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円形脱毛症は軽い症状であればすぐに自然治癒すると言われていますが、脱毛症を繰り返す人も少なくないようです。さらに症状が悪化すると重い脱毛症になることがあり、あまり軽く見てはいけない脱毛症です。
繰り返すことが多いとされる円形脱毛症の特徴、円形脱毛症になる原因、円形脱毛症になった場合の対処方法や治療方法について、さらに円形脱毛症を繰り返さないようにするにはどのような予防対策法があるのかについても説明していきます。
目次
円形脱毛症の特徴とは?繰り返すこともある?
円形脱毛症を大きく分けると単発型、多発型、全頭型、汎発型の4種類に分けられ、比較的症状の軽い単発型はすぐに治るとされていますが、繰り返すことも多く多発型へ移行してしまう可能性もあるそうです。
円形脱毛症の各種類の特徴について確認していきましょう。
円形脱毛症の悩み
円形脱毛症はある日突然発症し、髪の一部が脱毛したり広い範囲で脱毛してしまいます。抜け毛が少しずつ増えて薄毛になっていくのではなく、髪の一部または広範囲でハゲができたり、髪の毛以外の顔の毛や体毛も急激に抜けてしまうことがあります。
ストレスをきっかけに発症することが多いと言われていますが、自己免疫機能の疾患とされています。自己免疫機能以外にもアトピー性疾患との関連性も指摘されています。自己免疫性分泌性疾患とも形容され、内分泌疾患とも関連しているのではないかと言われています。
円形脱毛症は繰り返すことも多く、症状が悪化する可能性もあります。繰り返す円形脱毛症に悩む人も多く、さまざまな記事やコミュニティでも円形脱毛症の悩みについて語られています。
頭部のどこにでも発症し、前頭部や頭頂部、後頭部、側頭部でハゲが知らず知らずのうちにでき、他人に指摘されて初めて気づく人もいるそうです。
円形脱毛症になる人
円形脱毛症は性別、年齢にかかわらず、男性でも女性でも、また子供でも大人でも、誰にでも発症する可能性があります。ただし発症しやすい体質もあり、アトピー性皮膚炎、アレルギー疾患、その他自己免疫疾患にかかっている人がなりやすいと言われています。
ただし発症しやすい体質もあり、アトピー性皮膚炎、アレルギー疾患、その他自己免疫疾患にかかっている人がなりやすいと言われています。
単発型円形脱毛症の特徴
単発型では円形状の脱毛が、1、2か所にできるのが特徴です。自然治癒することも多いですが、再発することもあり、多発型に移行する可能性もあります。
多発型円形脱毛症の特徴
多発性の円形脱毛症では、円形状の脱毛が3か所以上にできるのが特徴です。単発型より治療に時間がかかり、脱毛部分がつながって範囲が広がった状態になることもあります。全頭型に移行する可能性もあります。
全頭型円形脱毛症の特徴
全頭型では頭部全体の髪が抜け落ちてしまいます。治療には時間がかかることが多く、治療法が合えば数ヶ月で改善が見られた症例もあります。
汎発型円形脱毛症の特徴
汎発型は頭皮の毛だけでなく、顔や体の毛も脱毛する症状です。完治には相当な時間がかかり、脱毛の症状とうまく付き合いながら、治療を並行して行う必要があるとされています。
円形脱毛症を繰り返す人も多い?その原因は?
円形脱毛症は再発する人も多いようですが、なぜ円形脱毛症を発症してしまうのでしょうか。ストレスで円形脱毛症になったという話はよく聞かれますが、直接の原因は自己免疫疾患と言われています。円形脱毛症の原因について確認してみましょう。
精神的ストレス
精神的ストレスが円形脱毛症の自己免疫応答を起こす一要因となっていると考えられています。精神的ストレスによって誰でも円形脱毛症を発症するわけではなく、発症しやすい体質があると言われています。
ストレスで円形脱毛症になったという話はよく聞かれますが、重い症状へと段階が進む前にストレスの原因を取り除くか対処しないと再発する恐れがあります。
ストレスは自律神経に影響を与え、血行を悪くすることも脱毛を誘発するのではないかと言われています。
自己免疫疾患
自己免疫性疾患とは、免疫機能に異常が起きた疾患です。免疫機能とは外部からの体に害を及ぼす侵入物を攻撃し、体を守る機能です。自己免疫機能に異常が起きると体の一部を異物と判断して攻撃し、健康を害することがあります。
自己免疫反応の異常により髪が異物と判断され、毛包組織の細胞を攻撃して円形脱毛症が発症するとされています。
Tリンパ球
Tリンパ球(T細胞)とは免疫細胞であり、円形脱毛症に直接関わっていると考えられています。頭皮下にある毛根をTリンパ球が異物と判断し、毛包組織を攻撃すると炎症が起きで髪が抜け落ちてしまいます。またTリンパ球の攻撃が続くと新しい髪も生えてきません。
最近の研究では制御性T細胞が円形脱毛症に関わっていることがわかり、円形脱毛症治療の向上に明るい兆しが見えたとされています。
免疫力の低下
円形脱毛症はインフルエンザなどウイルスに感染して高熱を出したとき、病気にかかったり疲労が蓄積したときなど免疫力が低下したときに起こりやすいとされています。
遺伝
円形脱毛症は遺伝との関係性が認められています。血の繋がりが強いほど円形脱毛症が遺伝する確率が高くなるという調査結果もあり、円形脱毛症の患者で家族に発症する確率は約8%とされています。
円形脱毛症と関係のある遺伝子も報告されています。ただし必ずしも親が発症すれば子供も発症するというわけではなく、遺伝的要因が大きいとは言い難いようです。
アトピー性皮膚炎
円形脱毛症はアトピー性皮膚炎を発症している人で多く発症すると言われ、円形脱毛症を発症した人の4割がアトピー性皮膚炎だと言われています。
円形脱毛症とアトピー性皮膚炎どちらも遺伝性要因があると言われ、ストレスで発症したり症状が悪化することもあります。
繰り返す円形脱毛症の対処方法
繰り返すことも多いとされる円形脱毛症ですが、発症した場合はどのような対処をしたら良いのでしょうか。症状が軽いうちは自然治癒すると言われていますが、少しでも早く治癒するような対処法とともに脱毛部分をうまく隠したいところです。
育毛剤を使う
ストレスが誘引となり円形脱毛症を発症することがありますが、育毛剤は血行を良くする効果があるので育毛・発毛促進にも効果があるとされています。
ストレスは円形脱毛症以外にも脱毛を促す要因になるとされています。育毛剤とマッサージで頭皮の血流を促進し、ストレスによる抜け毛・薄毛の予防にもなります。
シャンプーでマッサージ
シャンプーも抜け毛や薄毛予防に効果的とされています。予洗いをしてからシャンプーを泡立て、頭部をマッサージするように洗うことで、頭皮の汚れを取り除くだけでなく血行促進も期待できます。
美容師に相談
円形脱毛症はストレスにより誘発されることも多いようですが、円形脱毛症の症状自体が大きなストレスになります。
単発型の円形脱毛症は髪型でカバーすることもできますが、なかなか自分ではうまくできないという人もいるかもしれまえん。特に男性やショートヘアの女性は髪で隠すのが難しいかもしれません。
美容室で美容師さんに相談して、髪が生えそろってくるまで脱毛部分をうまくカバーできる髪型にしてもらえれば、急激に起きてしまった脱毛というストレスも軽減されるでしょう。
かつらを利用
狭い脱毛面積なら部分ウィッグを、広範囲の脱毛ではフルウィッグを利用することで、脱毛部分をカバーすることができます。
狭い脱毛部分のみを隠すなら接着タイプの部分ウィッグを使ったり、増毛パウダーや増毛スプレーを使うことで髪が生えてくるまで隠すこともできます。
フルウィッグタイプのかつらは人毛タイプや人工皮膚のついたものだとより本物らしく、快適に過ごせると考えられます。しかし本物に近いオーダーメイドのかつら、医療用かつらは高価なものも多く、費用面で負担になるかもしれません。
繰り返す円形脱毛症の治療方法
円形脱毛症は自然治癒しないケースもあり、医療機関での治療が必要なこともあります。治療をしたい場合は何科を訪れたら良いのでしょうか。また治療方法や治療期間、治療費用はどれぐらいかかるのでしょうか。
円形脱毛症の治療は病院の何科で?
円形脱毛症は皮膚科、脱毛外来、脱毛症外来など、皮膚科医・皮膚科専門医で診てもらえます。
薄毛治療・AGA治療クリニックや美容皮膚科でも円形脱毛症の発毛治療に対応しているところもありますが、できれば円形脱毛症の診療実績のある医師に治療を受けた方が良いでしょう。
日本皮膚科学会の推奨する治療法
日本皮膚科学会の円形脱毛症ガイドラインでは、推奨度ごとに以下のような治療法を挙げています。
- 推奨度B:行うよう勧められる治療法であり、ステロイド局注、局所免疫療法が挙げられています。
- 推奨度C1:行うことを考慮しても良いが、十分な根拠がない治療法で、ステロイドパルス療法、ステロイド内服、セファランチン内服、第2世代抗ヒスタミン内服、ステロイド外用、塩化カルプロニウム外用、ミノキシジル外用、冷却療法、直線偏光近赤外線照射療法(スーパーライザー療法)、PUVA療法などが挙げられています。かつらも症状により有効とされています。
- 推奨度C2:C2は根拠がなく推奨できない治療方法です。漢方薬内服、シクロスポリンA内服は現時点では推奨できないとされています。精神安定剤、アンスラリン外用は用いない方が良いとされ、星状神経節ブロック、催眠療法は行わないほうが良いとされています。
- 推奨度D:行うべきでない治療法として鍼灸治療、分子標的治療薬が挙げられています。
円形脱毛症の治療薬
セファランチンは抗アレルギーと免疫機能を高める効果があるとされています。セファランチンの内服を他の治療法と併用することで、単発型・多発型の治療に効果的とされています。
第2世代抗ヒスタミン内服はアトピー素因を持つ単発型・多発型の症状の人に、併用療法で効果があると言われています。
ステロイドの内服薬は円形脱毛症の症状を軽減、発毛を促進するとされています。脱毛が急激に進み、脱毛の範囲が1/4~1/2未満の成人に有効とされています。ただし肥満、満月様顔貌などの副作用も起こることがあり、使用期間は限定されるそうです。
塩化カルプロニウム外用は単発型・多発型の併用療法に、ステロイド外用は十分な有益性が実証されていないものの、すべての病型で推奨されている方法です。
局所免疫療法
局所免疫療法は皮膚にかぶれを起こす薬を脱毛部位に塗布することで、免疫反応が正常になって発毛を促す治療方法です。円形脱毛症の治療に数多くあたっている浜松医科大の伊藤病院准教授も、非常に有効な方法とコメントしています。
ただし蕁麻疹、接触性皮膚炎、リンパ節の腫れの副作用が起きることもあり、注意が必要です。
ステロイド局注
ステロイド剤を患部に注射する治療法で、脱毛範囲が1/4以下の単発型・多発型円形脱毛症の成人に推奨されています。局所免疫療法とともに治療の有効性が高いと言われていますが、子供には推奨されていません。
ステロイドの注射により自己免疫疾患が抑えられますが、注射した部分で皮膚の萎縮が見られるケースもあります。
脱毛範囲が広い場合はステロイド局注のみでは対応できないこともあり、他の治療法との併用が必要とされています。
円形脱毛症に自毛植毛は有効か?
AGA専門病院・クリニックで行われている自毛植毛は、薄毛に悩む人で利用する人も増えているようです。
ただし自毛植毛はAGAやFAGAの治療に向いている施術であり、円形脱毛症は脱毛のメカニズムが異なるため、円形脱毛症は自毛植毛には向いていないとされています。
植毛ではなく直接頭皮に髪を描くことで、脱毛部を目立たなくさせる治療法もあります。首藤クリニックで行われているメディカルSMPは頭皮にアートメイクを施す治療法であり、円形脱毛症にも適しているようです。無料のカウンセリングも行っているそうです。
円形脱毛症の治療期間
単発型の人は早ければ数ヶ月で、1年以内に80%の人が治癒すると言われています。多発型では半年~2年、全頭型、汎発型など重い症状になると完治に何年もかかり、治療が長期に渡ることも多いです。
また症状の軽い単発型でも症状を繰り返すことがあり、何年も治療のため専門の医療機関に通うケースもあります。
円形脱毛症の治療費
ステロイド内服や外用薬は1か月で数百円程度、ステロイド局所注射で1,000~3,000円、局所免疫療法は1回1,000~1,500円とされていますが、自由診療のため病院により費用が異なるようです。かつら代に数万~数十万円とかかることもあります。
繰り返す円形脱毛症の予防対策方法
円形脱毛症は治療で完治することも可能ですが、再発する人も多いと言われています。明確な治療法が確立されていない分少しでも再発が防げるよう、日頃から円形脱毛症を起こさないよう予防対策方法を実践することがおすすめされています。
生活習慣の見直し
円形脱毛症の予防対策として、日頃の生活習慣も重要と言われています。タンパク質、ビタミン、ミネラルなど栄養バランスの良い食生活を送ることがおすすめされています。
自己免疫と腸内環境は関係があるとも言われ、腸内環境を整える作用がある乳酸菌を多く含むヨーグルトやチーズ、漬物、オリゴ糖や食物繊維を多く含む野菜、果物、豆類などが良いと言われています。
睡眠不足は身体の疲労回復が十分できず、傷ついた細胞が修復される機会が失われる恐れがあります。十分睡眠をとるよう規則正しい生活を送ることも治療効果を高めると考えられます。
ストレスをためない
ストレスは自己免疫機能の異常を誘発すると言われています。円形脱毛症の患者さんすべてでストレスが原因となっているわけではありませんが、少しでも不安な要因を取り除く意味でもストレス解消法を見つけるなど、ストレスをためないよう注意した方が良いでしょう。
まとめ
円形脱毛症は完治しても繰り返すことがある脱毛症です。自己免疫疾患の一種とされ、免疫細胞のTリンパ球が頭皮の下にある髪の毛を異物と判断し、毛包組織を攻撃することで脱毛が起こります。精神的ストレスや病気で誘発されることもあります。
円形脱毛症には単発型、多発型、全頭型、汎発型などの種類があり、単発型は1年以内で完治する人が多いですが、全頭型や汎発型など重い症状は何年も治療が必要とされます。
単発型や多発型でも完治しても再発し、治療を繰り返すことで治療期間が長期化することもあります。治療中はかつらも利用して、うまく症状と付き合っていくことも必要と言われています。
日本皮膚科学会の円形脱毛症診療ガイドラインによれば、局所免疫療法とステロイド局注が最も推奨度の高い治療法とされています。ステロイドや塩化カルプロニウムなどの治療薬も併用されています。初期段階のうちの治療がおすすめされています。
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