M字ハゲ、頭頂部ハゲなど数あるハゲという言葉はありますが台湾ハゲという言葉を聞いたことはありますか?
差別用語ともなるこの言葉は現在では使用されなくなっています。
テレビではもちろん放送使用禁止ですし、日本の政府機関である文部科学省のHPの検索ワードでもNGワードとして扱われています。
今日はみなさんに誤解のないように、台湾ハゲという言葉の正しい意味と、使われなくなってしまった変遷について紹介していきます。
目次
台湾ハゲとは
台湾ハゲとは1800年代後半に使用されていた非常に古い言葉です。
この言葉の意味や使用されていた時代の背景について紹介していきます。
台湾ハゲは円形脱毛症
当時ハゲといえばつむじハゲや前頭部からのハゲが一般的であると認識されていました。
昔頭髪の問題にあったものとしては毛じらみやかゆみの問題、臭いの問題と現在でも問題となっているAGAの男性型脱毛症の薄毛の問題でした。円形脱毛症もありましたが、そこまで深刻な問題ではなかったようです。
しかし、日清戦争で台湾を一時植民地とした時代がありました。
このときに出征していた兵隊たちが次々にストレスの影響か、円形脱毛症を発症させてしまい、この現象を台湾の伝染病の影響であると考えた日本人は「台湾ハゲ」と呼ぶようになったとされています。
台湾坊主という言葉もあった
台湾坊主とは円形脱毛症が坊主頭に発生している状態のことです。
坊主で円形脱毛症になると非常に目立つので、このように表現されていたのでしょう。中国医学では円形脱毛症のことを鬼剃頭と俗称で呼ぶこともあります。
台湾坊主は他の言い方では禿頭病(とくとうびょう)とも呼ばれ、台湾特有の病気であると考えられていました。
現在では台湾に関係なく発生する症状であるとわかっているので、台湾ハゲ、台湾坊主、禿頭病などという呼び方は使われなくなりました。
むしろ差別用語や偏見を招くことになってしまう言葉ですので使用しないようにしましょう。
台湾低気圧の俗称という意味も
台湾坊主には台湾低気圧の俗称としての意味もあります。
台湾沖で発生した低気圧の渦が坊主頭に似ていることからそう呼ばれていましたが、気象情報の用語としては適切でないことから気象庁での気象予報用語としては台湾低気圧→南シナ海低気圧→南岸低気圧と変更されることとなりました。
その他の偏見用語
偏見や間違った当時の認識の影響で生まれた言葉が他にも存在します。いくつか紹介していきます。
香港脚
中国語で(シャンカンチャオ)と発音されるこの言葉は日本語に訳すと水虫という意味になります。香港は高温多湿の地域に位置しているので、水虫になりやすい傾向にあります。
その影響で水虫の人が多かったことからこの呼び名がついてしまったのでしょう。
蒙古痴呆症
現在のダウン症の意味です。蒙古とはモンゴルを指す言葉です。
元はダウン症を研究していた医療従事者がヨーロッパでモンゴロイドというふうにダウン症のことを呼んでいたことを受けて、日本でも蒙古痴呆症と呼ばれるようになりました。
つり目で鼻が低く直毛で小柄の体型という特徴からモンゴル人の特徴と関連づけられていたためです。1965年頃からモンゴル政府が国連への抗議を行なった末にこの言葉は使われなくなりました。
円形脱毛症の原因について
昔は台湾ハゲと呼ばれることもあった円形脱毛症ですが、現在ではいくつかの原因が明らかになっています。
円形脱毛症が発生してしまう原因について見ていきましょう。
ストレス
まず大きな原因が環境の変化などに対応できずに身体的にストレスが蓄積してしまうことが原因ということが挙げられます。
日本では人間関係でのストレス、引越しなどでの生活環境の変化でのストレス、稀に季節の変化でのわずかなストレスでも発生しやすくなるというケースもあります。
ストレスが蓄積してしまうことで体のホルモン調節機能や血流不良などが発生し、髪の毛の成長を低下させ、ヘアサイクルが乱れます。
当時の台湾での生活環境の変化や、戦争などでのストレスから兵役している大勢の兵隊に強いストレスがかかっていたことが想像できます。
自己免疫疾患
自己免疫疾患はアトピーやアレルギー症状などを引きそこしてしまう免疫機能の障害のことを指します。
本来であれば、害となる菌やウイルスなどに対抗するために存在している免疫細胞が、体に害を及ぼすことのない、髪の毛の毛乳頭細胞や毛母細胞、花粉やタンパク質などの物質に反応して過剰に免疫機能を働かせてしまい、細胞を攻撃し脱毛やアレルギー反応を発生させます。
ストレスの影響でホルモンバランスや自律神経が乱れてしまうと、さらに自己免疫疾患が強く発生しやすくなるので、ストレスとの相互作用もあります。
アレルギーやアトピーを持っている
生まれつきや後天的にアレルギーやアトピーを持っている場合、円形脱毛症が発生する可能性が高まります。
これは上記でも紹介したように、自己免疫疾患が円形脱毛症の原因になっているからです。
特にアトピー性皮膚炎が発生している人には円形脱毛症の患者が多いと言われていて、円形脱毛症の発症者の半数近くはアトピー性皮膚炎の素因を持っているというデータが出ています。
まだこの因果関係は全てが明らかにされている訳ではありませんが、今後さらなる関係性が浮かび上がってくるでしょう。
遺伝
遺伝の影響で円形脱毛症が発生する可能性が高まります。
これは両親が過去に円形脱毛症になった経験がある、ということもそうですしアトピー素因やアレルギーを持っているかどうかかも関係しています。
両親の片方がアレルギーやアトピー誘引を持っている場合30%の確率で遺伝され、両親から遺伝の可能性があるのであれば50%の確率で遺伝する可能性があります。
その他の原因
ストレスや自己免疫疾患以外でも、特に若い子供は栄養不足や睡眠不足の影響などでも円形脱毛症が発生することがあります。
特に現在では現代型栄養失調という症状が発生していて、偏った食事の影響で栄養失調の症状が発生してしまうケースが増えています。
栄養は一つでは十分機能しません。合わせてバランスよく摂取することで機能を保つことができるので飽食の時代でも栄養失調になってしまうことがあるのです。
この影響や睡眠不足でさらに成長ホルモンが十分に分泌されずに髪の毛の成長不足につながります。
この問題はストレスに弱くなっている状態でもありますので円形脱毛症へと繋がってしまうのです。
現在、アレルギーを持っている子供はここ10年間で2倍になったとも報告されています。結果的に円形脱毛症になる子供も増えていますので保護者の方は注意が必要です。
円形脱毛症の種類
円形脱毛症にはいくつかの種類があります。
昔台湾ハゲと呼ばれていた時代にもおそらくいくつかの種類の円形脱毛症が発生していたでしょう。
自然に完治するものから、治療が難しいものまでありますのでどんな円形脱毛症に注意しなければいけないのかを知って判断していきましょう。
単発型
頭部の一箇所のみに円形脱毛症が発生しているタイプのもので、もっとも発生確率が高いとされている一般的な円形脱毛症です。
原因の多くはストレスであることが多く、こどもから大人まで幅広い年代に発生する可能性のある脱毛症です。
特に男女比率も変わらず誰にでも発生する可能性のある脱毛症です。
8割ほどの患者が1年以内に完治しますが、再発の可能性も高い症状です。子供で再発を繰り返すことが多くありますので、根本となる原因への対策・改善が必要になります。
自然治療が可能な脱毛症であり、原因が明らかである場合には大規模な治療は必要としません。
多発型
二箇所以上頭部に円形の脱毛症が発生している、2個の円形脱毛症が繋がって大きな楕円形の脱毛になっている場合に診断される円形脱毛症です。
適切な治療を必要とする脱毛症となります。多発型に比べて完治までに時間がかかり、長ければ2年近くの治療期間を必要とすることもあります。
専門的な治療を必要としますのですぐに専門病院を受診しましょう。
蛇行型(だこう)
襟足の部分や後頭部に蛇が通った後のように波打って薄毛が帯のように発生する脱毛症です。
これ以降の薄毛の治療はかなり困難になります。全体でも完治確率が50%以下とされています。
治療期間も複数年かかる見込みとなり、ウィッグやカツラなどのハゲを隠すアイテムも必要になります。
治療の成果なく髪の毛が抜ける状態が続き、全頭型の脱毛症に繋がってしまうケースもあります。
全頭型
頭の髪の毛が全て抜け落ちてしまう脱毛症です。
単発性の円形脱毛症から徐々に酷くなって、全頭型に発展してしまうものです。数日間をかけてどんどん髪の毛が抜けていくので、かなりのストレスと驚きがあるでしょう。
カツラやウィッグなどを使用して長期的な治療を進めていく必要があり、根気がいります。
治療の目処が立たずに髪の毛がないことを受け入れる患者もいらっしゃいます。
凡発型
頭の毛だけでなく、体の毛まで全てが抜け落ちてしまう脱毛症です。
もっとも難治性の症状で、完治した例もほとんどないと言われるくらいの脱毛症になります。
保険適用とならない治療も多く、大きな額の治療費と長い長い時間が必要になります。治療をしなくてはいけないということで、髪の毛がないことを病気や悪いことと認識してしまって精神的にうつ病になってしまうことも少なくありません。
どうして全ての毛が抜け落ちることに繋がってしまうのか原因が明らかになっていないこともあり、確実に治療で治せるようになるのは先の話になりそうです。
円形脱毛症の治療には保険が適用されない!?
治療を薄毛専門のクリニックやAGAクリニックなどで行う場合には保険が適用外となることああります。
しかし、専門の診療科である皮膚科での治療の場合には保険適用内での治療を受けることができます。主にステロイド治療や冷却治療や外用薬や内服薬を使用した治療ですね。
しかし医療用ウィッグや円形脱毛症の治療に効果の高いとされている局所免疫療法などの治療で保険適用での治療が受けられません。自己負担での自由治療になるので治療費が高くなります。
髪の毛はなくたって生きていけるという判断から保険が適用とならない難しい問題があるようです。しかし髪の毛がないことへの偏見や周囲の目は冷たく、生き辛かったり就活などのシーンで不利になることは確か。この問題は一刻も早い解決が望まれます。
有効な対策方法は?
もし円形脱毛症が発生してしまった場合の対処法について紹介します。
昔は疫病と考えられていたので、対策法の検討もつかなかったでしょうが、現在ではこんな自己対策法があります。
子供や自分に薄毛が発生してしまった時の対策に役立ててください。
ウィッグなどの使用する
現在では円形脱毛症用の部分ウィッグ、部分カツラも開発され販売されています。
テープで頭皮に直接貼りつけるもので、自分の髪質にあったものを貼り付けてカットすることで自然にして使用します。
薄毛の発生している部分が一箇所である場合にはこの部分ウィッグが隠すのには有効でしょう。
周囲にバレている、見られていると感じることはストレスにもなりますのでそのストレスを軽減して回復に繋げましょう。
シャンプー剤などの変更
円形脱毛症がシャンプーの影響で発生していることは考え辛いですが、シャンプーには防腐剤や強い洗浄成分が含まれている商品が存在します。
これらの商品はアレルギーを引き起こしてしまう原因にもなりますので刺激の少ないアミノ酸洗浄成分のシャンプーに変更することをおすすめします。
頭皮への刺激を抑えるとともに、皮脂の分泌も正常にして感想を防ぎ、頭皮の状態を改善して髪の毛の成長サイクルを正常にしていくといいでしょう。
ストレスの発散
円形脱毛症を治療する上で、ストレス管理を行うことが非常に重要です。
ストレスの影響で免疫機能が暴走していることが原因で円形脱毛症が悪化していく可能性が高まりますので、ストレスをできるだけ発散して治療をしていくことが必要になります。
オススメのストレスの発散法としては、適度な睡眠、運動、読書、入浴がオススメです。
特に運動と読書はストレスの発散効果も高く、運動不足の改善や物事に対する集中力が高まることでストレスが蓄積しづらくなる効果も期待できます。
ストレスの発散とストレス耐性の向上の両方が行えることで相乗効果があります。
しっかりストレスを管理して薄毛の問題に繋がらないようにしましょう。
まとめ
台湾ハゲは1890年代に植民地化していた日本が台湾に赴いた際に流行した円形脱毛症が原因で、台湾の疫病が原因であると誤認されて呼ばれていた俗称です。
現在ではテレビはもちろん、ネット内でも放送禁止用語となっていますので、安易に発言して世界の国の人に不快な思いをさせないように注意しましょう。
円形脱毛症は誰にでも発生する可能性のある脱毛症です。俗称で相手を揶揄してからかうのはよしましょう。
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