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小さな白いものが、サラリーマンのスーツや学生服の肩にびっしり…。この白いもの、ご存知ですね、フケです。
フケ症といわれる人は、着ている衣服の色のせいでしょうか、女性よりも男性に多くみられ、とくに、高校生や30代から40代くらいの方に多いように思われます。
フケは不潔という印象を免れず、一度出たらすっかりなくすのは難しい、かなりやっかいなものです。
ところでフケとはそもそも何なのでしょう。どうして発生するのでしょう。薄毛やハゲと関係があるのでしょうか。ここでは、そうした疑問を解明していきます。
目次
フケの原因は?ハゲとの関係について
フケとは何者なのか、どうやって出てくるのか、とにかくこのことはっきりさせることから始めましょう。
そして、ハゲとどのように関わってくるのかを探ってみることにします。
フケは剥がれ落ちた皮膚の角質
私たちの体の表面を覆っている皮膚は、ターンオーバーという働きをしています。
ターンオーバーは、古い細胞が新しい細胞と入れ替わる新陳代謝で、フケは皮膚のターンオーバーによって剥がれ落ちた皮膚の古い細胞です。
では、皮膚のターンオーバーのメカニズムをみてみましょう。
皮膚のもっとも外側にある組織は表皮です。表皮は、外側から内側に向かって、角質層、顆粒層、有棘層、基底層という4つの層で構成されています。
基底層で生まれた新しい皮膚の細胞は、分裂しながら上の層へ進んでいきます。古い細胞は新しい細胞に押し上げられ、最終的に角片となって剥がれ落ちます。
ターンオーバーの周期は、ふつうは4週間で、そのサイクルで皮膚の細胞は新しく生まれ変わります。
正常なターンオーバーで剥がれ落ちる皮膚の角片は、たいへん小さく、肉眼では見せません。ところが、ターンオーバーのリズムが乱れると、角片は肉眼でも見えるくらいに大きくなります。これがフケです。
皮膚は全身を覆っていて、体のどの部分でもターンオーバーを繰り返し、細胞を生まれ変わらせています。古い角質は、頭皮ではフケになりますが、頭皮以外の皮膚では垢となって排出されます。
乾燥や過剰な皮脂がフケを発生させる
頭皮の皮脂は、頭皮を保湿し、外部の刺激から皮膚組織を守るバリアとしても機能しています。
シャンプーのしすぎや、シャンプー方法が間違っていると、頭皮に必要な皮脂まで洗い流してしまう可能性があります。
皮脂が不足すると頭皮は乾燥し、良好な頭皮環境を維持できず、ターンオーバーのリズムが乱れます。
シャンプーをせず、髪の毛や頭皮を清潔に保つことを怠っていると、頭皮に皮脂が溜まり、ホコリや微細なゴミが付着し、細菌が繁殖します。
さらに、頭皮に溜まった過剰な皮脂は毛穴に入り込み、髪の毛の成長やターンオーバーを阻害します。
こうした乾燥や過剰な皮脂による頭皮環境の悪化が、フケを誘発するのです。そしてときには、フケとともにかゆみも伴い、掻きむしって頭皮を傷つけ、フケ以外のトラブルも発生させます。
フケには乾性と脂性の2タイプがある
フケには乾いたフケと、湿ったフケがあります。
乾性フケの特徴は、乾燥肌の人に多くみられる、頭皮が乾燥してカサカサしている、細かいコナのようなフケが髪の毛を指で軽くとかしただけで落ちてくる、などです。
脂性フケの特徴は、頭皮が脂っぽくベタついている、大きめのフケが髪の毛や頭皮に付着していることがある、頭皮に黄色っぽい小さな塊がある、頭皮が赤みがかっている、などです。
アレルギーが要因のフケ
頭皮の皮脂線は体のほかの部位より発達していて、皮脂の分泌量が多く、常在菌が異常繁殖するなどのトラブルが起きやすい環境にあります。
そのうえ、アトピー性皮膚炎や花粉アレルギーなどのアレルギーがある人の肌は敏感になりやすいのが特徴です。
そういったことから、アレルギーがある人の頭皮は、アレルギーを要因としたフケが出てもしかたがないといわざるを得ません。
アレルギーの治療やケアをしながら、フケに対しても適切な対策をしていく必要があります。
フケは薄毛やハゲになる前兆?
シャンプー剤を変え、正しいシャンプーを徹底し、シャンプーする回数を減らしたり増やしたりしてみるなど、シャンプーでフケ対策をするだけでも状況はよくなるはずです。
でも、シャンプー対策ではフケの量は変わらず、かえってフケが増えたということなら、頭皮で違うトラブルが起きているのかもしれません。
頭頂部のつむじ付近にフケが溜まっているとハゲになる…。フケとハゲの関係はそれほど単純ではないでしょうし、この説の信ぴょう性についての回答はすぐにはできません。しかし、シャンプー対策で効果がなく、つむじ付近のフケが増え、毛が薄くなってきたのなら、男性型脱毛症(AGA)のO字型の疑いがあります。フケ対策と同時に、AGA治療についても考えましょう
ハゲる可能性大のフケが原因の皮膚炎
フケを大量に発生させる頭皮の炎症について紹介します。
脂漏性皮膚炎
脂性フケで疑われる疾患に、脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)があります。皮脂の過剰分泌で発症し、脂漏性脱毛症というハゲになる可能性のある疾患です。
皮膚の常在菌は通常は皮膚のためになっていますが、皮脂をエサにするマラセチア真菌は皮脂が過剰になると状況が変わります。
マラセチア真菌が皮脂を分解すると遊離脂肪酸が発生し、そのときの強い刺激で皮膚が炎症を起こします。
皮膚が赤くなって激しいかゆみを伴い、悪化すると炎症は頭皮全体に広がります。そして、フケが皮脂の脂分と混ざってカサブタになり、ときには黄色い浸出液が出ることもあります。
さらに悪化すると、悪化した部分の髪の毛がまとまって抜ける脂漏性脱毛症になります。炎症の範囲によっては、頭皮全体の毛が抜けてしまうこともあります。
粃糠性皮膚炎
乾性フケが毛穴をふざぎ、そこに菌が繁殖するために毛根が炎症を起こすのが粃糠性皮膚炎(ひこうせいひふえん)です。
この皮膚炎は考えられないほど大量のフケが発生するのが特徴で、粃糠性脱毛症(ひこうせいだつもうしょう)になったら、抜け毛を止めることは難しいともいわれます。
脂漏性脱毛症は皮脂の過剰分泌による脂性のフケが原因ですが、粃糠性脱毛症の場合は頭皮の角質異常による乾燥したフケが原因です。
原因は違いますが、この2つのフケ由来の皮膚炎はハゲる可能性の大きい疾患です。予防やケアを怠らないようにし、疑いがあったらできるだけ早く皮膚科で治療をしてください。
日常の習慣にしたいフケ対策
正しい食生活、質のいい十分な睡眠、適度な運動…こうした健康的なライフスタイルは、フケ症の改善やフケ予防のもっとも基本となる対策です。
そして、生活習慣が変わることでターンオーバーが正常になってフケは解消。さらに頭皮環境がよくなって髪の毛の成長も活発になり、薄毛やハゲも改善の方向へ。
フケ対策は効率のいい育毛法でもあるのです。
フケの予防や改善の必須栄養素
フケを予防したりフケ症を改善するには、頭皮の新陳代謝を正常に機能させることです。それには、頭皮に常に十分な栄養が届けられなければなりません。
亜鉛、ビタミンA、ビタミンB群、オメガ3脂肪酸は、新陳代謝を促進し、とくにフケの改善に役立つとされる栄養素です。
ただし、栄養素は単独で働くわけではありません。食事で摂取した栄養素が体内で効率よく吸収されるには、それをバックアップするほかの栄養素が必要です。できるだけ多くの食品から、さまざまな栄養素を摂ることが重要なのです。
食品から摂るのが難しい場合は、サプリメントの利用を検討しましょう。
・亜鉛
体内で生成できないミネラルの一つで、食事から摂取しなくてはならない栄養素です。AGA治療の効果を高めるための、必須栄養素ともいわれています。
男性ホルモンのテストステロンをジヒドロテストステロンに変換する際に必要な5α-リダクターゼの働きを抑制し、皮脂の分泌を抑えます。これは、ジヒドロテストステロンの生成を減少させることになり、薄毛やハゲの改善につながります。
亜鉛が含まれている食品としては、牡蠣がよく知られています。
・ビタミンA
新陳代謝の促進を助ける栄養素です。
トマト、にんじんやほうれん草などの緑黄色野菜、レバーに多く含まれています。
・ビタミンB群
ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの総称です。どれか一つだけを摂取しても効果を発揮しにくく、8種類がお互いに補完しあって働きます。そのため、ビタミンB群は、複合体として一緒に摂取することが望ましいとされています。
ビタミンB群不足はフケ発生の原因の一つです。摂取することでフケを完全になくすことはできなくても、減少させる効果はあります。
ビタミンB6は、頭皮の皮脂の分泌を抑制し、炎症を抑える働きがあります。
ビオチンは、不足するとフケ、ニキビ、脱毛などを発症します。
ビタミンB群の栄養素を、複数種含む食品を食べるようにしましょう。
動物性食品では豚・牛・鶏のレバー、マグロ、カツオ、カレイ、しじみ、あさり、鶏肉、牛乳、鶏卵など、植物性食品では納豆、ほうれん草、モロヘイヤ、落花生、アーモンド、焼きのりなどです。
・オメガ3脂肪酸
別名α-リノレン酸で、体内でDHAやEPAに合成されます。
さまざまな働きがありますが、とくに血行の促進や抗炎作用が知られています。
サバやイワシなどの青背魚、ナッツ類、エゴマ油、アマニ油などに多く含まれています。
フケのタイプ別シャンプーのポイント
乾性フケは、洗浄力の弱いシャンプー剤を使い、洗い過ぎないようにします。また、頭皮が乾燥しないようにすることが大事です。
脂性フケは、頭皮に刺激の少ないシャンプー剤で、皮脂を必要以上に洗い流さないようにします。頭皮の皮脂を、常に適度に保つようにします。
アレルギーのある人は、必ず低刺激の敏感肌用シャンプー剤やリンス、トリートメントを使います。
ただ、アレルギーやフケなどの症状が出ないので安心して使っているシャンプー剤でも、長期間使っているうちに体質が変わったりして、フケやかゆみ、かぶれなどの症状が突然出ることもあります。異変を感じたら、シャンプー剤を変えましょう。
フケ対策用シャンプー剤の選び方
シャンプー剤によっては、フケが改善されるどころか、ほかの頭皮トラブルを招く危険性もあります。
シャンプー剤は、頭皮への刺激が極力少ないこと、自分の頭皮に合うこと、フケのタイプに合うことを条件に選びましょう。
シャンプー剤の頭皮への刺激は、配合されている界面活性剤(洗浄成分)の種類で違ってきます。
界面活性剤は、高級アルコール系、アミノ酸系、石鹸系(合成界面活性剤)の3つのカテゴリーに分けられます。
高級アルコール系と石鹸系の界面活性剤は洗浄力が高く、洗浄力が高い分、頭皮への負担や刺激があります。フケ対策用には、洗浄力の弱いアミノ酸系のシャンプー剤が適切です。
洗浄力が高いと、頭皮に必要な皮脂まで洗い流してしまう可能性があります。頭皮は、皮脂が不足すると保湿力が低下して乾燥し、フケをさらに増やすことになります。
また、皮脂が不足すると、皮脂量の調節をしようとして皮脂が分泌過剰になることがあります。過剰になった皮脂が頭皮に溜まるとフケが増え、ほかの頭皮トラブルのもとになります。
石鹸系のシャンプー剤は、ヤシ油などの天然の油脂に苛性ソーダを加えてつくられるのでアルカリ性になります。フケや頭皮にトラブルがあるときには、アルカリ性の洗浄剤は避けたほうがいいでしょう。
市販のシャンプー剤のほとんどに、シリコンが配合されています。髪の毛をコーティングして保護し、指通りのいいなめらかな感触を維持することが目的です。
シリコンは安全で、医療現場でも使われていますが、シリコンが原因でフケや頭皮トラブルが発生することもあります。フケ対策には、シリコン無配合のものを選びましょう。
シャンプーの配合成分表示の見方
シャンプー剤の成分表示は、配合量の多い順に記されています。
記されている成分名に、ラウレス硫酸Na、ラウリル硫酸塩、ラウレス-3硫酸アンモニウムなどがあったらそれは高級アルコール系のシャンプーです。
アミノ酸系の成分名は、ココイルメチルタウリン、ラウロイルメチルタウリン、ココイルグルタミン酸、ラウリルメチルアラニン、ここイルメチルアラニンなどです。
シャンプー剤は、アミノ酸系の成分名があることを確認して選びます。
シリコンは、アモジメチコン、ビニルジメチコン、フェミルメチコンなど、〜 コンがシリコンとそれに類する成分名として記されています。
ノンシリコンは、シリコンとそれに類する成分が含まれていないということです。
無添加は、香料無添加というように、何が無添加なのかが記されています。
アトピーの人が選ぶべきシャンプー
アトピーがある場合のシャンプー剤選びで、注意しなくてはならないのが残留塩素です。
一般的な市販のシャンプー剤には、水道水と同様に塩素が含まれている水が使用されています。塩素は角質層を刺激し、バリア機能を低下させ、アトピーを悪化させます。
精製水を使用している低刺激性のシャンプー剤なら、アトピーを悪化させるほどの刺激はないはずです。精製水使用のシャンプー剤を使いましょう。
また、ココナッツオイルはアトピーに効果があるといわれます。最近注目されているココナッツオイルシャンプーは、アトピーの人向けのシャンプー剤です。試してみるのもいいでしょう。
フケ用薬用シャンプーの使用
即効性が期待できるのは、フケに特化した薬用シャンプーです。
薬用とは医薬部外品と同義で、厚労省が医薬部外品有効成分と認定した成分が、効果を謳ってもいいとされる配合量以上に配合されている商品です。
薬用シャンプーに配合されるフケに対する医薬部外品有効成分は、ピロクトンオラミン、ジンク(亜鉛)ピリチオン、サリチル酸、硫化セレン、グリチルリチン酸2Kなどです。
フケとともにかゆみや炎症があるときはとくに、こうした有効成分配合のフケ用シャンプーを使いましょう。
まとめ
フケは、見つけたらすぐに対処することが大事です。
まず、皮膚組織の新陳代謝が正常に行われるよう、生活習慣を見直します。栄養バランスのいい食事、十分な睡眠、適度な運動を実践しましょう。
そして、シャンプー剤をフケに有効な成分配合のフケ対策用シャンプーに切り替えます。
しっかり泡立て、頭皮マッサージをするように優しく洗い、すすぎはぬるめのお湯で、シャンプー剤が髪の毛や頭皮に残らないよう、丁寧かつ十分にします。この正しいシャンプー法を習慣にします。
フケとAGAは必ず関連づけられるわけではありませんが、場所が同じ頭皮であり、同時にできる対策はあります。
育毛剤には、フケに有効な成分が配合されているものが多くあります。
乾燥フケに有効な保湿作用のある、ヒアルロン酸、オウゴンエキス、ベニバナエキスなどや、脂性フケに有効な抗菌作用や抗酸化作用、抗炎症作用のあるヒノキチオール、ユーカリエキス、アセロラ、ザクロエキスなどが配合された育毛剤は、フケ対策と薄毛対策、AGA治療も同時にできます。ぜひ、利用したいものです。
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