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以前までAGAの薄毛治療に対してAランクの治療法として活用されてきたミノキシジル外用薬を用いた治療法。2017年の日本皮膚科学会ガイドラインでは外用薬は相変わらずAランクなのですが、内服薬の記載が新しく加えられ内容がDランクと位置付けられました。これは効果の根拠よりも副作用の懸念が高いために控えた方がいい治療法という見解が発表されたのです。
薄毛治療をしている男性からすれば忌々しい事態です。昔の知識で薄毛治療を続けていると逆にハゲを加速させてしまう可能性があります。
ミノキシジルがDランクと位置付けられた理由についてまとめました。ぜひ薄毛治療の見直しの参考にしてみてください。
そもそもミノキシジルって?
そもそもミノキシジルってなに?と思っている人も多いことでしょう。
名前は聞いたことがあるけれど詳しい内容はわからないという人のために、ミノキシジルの効果について紹介していきます。
ミノキシジルの効果について
ミノキシジルは血管を拡張し、血行をよくする効果のある薄毛治療薬です。
元々は高血圧治療のための薬として開発されていましたが、服用患者の中に副作用として多毛症の症状を発生させる患者が多かったことから発毛促進薬として使用される様になりました。
初めは内服薬として使用されていた育毛治療薬ですが、そのうち外用薬としても使用され始め、ロゲインやリアップなどの外用薬が国内外で誕生しました。
どれくらいで効果がでるの?
ミノキシジルの効果は基本的に3ヶ月以上の継続使用が推奨されていました。
しかし、ほとんどの場合3ヶ月程度の短期間では効果を実感できることは少なく、2年以上の継続で効果がで始めると言われています。ですのでめげずに長期間使い続けることが重要な治療薬です。
また、効果が出始めの数ヶ月間では「初期脱毛」と呼ばれる脱毛が発生することがあり、抜け毛が一時的に増加することがあります。そのため、この症状を正しく理解していない人は使用を中断してしまう問題が多々発生しているという報告があります。
この「初期脱毛」は髪の毛の生え変わるサイクルが変化している証拠なので、プラスの反応となります。有名なAGA治療薬のプロペシアでもこの反応がみられます。
副作用ではどんな症状が発生する?
副作用としましては、内服薬と外用薬とで発生する症状が異なります。
それぞれの薬で発生する副作用の症状についてまとめました。
内服薬の副作用
- めまい
- 動悸
- 不整脈
- 倦怠感
- 多毛
- むくみ
- 腎不全
- 勃起不全
になる可能性があると表記されています。
発生確率は5%未満、また腎不全や完全勃起不全などの重篤な副作用が発生する可能性は5%中の1%未満と言われています。
またこれらの副作用はプラシーボ効果(プラセボ)である可能性も示唆されており、詳しい副作用の確率については曖昧な結果となっております。
全く効果・効能のない薬を患者に「こんな効果・副作用がある」と説明した上で服用させた場合と、本当に効果のある薬を「効果なし・副作用なし」と説明して飲ませた場合とでは、実際には効果のない薬の方が本人の実感効果が高いのは前者(本来は効果がない薬)となる。
外用薬の副作用
外用薬は日本ではリアップ、アメリカではロゲインが有名です。外用薬にももちろん副作用があります。パッケージに書かれている副作用について紹介します。
- 頭痛
- 胸の痛み
- むくみ
- 頭皮の発疹・発赤
- かゆみ・かぶれ・ふけ
こちらも同じくプラシーボ現象の可能性が示唆されています。
しかし実際に血管を拡張して血行を良くし、頭皮に栄養を循環させやすくする効果のある薬ですので、体感的に体調の変化を感じることはあるでしょう。
特に血圧に問題のある人には使用を控える様に呼びかけられています。高血圧の人は特に注意しましょう。
ミノキシジルがDランク降格になった訳
去年の2017年のことです。ミノキシジル治療がAからDランクにまで降格となってしまったのか。その訳について紹介していきます。
薄毛治療のランクについて
薄毛治療にはA〜Dまでのランクがあります。
これは「日本皮膚科学会」という皮膚専門の研究者が集まる団体が発表している皮膚に関する研究機関が定期的に更新している研究結果から導き出されている答えです。
推奨度の分類
それぞれの推奨分類については以下の通りです。
A、行うよう強く勧める
B、行うよう勧める
C1、行ってもよい
C2、行わないほうがよい
D、行うべきではない
これらのランク付けがなされている基準はエビデンス(証拠)が十分に並べられているかどうかが争点となります。現時点でエビデンスがしっかり証明されているものに関してはAランク、そうでないものにはそれ以下の位が相当につけられています。
薄毛治療のランク一覧
薄毛治療にはたくさんの治療方法がありますが、それぞれの治療方法はどの様にランク付けされているのでしょうか?その内訳をみていきましょう。
もっとも効果の高いとされている治療法は今の所、フィナステリド系(プロペシアなど)の内服薬、デュタステリド系(ザガーロなど)の内服薬、ミノキシジル(リアップ・ロゲインなど)の外用薬の三つとなっております。
ミノキシジルがDランクなのは”内服薬”
ミノキシジルはタブレット型の内服薬と、育毛剤の様な液体タイプの外用薬があります。
実際2017年の報告でDランクと報告されたのは、内服薬の方であり、外用薬は相変わらずAランクのままとなっております。
↓2017年度版
2010年のデータからミノキシジルの”外用薬”についてはA判定であり、内服薬については明記されておりませんでした。
ですので外用薬はA判定という見解から、AGA治療に積極的に内服薬も使用されてきましたが、去年からの報告では内服薬は明確に薄毛治療としてはエビデンスが不足しているということからD判定と表記されることとなりました。
ミノキシジル内服薬がDランクの訳は?
現時点ではミノキシジルの推奨度はDランク。
推薦文では「ミノキシジルの内服を行うべきではない」と位置付けられています。これはどうしてでしょうか?
現時点でAGAクリニックなどでも多数ミノキシジルタブレットなどが処方されていますが、しっかりとした国内での臨床実験が行われていません。それによって正しい客観的データが取れていないため、推奨度はもっとも低いDランクとなっております。
実際ミノキシジル内服薬での多毛症の副作用の報告は少なく、それでいて重篤な副作用の問題が発生する可能性があることを鑑みるとリスクの方が高いという結果になっています。
2010年版と2017年版の違いまとめ
日本皮膚科学会から発表された2010年版と2017年版の違いについて細かくまとめていきます。
最新の情報にはどのような追記がされ、どのような情報がなくなったのか、相違点についてそれぞれ紹介していきます。
A判定・デュタステリドの追加
デュタステリドを主成分とする内服薬が治療薬として新しく登場しました。
なんと従来のプロペシアの数倍の効果が期待できるとも一説には言われている薬となります。ザガーロが市販薬として発売されていますが、現在国内で入手できる薬局はあまり見かけられません。個人輸入であれば国外から輸入することが可能です。
デュタステリドは前立腺治療に使われていた治療薬で、この経緯はプロペシアと同じです。多毛症の副作用が確認されたため発毛薬として使用されはじめました。
しかし18歳未満の未成年者と女性への使用は推奨されていません。特に女性は胎児への影響が考えられるため、特に注意が必要です。
B判定・LEDおよび低出力レーザー照射の追加
レーザーを用いた育毛治療は男性110名、女性122名で臨床試験を行いその結果を調べました。
男性の場合、観察期間 26 週間の試験により、19.8 本/cm2の増加を確認し、うち4件で蕁麻疹の副作用を確認しました。
女性の場合、20.2 本/cm2の髪の毛の増加が確認されました。
副作用の内訳が乾燥が5.1%,瘙痒が2.5%,圧痛が1.3%,ひりつきが1.3%,温熱感が1.3%という内容になっています。全体では約1割の患者に何かしらの副作用が発生しているイメージとなります。まだ臨床試験データがそれほど多くないので、B判定となっておりますが効果としては悪くない内容です。
家庭で使用されるレーザー治療器具として「ヘアマックス」が有名ですので、これを期に会社の売り出しが強くなるかもしれません。
C1からB判定・アデノシンの外用薬
アデノシンは2015年2月21日(土)資生堂から発売が開始されたスカルプシャンプー・コンディショナーです。スカルプ=頭皮ですので頭皮に優しいシャンプーという目的の商品です。
女性に対しての育毛効果・皮膚への効果はC1判定のままですが、男性に対する効果はC1からBへ引き上げられました。ではどうして、判定が引き上げられたのか?という点。それはアデノシンの効果がA判定のミノキシジル外用薬で有効成分を5%含んでいる「リアップX5プラス」とほぼ同じ効果がデータとして取られたからです。
観察期間 6 カ月間で実際に臨床実験を行ったところ、5%ミノキシジルローションと同等の効果が得られたとの報告があります。つまり大正製薬のリアップX5プラスと同じ効果が資生堂のスカルプシャンプー・コンディショナーで得られるということですね。
C1判定・かつらの着用追加
かつらの着用にも去年から初めて判定の指標が出ました。
これはかつらを日常的に使用することで、幸福度の指標が上がるというアンケート結果が出たからです。
今まで日の目を浴びなかったかつらメーカーにいよいよ商機が訪れた、ということになるでしょうか。
C2判定・ビマトプロストとラタノプロストの外用薬の追加
緑内障の眼圧降下剤として用いられていたビマトプロストと、まつげの発毛促進効果が見込まれると言われているラタノプロストを含んだ外用薬が国内で効果を発揮したとのデータが取れました。
これによって新しく、この二つの成分が育毛剤として有用性があると認められC2判定となりました。しかしその内容は50%の確率で効果が認められた。と、というものですのでそこまで過度な期待はできないためC2の判定となっています。
C2判定・成長因子導入および細胞移植療法
近年注目されている育毛メソセラピーやハーグ療法などなどその名はクリニックによって異なりますが、2週間〜1ヶ月に一度頭皮に成長因子を注射することで髪の毛の育毛・発毛効果を高めるというものです。
C2判定である理由は、そもそも成長因子の手術内容が病院によって異なることと、まだ新しい治療法ですので十分なデータが取れていにないという問題があるからです。
しかしたくさんある治療法の中からこの治療が判定付きであげられるというのは大きな進歩でしょう。
D判定・ミノキシジルの内服薬の追加
これが問題のミノキシジルの内服薬のD判定です。
元々はガイドラインにはミノキシジル外用薬しか記述がありませんでした。内服薬はフィナステリドと併用して使用する場合に効果が高くなると言われていましたが、その反面副作用が大きくなるという問題が発生していました。また、個人輸入での商品では今までの検証よりも高確率で副作用が発生してしまっていたため、最低評価のDランクとなった経緯があります。
ミノキシジル内服薬は今でも普通にAGAクリニックでも進められますが、内服薬はやめて外用薬に変更した方がいいでしょう。
C2判定・セファランチンの削除
C2判定だったセラファチン外用薬が2017年からは記載されなくなりました。
初めから、症例報告は1件のみで、その他のフィナステリドとミノキシジルを併用した検証でのデータですので信ぴょう性も正確性もない結果となっていたため、この判定は削除となったのでしょう。
まとめ
つまり、髪の毛を生やす上では、フィナステリド系の内服薬もしくはデュタステリド系の内服薬を使用し、さらにミノキシジルの外用薬を併用して生活習慣を整えるという方法が、現時点ではもっとも効果的ということですね。
育毛剤などに関する記述がない点については、そもそも育毛剤は発毛剤ではなく髪の毛の成長を促す効果のある外用薬です。頭皮を健やかにすることで髪の毛の成長を促すものがほとんどです。この効果については非常に緩やかで、薬品としての副作用が少ないため皮膚の専門科としてはわざわざ記述していないのでしょう。
薬品ではなく美容品としての商品ですので、医師が侵入する部分でもないというところが一般的な見解でしょう。
ひとまず、ミノキシジル内服薬はリスクの方が効果を上回る結果となり、お勧めできませんので覚えておきましょう。
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