銀歯が原因で円形脱毛症を発症したという報告もあります。このトラブルから金属と脱毛症の関係性が注目されるようになりました。
原因不明の円形脱毛症が起きた人たちで、歯の詰め物に銀歯が使われていたという共通点があったそうです。
銀歯以外にも脱毛と関わる金属アレルギーが起こる可能性のある物質、金属アレルギーにより脱毛が引き起こされるメカニズム、アレルギーによる円形脱毛症の対処法や治療法についてもお伝えしていきます。
目次
銀歯の金属アレルギーによる脱毛の症状とは
虫歯治療で銀歯は保険適用になりますが、その銀歯が原因で薄毛になってしまったという人たちもいるそうです。
しかも子供の頃受けた歯科治療が脱毛の原因になることもあるので予防が難しいでしょう。銀歯による脱毛の症状とは、どのような症状なのでしょうか。
銀歯による金属アレルギーの症状
歯医者での虫歯治療は、質の良いセラミックは保険が利かず、銀歯では保険治療が利きます。子供の頃だと虫歯ができた時に銀歯で治療してしまった人も多いかもしれません。しかし銀歯は金属イオンが少しずつ体内に取り込まれ、蓄積していく恐れがあります。
この歯科治療での詰め物が原因で金属アレルギーになることもあり、脱毛症や皮膚疾患との因果関係も指摘されています。
金属アレルギーにより薄毛化や脱毛、白髪、手足の湿疹や水疱、口内炎、皮膚炎、肩凝りや腰痛、イライラなどを引き起こすことがあります。
1980年代までは日本でも水銀を含むアマルガムという合金が詰め物に使われていましたが、特にこのアマルガムは健康に悪い影響を及ぼす可能性があると指摘されているようです。現在はリスクも指摘され、アマルガムは歯科治療に使用されなくなってきました。
歯科医師の中にはアマルガムを安全と考えている人もおり、アメリカの歯科医師会では安全とされています。しかしドイツやスウェーデンなど一部の国では使用が禁止されています。
気になる人はアマルガムをレジンやセラミックなどに交換すると良いでしょう。セラミックは自費治療になりますが、レジンは保険治療が可能なので治療費が抑えられます。
銀歯で起こる脱毛症の症状
銀歯で起きる薄毛・脱毛は、年齢とともに進行していく男性のAGAや女性のFAGAとは異なり、自己免疫疾患の一つと考えられる円形脱毛症です。
円形脱毛症は円形状のハゲができる単発型・多発型以外にも、髪全体が抜ける全頭型や、髪の毛以外の全身の体毛まで抜け落ちる汎発型など重い症状のものもあります。
以前テレビでも紹介されたある症例では、円形脱毛症と診断されたある女性が銀歯を取ったら薄毛が改善したそうです。
円形脱毛症の女性にステロイド剤を投与しても治療の効果が見られなかったところ、アレルギー治療の第一人者の医師により治療歯の銀歯が原因になっていることが発見されました。その後銀歯を取り除いたところ髪の毛が生えるように、症状も完治したそうです。
銀歯による金属アレルギーと脱毛の関係が問題視されるようになり、多数の記事でも紹介されています。
なお金属アレルギーではない、薄毛と関係性のある虫歯治療もあるとされ、虫歯治療での痛みがストレスに繋がることも指摘されているようです。
金属アレルギーは円形脱毛症の原因の一つ
多くの薄毛・育毛関連記事で、金属アレルギーと円形脱毛症の関連性について特集されています。円形脱毛症は自己免疫疾患の一種とされていますが、金属アレルギーも含めたいくつかのアレルギーとの関連性が指摘されています。
円形脱毛症の原因は自己免疫疾患
円形脱毛症の直接の原因は、免疫機能の異常によって起きる自己免疫疾患とされています。免疫反応が正常であれば免疫細胞は体内に害のある物を攻撃しますが、免疫反応に異常が起きると体に害のないものまで攻撃してしまいます。
免疫細胞が髪の毛(毛包)を異物と判断すると攻撃し、抜け毛の原因となってしまいます。自己免疫疾患の異常にストレスやアレルギーが関わっていると言われています。
円形脱毛症と金属アレルギー
金属アレルギーは金属イオンが溶け出すことで起きるアレルギー反応です。金属イオンが体のタンパク質と結びつくとアレルゲンになり、免疫反応が過剰に起きることがあります。
体との接触による金属アレルギーだと皮膚炎を発症する可能性があります。直接金属イオンを体内に取り込んだ場合は血液とともに全身に運ばれるため、皮膚炎の他にもさまざまな症状を引き起こす可能性があります。
金属イオンを体内に取り込むと、頭痛、イライラ、不安感などの神経症状、さらに脱毛や白髪なども発症する可能性があります。
アレルゲンが体内に入り体の許容量を超えることでいろいろな症状が起きますが、金属アレルギーは他のアレルギー同様体質によるところも多く、発症するかどうかには個人差もあります。銀歯が原因で誰でも円形脱毛症が起きるというわけではありません。
円形脱毛症とアトピー性皮膚炎
円形脱毛症は金属アレルギー以外に、アトピー性皮膚炎とも関係性があることが指摘されています。
円形脱毛症を発症した人の40%以上でアトピー性皮膚炎を発症しているという報告もあります。円形脱毛症を併発したアトピー性皮膚炎の患者でも、アトピー性皮膚炎を改善するためのステロイド剤に頼らない治療でも、円形脱毛症が改善されたという報告もあるようです。
円形脱毛症と花粉症
花粉症は抜け毛・薄毛との関係が指摘されています。花粉症といえば鼻づまりや目の痒みの症状を思い浮かべますが、頭皮の痒みやむくみを引き起こすこともあり、頭皮の状態が悪いことでも抜け毛に繋がると言われています。
さらに花粉症自体が円形脱毛症同様、自己免疫疾患の一種であり、花粉症にかかっている人で円形脱毛症になる人も多いとそうです。
金属アレルギーで円形脱毛症を発症するメカニズム
円形脱毛症は自己免疫疾患の一種であり、金属から溶け出した金属イオンとタンパク質の結合で免疫反応に異常が起きると考えられています。金属アレルギーによって円形脱毛症がどのように発症するのか、そのメカニズムについて確認していきます。
金属イオン反応
イオン反応とは金属イオンが関わる化学反応の一つです。イオン化傾向が高いと他の物質と反応しやすいとされています。
銀歯などの古い歯の詰め物はイオン化傾向が高く、金属アレルギーを起こしやすいと言われています。銀歯の金属イオンが口の中で溶け出し、金属イオンが混じった唾液を飲み込んだり、口内の傷口に金属イオンが触れることで、体内に取り込まれる可能性があります。
銀歯以外にもネックレスやピアス、ブレスレットなどのアクセサリーによる金属アレルギーも有名です。
金属イオンとケラチンの結合
金属から溶け出した金属イオンは、体内のタンパク質と結びつきやすい性質を持っています。髪の毛の主成分はケラチンと呼ばれるタンパク質ですが、金属イオンとケラチンも結びつきます。
ただし金属イオンとケラチンが結びついただけでは、アレルギーを発症するとは限りません。金属イオンと結びついたケラチンが体の許容量を超えてしまうと、抜け毛の症状が引き起こされます。
免疫細胞が毛根を攻撃
金属イオンと結合したケラチンを免疫細胞のリンパ球が体の異物として判断すると、毛根のケラチンを攻撃してしまいます。毛根がダメージを受けると急激な抜け毛につながり、円形脱毛症を発症することがあります。
ダメージを受けた毛根がなかなか発毛機能を回復しないこともあります。円形脱毛症は自然治癒で治る場合もありますが、金属アレルギーが原因の場合は原因を取り除いた上で、治療を進める必要があります。
脱毛も招く金属アレルギーの原因となる金属とは
金属アレルギーにより自己免疫反応に異常をきたすと、急激な脱毛を招く恐れもあります。このような脱毛も招く恐れのある金属には、ニッケルやコバルト、クロムやインジウムなどの重金属、ヘアカラー剤に配合されている硫酸銀や硝酸銀も挙げられます。
ニッケル
ニッケルは銀歯にも使われています。安くかつ加工しやすい金属ということで、アクセサリーにもよく使われています。アクセサリー以外にも調理器具や化粧品に使われることもあり、触れる機会も多くアレルギーを発症しやすい金属とされています。
クロム
クロムも銀歯の材料になり、上記のニッケルとの合金(ニッケルクロム合金)という形で使われていることが多い金属です。クロムはさびにくいのが特徴で、様々な家庭用品のメッキにも利用されています。
金属アレルギーで問題になっているのはクロム化合物の中でも6価クロムと呼ばれているものです。6価クロムには発がん性の危険性があることも指摘されています。
硫酸銀・硝酸銀
硫酸銀や硝酸銀などの金属成分が、ヘアカラー剤、白髪染めにも含まれていることがあります。ヘアカラーや白髪染めを何度も行っているうちに金属アレルギーを発症、皮膚炎や抜け毛が起きる可能性があります。
ヘアカラー剤や白髪染めをして今まで何もなかった人も、何度も繰り返しているうちに体内で許容量を超えて脱毛などの症状を発症する恐れがあります。
市販ヘアカラー剤を使用する場合は成分にも注意し、念のためにパッチテストも行うことがおすすめされています。異常を感じたら直ちに使用を中止しましょう。
金属アレルギーによる円形脱毛症の対処法
円形脱毛症を発症して金属アレルギーが疑われる場合、アレルギー検査をすることがおすすめされています。また円形脱毛症でも生活習慣の改善や、シャンプーや育毛剤での頭皮ケア対策もおすすめされています。
アレルギー検査
アレルギーにより円形脱毛症を発症したなら、アレルギー物質を取り除く必要があります。アレルギーの元となっている物質を取り除かない限り、円形脱毛症の治療を行っても改善される可能性が低いと考えられます。
そのためアレルギー検査を受けて、どの金属でアレルギーが起きているのか、また食べ物・花粉などのアレルギーがないか調査、日頃の生活で取り除けるものは排除し、適切な治療を受けると良いでしょう。
生活習慣改善
アレルギー検査で異常があれば、日頃の生活でアレルギーの原因となるものを遠ざけるようにしましょう。
食べ物にアレルギーがある場合は食事内容に制約もありますが、栄養バランスの良い食事がおすすめされています。
免疫力の低下はアレルギー、円形脱毛症の発症とも関わると言われています。トマトやニンジン、ほうれん草やモロヘイヤには抗酸化作用があり、免疫力を高める食材としておすすめされています。
納豆やヨーグルトも整腸作用があり、免疫力を高める効果があると言われているので積極的に摂りたい食材です。ただし食材のアレルギーには気をつけてください。
睡眠不足は免疫力の低下だけでなく、頭皮の血流不足やホルモンバランスの乱れなど、健康な髪の成長にも悪い影響を与えると言われています。十分な睡眠をとることで、免疫力を高め、髪の健康への効果も期待できます。
適度な運動も免疫力を高め、円形脱毛症の原因にもなるストレスの解消にも良いとされています。疲労が蓄積するような運動の仕方は、活性酸素を増加させて免疫力を低下させる原因になると言われています。運動はほどほどにしましょう。
シャンプーでの対策
シャンプー剤の成分でもアレルギーを起こすことがあります。アレルギー体質の人はシャンプー剤に含まれている成分にも注意しましょう。頭皮ケア・ヘアケアの観点からも無添加・無香料のものが特におすすめされています。
髪をボリュームアップさせる効果のある育毛シャンプーもありますので、毛量を多く見せたいという人にもおすすめです。
育毛剤での対策
育毛剤は金属アレルギーによる脱毛症を治すものではありませんが、脱毛症の治療が順調に進み髪の毛も生えてきた状態なら、育毛・発毛促進成分配合の育毛剤がより健康な髪を育てるのに役に立つと考えられます。
育毛剤もアレルギーテストや安全性検査がしっかり行われているもの、無添加・無香料のものがおすすめです。通販専用育毛剤ではチャップアップが有名です。また円形脱毛症向けの育毛剤もあります。
金属アレルギーによる円形脱毛症の治療方法
金属アレルギーによる円形脱毛症の治療では、いわゆるAGA治療とは異なった治療法が必要になります。日常生活でアレルギーとなる物質を遠ざけるとともに、外用薬や内服薬、局所免疫療法やステロイド局所注射などの治療法が必要となります。
円形脱毛症の治療法
円形脱毛症は男性ホルモン由来の脱毛とは異なるので、AGA治療専門のクリニックではなく、円形脱毛症にも対応した薄毛治療専門のクリニックや皮膚科医に相談します。
日本皮膚科学会による円形脱毛症の治療法として最も推奨度の高い治療法に、局所免疫療法、ステロイド局所注射が挙げられています。
他には抗炎症作用や抗アレルギー作用のある薬や炎症を抑える薬での投薬治療、冷却療法や紫外線療法なども行っても良い治療法として挙げられています。ただし円形脱毛症の明確な治療法は確立されていないというのが現状のようです。
円形脱毛症の治療薬
円形脱毛症では内服薬にステロイド内服、抗アレルギー薬(第2世代抗ヒスタミン薬)、セファランチン、グリチルリチン、メチオニン、グリシン複合剤などが処方されます。
外用薬ではステロイド外用、塩化カルプロニウム(フロジン液)、ミノキシジルなどが用いられます。
皮膚科ではステロイド剤が処方されることが多いですが、ステロイド剤のみでは効果が現れないことも多いようです。
ミノキシジルは発毛医薬品としても知られている薬で、AGA治療では最も推奨できる治療法の一つとされています。強い血管拡張作用があり、成長因子の増殖と毛母細胞の活性化により高い発毛効果があると言われています。
ただしミノキシジルは円形脱毛症への効果はAGAほど高くないとされています。
一般の皮膚科で処方された治療薬では治りが悪い場合は、治療内容が豊富な円形脱毛症専門の医療機関などに相談することもおすすめされています。重い症状の円形脱毛症でも入院治療で回復に向かった例も多数あるようです。
まとめ
金属アレルギーは円形脱毛症の原因になると言われています。子供の頃虫歯治療で詰めた銀歯が、円形脱毛症の原因になることもあるそうです。
銀歯から金属イオンが溶け出すと体内に取り込まれ、毛根のケラチンと結合することがあります。金属イオンと結びついたケラチンが増えてきて許容量を超えると、免疫細胞が毛根を攻撃して円形脱毛症を発症することがあります。
銀歯以外にも日ごろ接触する家庭用品、ヘアカラー剤にもアレルギーを起こしやすい重金属が含まれていることがあります。アレルギー体質の人は注意が必要です。
銀歯によるアレルギーが原因で円形脱毛症を発症した人で、銀歯を取り除いて治療をすることで脱毛症が治ったというケースもあるそうです。治療とともに免疫力を高める食事、睡眠、運動などの生活習慣にも気を配ることがおすすめされています。
関連記事としてこちらの記事もあわせて参考にしてみてください。
・円形脱毛症の隠し方を4つ紹介!有効な治療法や治療期間について
・抜け毛は栄養不足が原因?栄養不足による抜け毛が発生しやすい人と対策方法を紹介!
・薄毛はコラーゲンで改善できる!髪の毛を太くする17型コラーゲンと合わせて摂りたい栄養素を紹介!