白髪って気になりますよね。髪の毛に何本か混じっているだけで老けて見られますし、見栄えも決して良くはありません。
白髪を止めるための外用薬や飲み薬というのは開発途上で、治療薬が手に入るのはまだもう少し先になりそうです。今回は、白髪にまつわる嘘と本当、そして白髪の本当の原因と予防方法や対策についてみていきましょう。
目次
白髪にまつわる迷信
生えてきた白髪をとりあえず抜く、というのは手立ての1つのように思えます。
しかし白髪には科学的な根拠のない迷信や嘘がいくつかあります。白髪の原因と対策についてお話していく前に、白髪にまつわる嘘と本当をはっきりさせておきましょう。
白髪を抜くと増えるのか
白髪を抜いたら、白髪が増える、という事実はありません。白髪の原因は1本1本の根元、毛根に備わっている細胞であり、1つ1つの毛穴に原因があります。一部分の白髪を抜いてしまうことで、それが周りの毛穴にまで広がるということはないのです。
そもそも髪の毛は、その色味を出すメラニン色素によって、茶色や黒色をしています。メラニン色素不足が白髪の原因です。
白髪に対する認識と根拠
それではなぜ、白髪を抜くとさらに白髪が生えてくるなどと、私たちは考えてしまうのでしょうか。それは白髪を普段から意識し、さらにそれを抜くという行為によって、そのあと白髪がどうなるかという意識が強まり、普段から自分の髪を意識してしまうタイミングが増えるためです。これはカラーバス効果と呼ばれています。
私たちはまた、「白髪を抜くとさらに白髪が生えてくる」という先入観から、白髪ばかりを意識し、それで「白髪が生えている、きっと増えたんだ」という誤った判断を下すわけです。これは確証バイアスと呼ばれ、私たちの物の見方が偏りやすいことを示しています。
白髪は抜いたらシミができる
白髪を減らすために白髪を抜きますが、抜いて増えることがなくても、減ることもないのです。白髪を抜いても、その後からまた生えてくるからです。毛母細胞と呼ばれる髪の毛の細胞はすでにメラニン色素を生成しないため、抜いた毛穴からはやはり白髪が生えてきます。
ですから「白髪が増えることはないが、対策をしないかぎり減ることもない」というのが白髪の真実なわけです。
白髪を抜くことで頭皮が傷ついて、炎症を起こすことがあります。この炎症によって、メラニンが分泌され、肌に付着すると頭皮にシミができてしまいます。これは色素沈着と呼ばれています。頭皮が荒れ、シミができ、発毛に必要な栄養が届かなくなったりすると、薄毛や脱毛など、予期せぬ髪トラブルにつながってしまいます。
そもそも白髪もまとまった量があれば抜こうとは思いません。少量だから、つい抜こうとしてしまうのです。抜いても減るわけではないですし、髪と頭皮の健康を悪化させないためにも、白髪を抜くことは控えましょう。
ほくろに生える白髪が気になる
ほくろに生えてきた白髪は果たして抜いていいものでしょうか。ほくろ自体は皮膚の腫瘍とされていますが、良性で特に害はありません。ただ、そのほくろが皮膚表面の悪性の腫瘍(メラノーマ)だった場合には刺激すると症状が悪化するため、安易にほくろに生えた毛を抜くべきではありません。
通常はハサミなどで毛をカットするのが安全です。それでも気になるようであれば、ほくろの相談もかねて皮膚科に行くことをオススメします。
白髪とは何か
髪の毛に混じる、あの白髪はいったいなんでしょうか。どういう理由で白髪が生えてくるのでしょうか。
それを知るためには、髪の毛がそもそも生えてくるメカニズムを簡単に知っておく必要があります。ここでは、それをご紹介します。
黒髪が生えるメカニズム
通常の正常な髪の毛が生えてくるまでには、いくつかの細胞が関わっています。髪は頭皮の下にある毛球部という、植物でいうところの球根のような場所で生まれてきます。
さらにそこには毛乳頭という器官があり、毛細血管からの養分をたくわえてくれています。この毛乳頭を囲むように、髪の毛をつくってくれる毛母細胞が存在します。毛乳頭から栄養をもらって、どんどん細胞分裂して、髪の毛がつくられていくという仕組みになっています。
白髪が生えるメカニズム
実は髪の毛は、もともと白髪なのです。毛母細胞は白髪しか作れないからです。そこに色味を加えていくのが、色素細胞もしくは色素形成細胞(メラノサイト)と呼ばれる細胞です。この色素細胞がメラニン色素を出してくれるおかげで、私たちの髪は黒だったり、茶色だったりするのです。
髪の毛が抜けるとき、色素細胞までも失われてしまうのですが、通常はふたたび補われて、次に生えてきた髪の毛もメラニン色素を有しています。しかし、何らかの事情で色素細胞が補われないままだと、白髪が生えるようになります。どのような仕組みで色素細胞が現れるのか、最新の研究でも詳細は不明ですが、その原因はいくつか挙げられます。
次は、白髪になってしまう原因を見ていきましょう。
白髪の原因
黒髪になっているのは、メラニン色素とそれを生成する色素細胞があるおかげです。メラニンン色素不足と色素細胞の機能不全が原因で、白髪が生まれてしまうのです。
白髪の原因はどのようなものがあるか、1つ1つ見ていきましょう。
メラニン色素の材料がない
メラニン色素の材料となる物質が不足していれば、当然髪の毛の色を保つことはできません。その物質は、チロシンと呼ばれています。
このチロシンを色素細胞がチロシナーゼという酸化酵素に変えて、メラニン色素を作り出していきます。チロシン自体はアミノ酸ですが、これを含む食品が足りていなければメラニン色素を作り出すことができません。ちなみに、チロシンはたらこ、しらす、チーズなどの動物性たんぱく質に豊富に含まれています。
メラニン色素をつくれない
チロシンは、非必須アミノ酸であり、体内で合成することもできます。よほど偏った食事だったり、食事量が少なすぎたりしない限り、チロシンが不足することは考えにくいです。
メラニン色素をつくれない理由のもう1つは、メラニン色素をつくる色素細胞自体の機能不全です。この色素細胞が弱ってしまう原因を1つ1つ見ていきましょう。
食事や生活習慣
まず、栄養不足や食生活の乱れなどの食事面の見直しは必要です。ビタミンやチロシンを含むアミノ酸やビタミン類は、すべて色素細胞や毛母細胞の動力源となります。
また、毛穴の詰まりや刺激の強いシャンプー・整髪剤などは、頭皮環境にダメージを与え、正常な細胞の働きを阻害してしまいます。同じように、乾燥や紫外線なども頭皮にとっては都合が悪いので、ケアを欠かさないようにする必要があります。
睡眠不足や夜更かしなどもまた、白髪を悪化させる原因です。とくに、副交感神経が働くのは夜の21時以降で、髪が成長する時間帯でもあります。睡眠時間が遅くにずれ込んだり、不規則だと好ましくありません。
過酸化水素は、メラニン色素を壊し、チロシンからつくる酵素のチロシナーゼの形成を阻害するため、黒髪を作り出す機能が失われてしまいます。過酸化水素は、外から取り込まれることもあれば、体内に発生することもあります。
過酸化水素はホワイトニング剤入りの歯磨き粉、髪の毛を脱色するブリーチ、白髪染め用のヘアカラーにも含まれます。皮膚からでも、口からでも外から取り込んでしまえば体内に蓄積されていくため、こういったものの利用を避ける必要があります。
精神的ストレス
いわゆるストレスよって活性酸素が発生することで、色素細胞を機能不全にさせてしまいます。また、ストレスによって分泌される神経伝達物質ノルアドレナリンには、血管収縮作用があります。これはチロシン(アミノ酸)やメラノサイトに影響を及ぼします。また、自然治癒力が低下することから、髪への悪影響も増大します。
白髪になる病気
血液循環に関連する病気が白髪を引き起こしやすいと言われます。たとえば、女性の場合、初潮、出産、閉経時に、血液が失われ不足するときに髪の栄養が行き届かなくなり、白髪につながると言われています。
また、ブドウ膜炎の一種である「原田病」は目の病気ですが、頭痛やめまい、微熱からはじまって、網膜剥離、髄膜炎、難聴、さらに脱毛や白髪も生じると言われています。これは症状が重くなる可能性があるということと、色素細胞に対する自己免疫疾患(免疫が自分の体を誤って攻撃してしまう、いわゆるアレルギー反応)でもあり、白髪の発生とかかわりが深い病気です。
甲状腺ホルモンの分泌が減ることで、白髪が症状として現れることがあります。このような甲状腺疾患は、自己免疫疾患で、自己抗体が過剰に作られることがその原因なのです。多汗、手先のふるえ、体重の減少、動機などの亢進症と、物忘れ、便秘、体重増加などを症状とする低下症の2つに分けられ、白髪は甲状腺低下症のときに現れます。
遺伝
統計的には遺伝と白髪に相関関係が認められているようです。その医学的根拠はいまだはっきりしていませんが、最新の研究では、線維芽細胞増殖因子という成長因子をつくっている遺伝子と色素細胞の増殖や自然死の能力に関係があるのではないか、といわれていて、将来の「白髪止め」「予防薬」の開発が期待されています。
白髪を改善する対策方法
根本的にどうにかしたい、白髪を治す薬があれば、と思うところですが、現時点では開発途上です。将来的には白髪を改善してくれる薬が出てきてくれるのを待ちたいですが、それまでは今のところ分かっているやり方で、白髪対策をしていきましょう。ここでは、予防方法や改善方法についてお話します。
栄養摂取による対処
特定の栄養素は、メラニン色素の生成に欠かせません。とくにメラニン色素の材料となるアミノ酸の一種チロシンは積極的に摂取するよう心がけるとよいでしょう。チーズ、たらこ、しらす、それから大豆にも含まれています。
女性の場合は、女性ホルモンであるエストロゲンの減少が白髪を増加させるとも言われています。ホルモンは体の中で分泌されるものですので直接補うことは難しいですが、それに似た働きをする大豆イソフラボンで女性ホルモンの分泌を促すことができます。大豆にはチロシンも含まれていますので、アレルギーなどがなければ積極的に摂っていきたい食品です。
また、毛母細胞や色素細胞の働きに欠かせないビタミンもバランスよく摂取することが必要ですが、とりわけビタミンBのなかでもビタミンB6とビタミンB9はチロシンの吸収も高めてくれると言われています。
ビタミンCはフルーツや野菜に多く含まれていますが、その抗酸化作用によって体内に取り込んでしまった過酸化水素や活性酸素を分解してくれる働きがあります。肌の働きにも好影響を与えてくれますので、ビタミンCは積極的に摂取しましょう。
また、銅は、チロシンと同じようにメラニンの生成を促してくれると言われ、大豆や大豆製品に多く含まれますので、黒髪を増やしていくために意識して摂取すると効果を得られる可能性があります。
海藻類に含まれるヨウ素も有効です。海藻類が髪にいいというのは昔から言われていますが、色素細胞の働きを活性化してくれる効果がありますので積極的に食べていきたいものです。
このようなビタミン類や栄養素を食べ物からとれない場合にはサプリメントも利用しながら、バランスの良い食事で黒髪を目指しましょう。
育毛剤やヘアトニックの効果
育毛剤やヘアトニックには白髪を直接減らしたり予防するような効果はありません。ただ、頭皮環境が改善した結果、黒髪が生えてくる可能性があります。死んでしまった色素細胞を蘇生することはできませんが、乾燥をケアし、頭皮の血行を改善することで予防に繋がったり、進行を食い止められるでしょう。
血行促進作用のあるヘアトニックは多く販売されていて、薄毛や弱った髪の毛にも効果はありますので、試すのもよいかもしれません。
成長ホルモンの分泌を増やす
加齢や老化に伴い、30歳を過ぎたころから、分泌される成長ホルモンが著しく減少します。このことが、白髪発生と関連があると言われています。ただし、成長ホルモンというのは基本的には外部から取り入れることは困難なので、なるべく分泌しやすい状態をつくっていく必要があります。
成長ホルモンは睡眠中に多く分泌され、脂肪を分解し、筋肉をつくり、アンチエイジング効果があると言われています。ですから、まず成長ホルモンが出る時間帯をしっかり確保するためにも、睡眠を規則正しく、十分とることを心掛けましょう。
そして、成長ホルモンが分泌されるためには、一定以上の強度の運動を行うことが重要です。筋力トレーニング、いわゆる筋トレをした後には成長ホルモンが多く分泌されます。この成長ホルモンは、記憶力を高め、骨粗しょう症を防ぎ、免疫を正常化し、女性であればしなやかな(男性であればたくましい)体をつくる役に立ちます。
筋トレを習慣的に行えば、白髪予防になるだけでなく、美しい体のラインをつくり、筋肉と骨の質を高め、また脳の働きも活発にして、普段の生活のあらゆる面で健康的で元気に過ごせるようになるでしょう。男性はもちろんですが、美と健康に役立つことから、女性こそ筋トレの効果を享受していただきたいものです。
さらに成長ホルモンを分泌するのに効果的なのは、断食だと言われています。断食は数日間水以外摂取しない厳しいものから、1日のうち決まった時間以外に食事をとらない間欠断食や、数日に1日だけ食事をとらない隔日断食という方法があります。
そういった断食によって、通常の20倍以上の成長ホルモンが分泌されるとも言われています。この成長ホルモンによって、白髪を改善するのによい影響を与えるだけでなく、断食をすることで白髪改善効果を持つ酵素のカタラーゼが分泌されます。
断食や食事制限を行うことで、白髪改善のための酵素やホルモンが分泌されるので、内側から白髪に対抗していくための状態を整えていくことができるでしょう。
白髪染めを利用する
白髪を改善するには生活習慣を少しずつでもいいので変えていくことは大切ですが、すぐに白髪がなくなるわけではありません。今すぐ気になる白髪をなくすためには、白髪染めが一番てっとり早いでしょう。
髪や地肌にとって、どのような白髪染めがベストなのでしょうか。いくつか種類を上げて比較してみますので、参考にしてください。
ヘアカラーとヘアマニキュア
白髪を染めるための代表的なものにヘアカラーとヘアマニキュアの2つがあります。ヘアカラーは酸化染毛剤と呼ばれ、髪の毛のメラニン色素を分解・脱色し、そのうえで髪の毛に染料をしみ込ませるものです。しっかり染まるため、1~2か月ほど効果が持続します。
一方でヘアマニキュアは、メラニン色素の脱色を行わないで、染料をしみ込ませます。ですが、ヘアカラーほど浸透しないため、持続するのは3週間程度までです。シャンプーでの洗髪で色が抜けやすいため、お湯だけで髪を洗うだけの日を設けたほうが退色を防げるでしょう。
白髪を染めるだけであれば、そのどちらを利用してもよさそうですが、ヘアカラーはあまりオススメできません。ヘアカラーは染料である1剤と、酸化剤である2剤に分かれているのですが、2剤の酸化剤は過酸化水素水が含まれており、これを常用することで黒髪を作り出す機能を損なってしまうおそれがあります。
脱色効果があって染めやすいのがメリットですが、白髪染めでかえって白髪を増やしてしまうリスクを避けるためにも、ヘアカラーではなく、ヘアマニキュアを利用するほうがよいでしょう。
天然成分のヘナカラー
白髪染めにはヘナというミソハギ科の植物がよいと言われています。インドやアフリカなどの熱帯地域で育つ植物です。古代から髪の毛や肌を染める染料として利用されてきました。化学薬剤が含まれていないので、ナチュラル志向の人に好まれるようです。
ヘナを乾燥させて粉末状にしたヘナ粉をお湯に溶かして塗るだけなので、市販の染毛剤と手間はほとんど変わりません。シャンプーなどで洗い流すと落ちやすいので、ヘアマニキュアだと思ってよいでしょう。洗髪するときはお湯で洗う、いわゆる湯シャンがメインになりそうです。
メリットとしては髪に負担をかける成分が少ないこと、髪がサラサラになる効果があること、毛穴の老廃物を取り除くデトックス効果もあるようです。
ちなみにヘナ配合のハーブシャンプーもありますが、これは天然成分で頭皮やヘアケアの効果はありますが、白髪は染まらないのでご注意ください。
白髪染めシャンプー
1度に染めてしまうヘアカラーやヘアマニキュアと違い、髪を洗う時に使うシャンプー自体に白髪染め効果があると便利ですよね。それが白髪染めシャンプーです。酸化剤など髪や地肌を痛める成分を含んでいないものも多いので、髪の健康に優しいことはメリットです。また、少しずつ染まるため、自然な仕上がりが期待できます。
デメリットとしてはすぐに染まらない、人によっては染まりにくいということです。あくまで目安ですが使い始めて染まるまで1週間くらいはかかると考えておいたほうがいいかもしれません。同じ製品にカラーケアのコンディショナーやトリートメントがあれば、併用することで効果を高めることができるでしょう。
白髪染めシャンプーはふだんのシャンプーを変えるだけでいいのでとても手軽です。白髪染めシャンプーだけで染まらない場合は、同系色のヘアマニキュアでまず髪を染め、シャンプーでその色を維持するという使い分けも可能です。
まとめ
さて、いかがだったでしょうか。生えてきた白髪を抜いても根本的な解決にはならず、かえって髪の環境を悪化させてしまう可能性があります。数本、髪の中に白いものが混じっていても、抜かないことが長い目で見たときに頭皮や髪のためになるでしょう。
髪に色味を加えてくれるメラニン色素とそれを作り出す色素細胞(メラノサイト)をいたわってケアできるような生活習慣をつくっていけたらいいですね。そうすれば、白髪だけでなく、これからの生活がより健やかになっていきます。
今生えてしまっている白髪が気になる場合は、髪や地肌への負担の少ないヘアマニキュアやシャンプーなどを利用して髪を染めるのがいいでしょう。今人気のヘナカラーなども使ってみると面白いかもしれませんね。
また急激に白髪増えた場合や他の身体症状を伴う場合は、病気の可能性があります。なるべく早く診療機関で診察をうけることをオススメします。
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