白髪が少しでもあると、年齢が高く見られがちです。年齢とともに避けられない現象とはいっても、白髪を減らす方法があればぜひ実践したいですね。今は白髪がない人も白髪が増えてしまう前に、白髪の原因や対策法を知っておけば役に立つでしょう。
そこでこの記事では白髪のできるメカニズムと原因、白髪を減らすと言われている栄養素や食べ物、予防となる生活習慣やヘアケア・頭皮ケア、そして白髪の良い染め方についてご紹介します。
白髪になる原因は?
年齢とともに白髪は増えることが多いですが、若い人で白髪が数本出てしまったり、いくつになっても白髪が目立たない人もいたり、個人差もあるようです。遺伝的な要因も考えられますが、他にも原因がありそうです。いったいどんなことが原因として考えられるのでしょう。
メラノサイトの機能低下
毛根の根元の膨らんだ部分を毛球といいますが、毛球部先端にある毛乳頭が、毛細血管から栄養を受け取り、毛母細胞へ指令を出して分裂させ、毛母細胞が髪の毛となります。
私たちの髪は元々は髪に色がついておらず、白髪の状態です。毛母細胞が細胞分裂して髪の毛になるとき、メラノサイト(色素細胞またはメラニン細胞)という細胞からメラニン色素が取り込まれ、髪に色がつきます。
メラノサイトの機能が低下すると髪が黒くならないまま成長し、白髪になります。
幹細胞の機能低下
バルジ領域は毛根と毛穴の中間ぐらいに位置する領域です。バルジ領域には毛包幹細胞と色素幹細胞という2つの幹細胞があり、いずれも髪の毛の生成に関わる重要な細胞です。
色素幹細胞はメラノサイト(色素細胞)の元になる細胞です。色素幹細胞が損傷するとメラノサイトが作られず髪が白くなってしまいます。
遺伝的要因
加齢とともに細胞の機能が衰えることで白髪が増えるのが一般的な傾向ですが、白髪の量にも個人差があり、遺伝的な要因も大きいのではと言われています。
また食生活や生活リズムなど、親からの生活習慣を受け継ぐこともあるので、生活習慣も要因になっているとも考えられます。
栄養不足
髪の毛はタンパク質でできていますが、その中でもタンパク質が分解されてできるチロシンというアミノ酸はメラニン色素の原料となります。タンパク質の摂取量が少ないとメラニン色素の元となるチロシンが不足し、白髪の原因になります。
ビタミンB7(ビオチン)や各種ミネラルもメラニン色素や色素細胞の生成、髪が健康に育つことと関わっており、不足すると白髪の原因になります。
睡眠不足
睡眠中は細胞を修復する作用のある成長ホルモンが分泌され、成長ホルモンが髪を健康に成長させる作用があります。睡眠不足だと髪の色と関わる細胞のメラノサイトの機能が低下し、白髪の原因になる可能性があります。
また睡眠不足だと血液の流れが悪くなりやすく、血流が悪くなると血液中の栄養が髪に行き渡らず、メラノサイトの機能が低下することが考えられます。メラノサイトだけでなく、毛母細胞の分裂にも影響があり、抜け毛の原因ともなります。
ストレス
ストレスは自律神経の働きを阻害し、睡眠不足の原因になったり、血流を悪くする可能性があります。血行が悪くなれば髪に栄養が行き渡らないので白髪・抜け毛の原因になります。
置かれている環境によっても難しいかもしれませんが、ストレスは心の健康にも身体の健康にも良くありません。ストレスをためやすい人、たまりやすい人はなるべくストレスを解消・解決できるようにした方が良いでしょう。
紫外線による活性酸素の発生
紫外線を浴びると活性酸素が発生し、色素幹細胞のDNAに悪影響を与えると言われています。特に頭頂部の頭皮は紫外線にさらされやすく、頭皮の皮膚は日焼けや乾燥などダメージを受けやすい部分でもあり、抜け毛を心配している人にも気をつけてほしい場所です。
白髪を食事改善で減らす方法
栄養不足は白髪の原因になります。白髪になりにくい、髪の毛を黒くする作用のある栄養素を摂取するようにして、白髪を減らし髪の健康を保つようにしましょう。白髪予防におすすめな栄養素と食べ物を紹介します。
タンパク質
髪の材料はタンパク質です。体内に取り入れられたタンパク質は、分解されてアミノ酸になります。そして各種アミノ酸から再合成され作られた、ケラチンというタンパク質が髪の主成分となります。
アミノ酸の中でもチロシン、フェニルアラニンというアミノ酸が白髪改善に良いとされています。
チロシンはメラニン色素の原料になるアミノ酸で、大豆製品やプロセスチーズ、かつお節、高野豆腐などに含まれています。
フェニルアラニンは必須アミノ酸であり、体内で合成されないため食品からしか摂取できないアミノ酸です。フェニルアラニンはチロシンの原料となり、大豆製品やプロセスチーズ、かぼちゃ、牛乳、卵、魚などに含まれています。
ビタミンA
ビタミンAには細胞の老化を招く活性酸素を除去する働きがあります。活性酸素が増えすぎると幹細胞にダメージが与えられると言われています。レバー、うなぎ、卵、緑黄色野菜などに多く含まれています。
ビタミンB7(ビオチン)
ビタミンB群は毛母細胞の分裂を活性化させたり、頭皮の皮脂分泌をコントロールするなど健康な髪を育てるのに特に重要な作用のあるビタミンと言われています。
その中でもビタミンB7(ビタミンH)のビオチンを摂取することで、白髪対策にもなると言われています。ビオチンは卵や大豆製品、レバー、乳製品、ほうれん草などの食べ物に含まれています。
ビタミンC
ビタミンCは活性酸素を除去する働きがあり、コラーゲンの生成にも関わってハリのある健康な肌を作る作用もあります。キウイ、アセロラ、グレープフルーツ、オレンジなどの果物、ブロッコリー、赤ピーマン、黄ピーマンなどの野菜に多く含まれています。
ビタミンE
ビタミンEも活性酸素を除去する働きがあり、アンチエイジング効果の高いビタミンと言われ、化粧品にも使われています。ビタミンEはナッツ類、アボカド、植物油などに多く含まれています。
亜鉛
ミネラルの一種である亜鉛には、髪を黒くする成長ホルモンの分泌を促す作用、メラニン色素の生成を助ける作用などがあり、白髪予防と抜け毛予防にも効果があると言われています。牡蠣、ごま、卵、わかめなどに含まれています。
納豆
日本人の朝食に馴染みのある納豆は、大豆製品ですから植物性タンパク質が豊富です。タンパク質以外にもビタミンE、亜鉛が含まれており、白髪の予防に効果的な食べ物と言われています。
海藻類
わかめ、昆布、ひじきなどの海藻類にはヨードが多く含まれています。ヨードには細胞の代謝を良くする働きがあり、髪を黒くするメラノサイトを活性化する作用があります。特にひじきにはたんぱく質、亜鉛も多く含まれていて、積極的に摂りたい食べ物です。
白髪を生活習慣改善で減らす方法
不健康な生活も白髪を招くと言われています。血流が悪かったり色素幹細胞にダメージを与えるような活性酸素を作らないよう、日頃の生活で注意する必要があります。白髪予防・対策に効果的な生活についても確認しておきましょう。
質の良い睡眠をとる
抜け毛予防や肌・髪の美容、筋力トレーニングの記事でも、睡眠時間を確保すること、質の良い睡眠をとることは重要視されています。
睡眠中に分泌される成長ホルモンは細胞を修復し、筋肉や骨を作り、老化を防ぐ、代謝を良くする作用があります。成長ホルモンが分泌されることで黒髪の元となるメラノサイトを活性化させ、白髪の予防にもなりますが、分泌量は年齢とともに減ってしまいます。
成長ホルモンが十分に分泌されるようにするには、睡眠時間が短くならないように、深い眠りにつくよう意識することが重要です。また筋トレも成長ホルモンの分泌を促します。
適度な運動習慣
運動不足で体内の血流が悪い状態だと、血液中の栄養が髪に十分行き渡りません。適度な運動は血行を良くするので、運動不足な人、肩や首の凝り、冷え性の人は体を動かすことを意識しましょう。
激しい運動は体内の活性酸素を増やす原因になるので避け、ウォーキングや軽いランニング、室内では血行を良くするストレッチやヨガなど、適度な運動が良いでしょう。
紫外線対策
体を外部の攻撃から守る作用のある活性酸素は、増えすぎるとかえって体にとって害があります。紫外線には体内の活性酸素を増やす作用があり、活性酸素が増えすぎると色素幹細胞がダメージを受ける可能性があると言われています。
紫外線を長時間頭皮に浴びることで、頭皮の肌がダメージを受けてしまい、乾燥しやすい状態になります。また頭皮の皮膚に炎症などトラブルが起きると、抜け毛や薄毛になる可能性もあるので、髪にとっても紫外線を長時間浴びることは好ましくないようです。
帽子や日傘、UVカットスプレーなどで紫外線を多く浴びすぎないよう、紫外線の多い季節は特に注意した方が良いでしょう。
ストレス対策
ストレスは睡眠不足や血流を悪くします。ストレス対策をすることで白髪を含む髪の健康対策になるでしょう。
学校や職場、家庭、プライベートでの交友関係など、ストレスにはさまざまな原因が考えられます。避けようのないものは仕方がありませんが、原因となるものを取り除くことができるのであればそのようにし、精神的な負担を軽くしましょう。
白髪をヘアケア・頭皮ケアで改善する方法
血流が悪いと栄養が細胞や髪に十分行き渡らず、白髪や抜け毛の原因にもなります。白髪の予防対策に、日頃のシャンプーやヘアケア・頭皮ケアでの血流改善がおすすめです。シャンプー時や前後に、日々の習慣にしていきましょう。
シャンプーで髪と頭皮のケア
シャンプーは日々行えるヘアケア対策ですが、髪や頭皮の汚れを落としてきれいにするだけでなく、血行を良くすることも意識すると白髪対策、抜け毛対策にもなります。シャンプーで髪を洗うとき頭皮をマッサージしたり、マッサージブラシを使うことで血流が良くなります。
炭酸シャンプーは普段のシャンプーで落としきれない頭皮の汚れを落とし、血行を良くすることで白髪・抜け毛予防の効果が期待できます。
また女性向けのharu黒髪シャンプー(本体価格3,600円)のように、メラニンを活性化させる成分も入っている白髪予防・育毛シャンプーもあります。
またシャンプー剤を使わずにお湯だけで洗う「湯シャン」が、白髪予防に効果的という情報記事も見かけられます。乾燥しやすい髪や頭皮のダメージを回避させることはできそうですが、血流が改善されるわけでもないので、白髪対策になるのかは疑問の声も出ています。
またシャンプーを使わないことで頭皮環境が悪くなることも予想されます。白髪が減ったとしても髪や頭皮に悪い影響も考えられます。毎日湯シャンのみは避けた方が良いでしょう。
頭皮マッサージの方法
頭皮の血流を良くするマッサージの方法を紹介します。基本は下から上へ、髪の生え際から頭頂部の方向へとマッサージしていきます。両方の手を広げて頭をつかむようにし、指の腹で頭皮を円を動かすように動かすようマッサージします。
こめかみやおでこ、襟足のそれぞれの生え際から頭頂部へ向かって、少しずつマッサージする場所を移動していきます。
血流を改善し、白髪予防、抜け毛予防などに効果があると言われる百会や防老、風池や天柱のツボ押しも効果的です。百会は血流を良くして精神安定にも効果がある万能ツボで、頭頂部、両耳を結んだラインの真ん中あたりにあります。百会より2、3cm後ろ側にあるのが防老です。
風池は襟足の生え際にあり、後頭部真ん中のくぼみと耳の後ろの骨を結んだラインの真ん中に左右に2箇所あります。風池より少し内側の、首の後ろ側にある2本の太い骨のすぐ外側に左右に2箇所あるのが天柱です。首の後ろのツボは親指で押すと押しやすいです。
おすすめの白髪染めの方法は?
白髪を予防対策する方法を実践しつつ、白髪染めもきれいに染めてきれいな髪をキープしたいですね。白髪を目立たなくする良い染め方はどんな方法なのでしょうか。おすすめの白髪染めの方法を紹介します。
美容院でのカラーリング
白髪染めは難しく、セルフカラーはよほど慣れていないとムラが出たり、思うように染まらないこともあります。きれいに染めたいなら美容院で美容師さんにカラーリングしてもらうのがおすすめです。色味の調整もしくれて、きれいに染まります。
自分で染める方が節約になりますが、伸びて気になる部分のみリタッチカラーをすれば、通常のカラーリングより安く済ませられます。
とは言ってもあまり頻繁に美容院に行くのも難しいでしょう。理想は1~2か月に1度、その間に白髪が気になるようなら美容院に行くまでは市販の毛染めで部分染めしたり、髪用のマスカラやヘアカラースプレーで一時的にしのぐこともできます。
白髪染めのカラー剤
白髪染めもアルカリ性のカラーリング剤が一般的、退色もしにくく色持ちが良いです。カラー剤の質にもよりますが、髪や頭皮へのダメージは他のカラー剤よりあるようです。
ヘアマニキュアは髪の表面に色をつけるタイプ、頭皮がデリケートな人はアルカリカラ―よりおすすめされますが、色が落ちにくいこと、パーマがかかりづらいのがデメリットです。
徐々に染まるヘアマニキュアとして、白髪染めシャンプーもあります。素手で使えて、シャンプーは毎日行う人が多いのでシャンプーと毛染めが同時にできるのが便利です。ただし発色には個人差があり、使用後の写真のようになるかは髪色、髪質にもよるでしょう。
ヘナもマニキュアと同じように髪表面に色をつけるもので、発色は良くないですが天然素材で髪を傷めにくいと言われています。しかし市販で売られているものは酸化染料の入ったものが多いらしく、髪へのダメージが少ないとは言い難いのが現状のようです。
明るいヘアカラーにする
白髪を染めるという発想ではなく初めから髪を明るいカラーにすることで、白髪が出ても目立たなくすることができます。ライトブラウン系でやブラウンベースに明るいカラーをウィービングで入れると、白髪が少し出ても目立ちにくいです。
まとめ
白髪が生えてしまうのは、髪に色をつける細胞のメラノサイトや色素幹細胞の機能の低下が原因です。加齢による細胞の機能の低下も考えられますが、遺伝的要因、栄養不足、睡眠不足、ストレス、紫外線による活性酸素なども白髪を引き起こすとされています。
白髪を減らす方法として、髪を黒くし、白髪予防になる栄養を摂取することが挙げられます。白髪に良い栄養は髪の元となるタンパク質、ビタミンA、B、C、E、亜鉛です。
タンパク質は肉や魚、卵、ビタミンは緑黄色野菜、レバー、果物、ナッツ類、亜鉛は牡蠣などに多く含まれていますが、特に納豆、海藻類は白髪に良い食べ物として知られています。
食生活以外にも質の良い睡眠、ストレス対策、紫外線対策も白髪の予防対策となります。シャンプーや頭皮マッサージで、頭皮の血流を良くすることも白髪の改善につながります。白髪染めは髪や肌に優しいものを選び、ツヤのある黒髪を目指したいですね。
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