案されます。自分の頭皮の状態をマイクロスコープなどを見ながら観察し、血流の状態や、毛穴の汚れ具合、皮脂量、毛の細さなど頭皮環境を細かく診断した上で、どんなケア方法が必要かを提案してくれます。
費用がかかりますので、継続的に通うかどうかは別として、一度は相談してみるのも良いでしょう。またメンズのカットやヘアアレンジを、多く手がける美容師さんに相談するもの良いでしょう。プロの視点での育毛対策、薄毛対策法は今後長く続けていくべきセルフケアにおいて、とても貴重な材料となります。
育毛アイテムの選び方
ドラッグストアだけでなく、バラエティショップでも育毛アイテムの商品量は、どんどん増えている傾向にあります。女性用、男性用がきちんと分かれていて、育毛剤、育毛シャンプー、育毛ヘアサプリメントや家庭でできる育毛機器など、とても充実しています。
育毛シャンプー
市販で良く売られているシャンプーは「高級アルコール系シャンプー」と言われ、薄毛や脱毛症の頭皮には適していません。テレビCMなどでとても有名な商品でも、「ラウレス硫酸Na」「ラウリル硫酸Na」という成分がほとんどのものに含まれており、この成分は泡立ちがよく使用感は良いのですが、頭皮に成分が残留しやすく、必要な皮脂まで洗い流してしまうほど洗浄力が高く、しかも安価なコストな成分です。
これらの成分の過剰な洗浄力で、皮脂が奪われ、乾燥を引き起こしたり、反対に余計な皮脂が分泌しすぎて、脂っぽい頭皮になってしまったりと、頭皮のトラブルになる可能性が高まります。
育毛シャンプーは、アミノ酸系のシャンプーが多く、頭皮の潤いを保ちながら、頭皮と髪に必要な有効成分が配合されているものが多いので、抜け毛対策には、洗浄力の高いシャンプー剤はやめ、育毛シャンプーに変えてみると良いでしょう。シャンプーの段階では、必要以上に頭皮の皮脂を取りすぎず、汚れをきれいにする、という目的が叶っているかどうかがポイントです。
育毛剤
育毛シャンプー同様、大手発毛メーカーから色々な育毛剤が発売されており、どれが自分にあっているのか育毛剤選びはとても混乱します。男性育毛剤と女性育毛剤に別れていますが、医薬品が良くて、医薬部外品は効かない、というわけでもありません。
どんな商品をつかっても体の中から変わってきて、いよいよ発毛効果がみられる!という時までは最低4ヶ月から半年はかかります。効果が現れた場合も、継続して使用する事が必要で、使用を辞めてしまえば、せっかく太くなってきた毛がまた細くなってしまう可能性もあるので、価格的にも良く検討することが大切です。
発毛に有効な成分
育毛剤に含まれる成分としては、いくつか代表的なものがあります。
・グリチルリチン酸・・・アレルギーの炎症を抑える成分です。皮脂の過剰分泌を抑える働きがあるので、毛穴のつまりのトラブル、頭皮のベタつきなどを解消し育毛環境を整えるという働きがあります。頭皮が敏感になっている方、フケやかゆみのある方には合う成分です。
・センブリエキス・・・女性の育毛剤にも多く配合されているのですが、センブリエキスは植物由来の成分で、毛細血管の血流を促進したり、毛母細胞の細胞分裂を活発にしたりという効果があります。活性酸素除去の効果もあるので、頭皮を日焼けや老化から守ってくれるので、男女問わず、必要な育毛成分です。
・成長因子(グロスファクター)・・・成長因子を多く含む「プラセンタ」やIGF、KGFは、毛母細胞の細胞分裂の促進や、髪の成長を促す効果があります。
・イチョウ葉エキス・・・血管を拡張し、血流を良くするフラボノイド、テルペンラクトンな含まれます。育毛へアサプリメントにも使用されます。
・塩化カルプロニウム・・・イチョウ葉エキスどうよう、血管を拡張し、血流を良くする成分です。血流が良くなることで、頭皮までしっかりと栄養分が運ばれる結果、育毛、発毛の効果があると言われています。
・ミノキシジル・・・代表的な育毛成分で、経口血圧降下剤として使用されていた患者が毛が濃くなる現象が起きた事から、発毛効果の高い成分として広がっています。副作用が起こる可能性もあることは忘れてはいけません。発疹やかゆみがでたら、直ぐに使用を取りやめ、病院に行きましょう。女性用、男性用の性別ごとの商品を必ず使用し、商品の注意事項などもきちんと理解してから使用する事が大切です。
・フィナステリド(プロペシア)・・・この成分は薬局などでは市販されておらず、処方箋が必要な成分です。薄毛治療の専門医の診断のもと、使用することができます。こちらも前立腺肥大の薬として使用されていたところ、発毛効果があった事が由来です。副作用についてもはっきりとはわかっていませんが、危険性の高い症状との関係性が疑われる説もあります。用法、量なども含めしっかりと診断してから使用するようにしましょう。
頭皮マッサージ
毛が細くなる理由はホルモンバランスの作用の他、血行不良も大きな原因です。血行促進にとても効果的なのは「頭皮マッサージ」です。私達の体は、体中を張り巡る血管により、隅々まで栄養を運んでいます。頭皮も同じです。毛細血管から酸素、栄養素が運搬されたものを吸収し、丈夫で元気な毛髪を育てて行きます。
血行不良を解消するには、体を温めて、マッサージをすることが手っ取り早い解消法です。肩や首とちがって、頭皮のコリはとても実感のうすい場所です。気が向いた時に何となくやってみるというよりは、しっかりと毎日の習慣にし、続ける事が大切です。
頭皮のマッサージは指の腹でやさしく
頭皮はとても皮膚が薄く、傷がつきやすい箇所です。指の腹の柔らかい所をつかって、やさしくマッサージをしましょう。耳の上か頭頂部にかけて、下から上に頭皮を揉みほぐしていきます。オリーブオイルを頭皮にかるく塗布してマッサージをすると、頭皮と指の間での摩擦を防ぎ、スムーズにマッサージができます。
オリーブオイルのオレイン酸は、人間の皮脂ととても近い成分なので、頭皮の乾燥も防いでくれる役目もあるので、使ってみるものよいでしょう。
頭皮マッサージの便利グッズ
ハンドでのマッサージと合わせて、何か家庭でもできる頭皮マッサージの便利グッズはないかな、とお探しの方も多いかと思います。
頭皮用マッサージブラシやシャンプーブラシはシリコンの柔らかい突起でできているものが多いですが、使い方を間違えなければ、頭皮のツボを刺激し、血行促進効果があります。ポイントは1箇所に固定した状態で、小刻みに動かし、決して力を入れすぎないこと、毛が絡まらないように注意すること、の2つをしっかり守れば、買う価値のあるグッズです。
最近、ネットの記事で紹介されている育毛レーザーマッサージ機も、愛用者が増えているようです。薄毛専門の発毛サロンでは、業務用の育毛レーザー機器で、毛根を刺激して発毛につなげる、という技術があります。育毛レーザーは低出力の赤外線レーザーを皮膚にあてることで毛母細胞を刺激し、発毛させるという原理です。
赤色LEDの光にも同じような毛母細胞を刺激するという説もあることから、低出力レーザーではなく、LEDタイプのものも出てきています。ネットでの口コミで効果が出た、という意見もありますが、発毛率については個人差があるようです。
炭酸水は血行促進大!
炭酸水は二酸化炭素が溶け込んだ水です。炭酸水で顔を洗うと、血管拡張効果があるので、美容面でも炭酸パックの商品はとても人気が高いです。頭皮も同じく炭酸水シャンプーをすると、頭皮の汚れや毛穴の汚れが浮き上がり、血行促進効果が高まることから、発毛促進効果が期待できます。
しかし炭酸水は温度が高くなると、蒸発し効果がなくなってしまうため水の状態で使用しなければなりません。最近では美容室にも業務用の炭酸生成機があり、シャンプーの際、オプションでつけることもできます。家庭用としては、炭酸シャンプーなどもあり、価格的にも高額ではないので、薄毛対策としては取り入れやすいケアです。
自毛植毛という選択肢
薄毛治療法の中で、確実に髪の量が増えるのは自毛植毛です。自分の髪の毛の一部を薄い箇所に移植するので、人工毛よりも拒否反応が少なく、定着すればそのまま健康で太い髪になるのですから、薄毛やハゲの改善に即効性が高い対策方法です。
メリットは?
芸能人でも、前髪が薄くてまばらだったのに、ある日突然しっかり生え揃っていると、植毛したのでは?という噂になります。前髪の後退やM字ハゲの場合は、カツラはむずかしので、この方法を選ぶ芸能人はとても多いのでしょう。
しかし一般人においては、薄毛治療病院へ行くことから、まず勇気がいると思います。術後はある期間仕事を休む必要もありますし、劇的に見た目が変わることがどんな反応なのか、不安にもなるでしょう。
しかしこのまま深刻な状況になり、これから先の人生をずっと脱毛と戦って行くよりは、どこかで思い切ってみたら、人生観が変わった!という人もたくさんいます。自毛植毛には、即効性、この先の確実性などたくさんのメリットがあるのですが、同時に危険性やデメリットにも知っておく必要があります。
デメリットについて
手術後、健康な毛髪がきちんと根付くまである程度の期間がかかります。きちんと定着し、正常なヘアサイクルになれば、今まで毛の密度が薄かった箇所に、健康でフサフサした毛が当たり前のように生えてくるのですから、こんなに嬉しいことはありません。
しかしこれには手術が必要ですから、医師の技術にも大きく左右されます。もちろん術後の頭皮の腫れ、痛み、違和感についても、経験談を調べればほとんどの場合あるようです。
うまく定着しなかった場合や、定着しても生え際がとても不自然だったり、傷口が炎症してしまったりという場合も考えられます。そして何より費用がとても高額なので、薄毛に悩む全ての人ができることではない、という現状です。
まとめ
髪の量を増やすには、外からのケアと中からのケアが大事です。外からのケアは、ご紹介したような育毛対策を地道にコツコツと続けて行くこと、中からのケアは良質な睡眠や、体にも毛髪にも良い食べ物を考えた食生活を続けることです。身近な存在の美容師さんにも相談すれば、カットの技術でスタイルを提案してくれるはずです。薄毛のクリニックに行ったり、思い切って植毛しても、この生活習慣の大切さは変わらず続けて行くことが大切です。
薄毛の悩みを克服するには、今はたくさんの商品、便利グッズ、医療などが進化し、情報で溢れている時代です。これをプラスの環境として、しっかり吟味する目を養って、自分にあった方法を見つけることができるように、頑張りましょう。
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